4月は新たに15冊のビジネス書を読みましたが、この月も豊作でした。
今回も悩みに悩み抜いて、4月に読んだ本のなかでTOP3冊をピックアップしてみたので、紹介させてください。
そもそもの「オススメ本」の基準とは?
とはいえ、いきなり「オススメはこの3冊です」とか言われても、あまり説得力もないでしょう。
そこで、まずは恒例の「オススメ本の選定基準」について認識をそろえておきましょう。
常連さんにとっては「またか」という感じかもしれませんが…大事なことなので、何度も何度も書かせていただきます。
それは拙著『投資としての読書』でも書かせていただいた「わかりやすさ×深さ」のモノサシです。
わかりやすさを測るためには、以下の2点をチェックしていきます。
- 本の内容が「体系的」に分解・整理されているか?
- 中学生や高校生でもわかる表現で書かれているか?
一方の深さを測るためには、以下の3つのツッコミに耐えうるかをチェックします。
- 他の本に無い「あっと驚く洞察」がなされているか?(So what?)
- 主張の論拠は十分か?ツッコミどころが多すぎないか?(Why so?)
- 明日からすぐ実践できるほど具体的な内容か?(How?)
当然この2点では、Amazonをサーフィンしていてもわからないので、
1冊1冊書店でパラパラ読みしながら、選別しております。
その基準で選ばれた15冊のうち、特によかった本を3冊紹介いたします。
1冊目『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』
「コンサルでの1年間は、事業会社の5年間に匹敵する」という都市伝説は本当なのか?
この都市伝説について語ったノンフィクションエンタメ本として飛びぬけて面白い本がこちら。
コンサル業界ではざっくり、新卒1年目のアナリストから、営業やプロジェクト管理を行うマネジャー、そしてコンサル会社の経営を担うパートナーといった職階が設けられています。
この職階ごとに「最低限できなければいけないこと」が定められています。
本書は、
- コンサルの各職階ごとに、実際に筆者がぶち当たった壁は何か?
- それらの壁を、試行錯誤しながらどう乗り越えたのか?そのときはどんな精神状態だったのか?
これらの点について、非常に生々しいエピソードを交えて教えてくれます。
もはやノンフィクション小説として成立するくらい、シンプルに読み物として面白い。
そして気づいたら、筆者のコンサル時代の経験を追体験している。そんな本でした。
同じ「コンサル×小説ぽい本」でいうと、三枝氏の『戦略プロフェッショナル』がありますが、この本は「コンサルタントがどのように戦略を作り、現場に落とし込んでいくか」が現場感あふれる感じで描写されています。
一方で、今回の『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』は、プロジェクトを回していくうえで、どの職階の人はどんなことに悩みがちか、目先の業務のイメージが湧くレベルで描かれています。
どちらもセットで読んでおくと、コンサルタントとして働く姿が「頭の中で動画が流れるレベル」でイメージできるでしょう。
※本書の書評を詳しく読みたい方は、以下の記事をご覧ください。
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【要約・書評】コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル
かつてのコンサルティングファームは、一種の「精神と時の部屋」だったかと思います。(このたとえも古い?) 「コンサルでの1年間は、事業会社の5年間に匹敵する」という都市伝説は半分は当たっていて。 毎日1 ...
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2冊目『みんなのフィードバック大全』
・仕事をしていて避けられないテーマ
・誰もやり方や受け取り方を教えてくれないテーマ
・特に解説してくれている本もないテーマ
この3つに当てはまるもの。それが「フィードバック」です。
このテーマについてバチ決まりな解説をしてくれる本がついに登場しました。
それが『みんなのフィードバック大全』です。
私自身、フィードバックをもらうのは大好きです。
なぜならば、摂取すればするほど効率よく摂取できるから。
・・・しかし、世の中はそんな人ばかりではありません。
というよりは、フィードバックは「与えれば感謝される」「もらえれば成長できる」なんて単純な概念ではありません。
例えば、「特にフィードバックを求めていない人」との向き合い方は非常に複雑で難易度も高い。
フィードバックしたら「いや求めてない。何を偉そうに」と言われ、
フィードバックしなかったら「気づいてたんなら、言ってよ」と言われる。
フィードバックをしようがしまいが、ぶーぶー文句を言われる。
いったいどうすればいいのよ?
