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どんな仕事を進めるにしても、避けては通れないものがあります。
それが「提案」です。
提案とは、自分の考えを相手に提出すること。
提案の目的は、自分の考えに合意してもらい、相手に動いてもらうこと。
では、「提案の本質的なコツ」とは、いったい何なのか?
以下のようなフォーマットを埋めることでしょうか。
- 背景・目的
- 解決すべき課題
- 課題に対する解決策
- 今後の進め方
- …
確かにフォーマット通りに埋めるのは、お作法として大事かもしれません。
ですが、本当にそれが一番大切なコツでしょうか。
そんなはずは、ありませんよね。
そもそも、フォーマットを埋められるだけの「内容≒自分の考え」がなくてはなりません。
では、提案において最も大切な「自分の考え」は、どうやって作ればよいのか?
・・・この答えについて、実は0円で教えてくれる本があります。
『内定者への手紙 ペインを探せ!ーなぜあなたの提案は通らないのか?』
この本です。
タイトルに「内定者への手紙」とあるので、バリバリ働いている社会人にとって、この本は盲点でしょう。
私も、本書を読む前までは「どうせ、学生に向けて、基本的なことを易しく説いた本でしょ」と高をくくっていました。
確かに、学生でも理解できるよう、非常に平易に書かれています。
しかし、内容は非常に深く、「提案」という行為の本質に迫るもの。
それもそのはずで、この本。
実は、ベストセラー『転職の思考法』『天才を殺す凡人』の著者、北野 唯我さんが書かれたものなんです。
では、この本から学べる「提案を作るうえで、最も大切なこと」は何か?
私は、次のエッセンスだと思います。
「あるべき」と「とはいえ」の両方を考え抜くこと
だと。
もう少し具体的に書くと、
- あるべき姿を考える
- 現状を把握する
- 1と2のギャップを埋めるアクションプランを考える
- 3を実施するうえで難色を示しような人々の「とはいえ…」を探る
- 4の解決策を考えておく
1~3は、どのビジネス書にも書いてあることですが、
ユニークなのが4の「とはいえ」の部分なんですよね。
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私も「とはいえ」の部分を考えなかったせいで、何度も苦い思いをしました。
例えば、前職のコンサルタント時代に、クライアントのBtoB営業部門に対して、「あるべき営業数字の見方」を提案したことがあります。
いくつもの他社事例を調べ、クライアントのビジネスモデルも踏まえたうえで、自信作の検討資料を作成しました。
上司にも内容をチェックしてもらい、「うん、このロジックはよくできている」と言ってもらい、さらに自信を高め、いざクライアントのミーティングに。
相手の営業部長は「うん、いいんじゃないか。課長から見てもOKだったら、これで進めてくれ」と言ってくださいました
・・・が、その課長さんはというと、何やら納得のいかない様子。
「どの辺が気になりますか?」と課長さんに質問したところ、
「これじゃ、いままで報告していた数値と定義がズレるじゃないか」
「いままで使っていたExcelのフォーマットにハマらなくなるじゃないか」
など、五月雨式に指摘をもらいました。
このときは、「なんでそんなことを気にするんだ?」「あるべき姿を考えると、絶対この案が正しいだろ」「現状の仕事の進め方ありきで、口出ししてくるなよ」と、正直内心イライラしていたんですね。
そんなことを思いながら、2週間くらい、提案を修正しては課長にぶつけ続けました。
そして段々と、「課長も、あるべき数字の見方には納得されている。ただ、目の前の仕事が変化するのが怖いだけなんだ」とわかってきました。
そのあとは、提案の方向性を軌道修正しまして、
- 現在の営業ミーティングで見ている数字の定義とズレてしまう件は、これまでの営業報告資料は3期分修正すればOK。経営層とも合意済みだから、安心してほしい
- いままで使っていたExcelフォーマットは、実はこうすれば、最小限の修正で使える
…と、「足元の不安点を解消する方法」を充実させました。
すると、課長もすんなり合意してくれて、あっけなく?あるべき数字の見方を現場に展開できました。
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このちょっとした経験から得たものは、次の学びです。
現場の「とはいえ」の部分、つまり「あるべき姿を実現するために、現場に強いられる負担」に目を当てる。
これが、「総論賛成、各論反対」を打破する一つの鍵だと。
その経験から数年後。
なんと、この「とはいえ」の大切さについて、詳細に体系立てて論じた本が「0円」で登場するとは・・・
こんなにも大切なエッセンスを0円で語る本、それが 『内定者への手紙 ペインを探せ!ーなぜあなたの提案は通らないのか?』 でした。
利益度外視で、とにかく「自分自身が学び取った仕事術を、できるだけ多くの人々に伝えたい」という北野さんの熱い思いが心の奥まで伝わってくる。そんな本でした。
内定者はもちろん、社会人1年目から中堅社員の方々まで、広くあまねくオススメしたい一冊です。