・・・と悩んでいましたが、本書のp60あたりを読んでから、モヤモヤが吹き飛びました。
本書から学んだフィードバックの仕方を私なりにメモすると、以下のように整理できます。
私の理解用に解釈を交えて加工した部分もあるのですが、非常に具体的で納得感満載のノウハウがギュッと詰まっていました。
フィードバックについてここまで体系的かつ超具体的に解説してくれる本は、今のところ本書しか読んだことがありません。
フィードバックというテーマについて最も自信をもってオススメできる本ですので、ぜひ手に取ってみてください。
※本書の書評を詳しく読みたい方は、以下の記事をご覧ください。
3冊目『忙しすぎるリーダーの9割が知らない チームを動かす すごい仕組み』
「権限委譲だ!」と言って、メンバーに丸っと仕事を任せていたら、全然期待値どおりの成果物が上がってこない。
で、マネジャーが「んだよ、この成果物は、クソか。もっと頭使えや」と言って仕事を巻き取る。
すると、メンバーは「は?だったら最初からもっと丁寧にガイドしろや。もう二度とこの人と仕事したくねえ」とふてくされる。
マネジャーはどんどん多忙になり、メンバーもどんどん離れていく。
一方で「こうやって進めると上手くいくからね。大丈夫そう?わかんないことあったら何でも聞いてね」と丁寧に丁寧にガイドした結果、メンバーの満足度は一見すると向上。
しかし、具体的にガイドしないとメンバーは動いてくれない。メンバーからしても「マネジャーがいつものように指示出してくれるはずだから、待っておこう」と指示待ちになる。
結果、マネジャーが一から十まで自分で考え抜かねばならず、これまた多忙になる。しかもメンバーは一向に育つ気配がない。
・・・という地獄絵図を、至る所で見かけます。むしろ、この地獄絵図の当事者になっている人が大半かもしれません。
そんな中で、希望を示してくれる本。
それが『忙しすぎるリーダーの9割が知らない チームを動かす すごい仕組み』です。
本書では、メンバーが勝手に動き出す「仕組み」が34個に分けて書かれています。
いずれも、机上の空論は一切書かれておらず、筆者ご自身で血と汗が滲む思いで体得された仕組みが披露されています。
しかも、どれも効果抜群なものばかり。
中でも、以下3つは自分にとって学びが大きい技術だったため、自分なりにメモを1枚にまとめてみました。
・まずは「仮の答え=仮説」づくりから
・わからないふりミーティング
・「ベン図法」対話術
このように素晴らしい仕組が惜しみなく34個も紹介されています。
しかし、1点、本書の仕組みを実践するときの注意点があります。
それは「仕組みにも前後関係がある点」です。
例えば、先ほど述べた
・「ベン図法」対話術
・わからないふりミーティング
…といった仕組みたち。
これらの仕組みが機能する大大大前提は、マネジャーである自分の中に「仮説」があること。
本書を読んでいくと、1つ目の仕組みは「まずはとにかく"仮説思考"」でスタートしています。
メンバーに考えてもらう前に、まずはマネジャー自身が「現段階で考えうるベストの答え=仮説」を持っておく必要があると。
しかもその仮説は、3か月間のプロジェクトであれば、最初の2週間で作ってしまわねばならない。
つまり、納期までの1/7の期間で仮説を出す計算になるため、1週間の仕事であれば1日目で仮説を出しておく必要があります。
そうやってロケットスタートで仮説を立てて、はじめて
・「ベン図法」対話術
・わからないふりミーティング
などの仕組みが機能します。
このように、仕組みの前後関係を気にしながら読み進めると、より理解が深まりやすいはずです。
※本書の書評を詳しく読みたい方は、以下の記事をご覧ください。
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【要約・書評】忙しすぎるリーダーの9割が知らない チームを動かす すごい仕組み
「権限委譲だ!」と言って、メンバーに丸っと仕事を任せていたら、全然期待値どおりの成果物が上がってこない。 で、マネジャーが「んだよ、この成果物は、クソか。もっと頭使えや」と言って仕事を巻き取る。 する ...
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さいごに:読書から最大限学びを得るためには?
以上、4月に読んだ本のなかから飛びっきりオススメの本を3冊ピックアップしてみました。
ここまで紹介してきたように、
・自分なりのモノサシを使って良書を選ぶ
・読んだ本から得た学びを1枚に整理する
…といったことを繰り返していると、本から最大限学びを吸収できます。
何より、読書が楽しくて楽しくて仕方なくなります。
そんな、読書で最大限学びを得て楽しむ方法論を「読書メモ進化論」と題して、以下にまとめています。
もし「気に入った」という方は、ぜひシェアして広めていただけると嬉しいです。
あと、もし、もっと読書術についてガッツリ知りたい方は、『投資としての読書』も読んでみてください。
こちらも、冒頭の「わかりやすさ×深さ」いずれもこだわった一冊ですので。