この本で解ける疑問は?
- 「振り返り」はどうやって行えばいいの?
- 自己認識や自己理解を高めるために、何をすればいいの?
『リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術』とは
「振り返りをしなさい」
よく、こんなことを言われること、ありますよね。
でも、具体的にどうすればよいかは、誰も教えてくれません。
日記を書けばよいのか、その日に学んだことを書けばよいのか、イマイチ「これだ!」といえる方法論が見つからずに、日々試行錯誤されている方も少なくないのではないでしょうか。
そんな方に朗報です。
ついに、ついにですよ、「振り返りの本の決定版」が出版されました。
その名も『リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術』です。
リフレクションとは、内省を意味しています。
自分の行動・感情・価値観を振り返って、自己理解を深めたり、学びを得たりする行動です。
このリフレクションを、本書はいったいどのような切り口で説明しているのか。
以下、詳しくレビューしていきます。
※★の基準は以下の通りです。
★★★★★:満足
★★★★:やや満足
★★★:普通
★★:やや不満
★:不満
わかりやすさ
「わかりやすさ」については、以下2つの観点で評価していきます。
- 本の内容が「体系的」に分解・整理されているか?
- 中学生や高校生でもわかる表現で書かれているか?
詳しく見ていきましょう。
本の内容が「体系的」に分解・整理されているか?
本書では、リフレクションの方法論がわかりやすく分解して整理されています。
まず第1章では、リフレクションをする際の基本の型や、具体的な5つのメソッドが紹介されています。
次に、このメソッドたちを、リーダーシップや育成、チームマネジメントに応用させる方法まで記されています。
リフレクションというキーワードを、リーダーシップやチームマネジメントなどの視点から眺めることで、より一層「リフレクションとは何なのか?」を深く理解できる仕立てになっています。
欲を言えば、「なぜ、リーダーシップ、育成、チームの3つなのか?他にも応用できないのか?」にも言及されていると、より網羅感が高まるかもしれないなと、素人目線ながら思いました。(私自身が元コンサルなので、人一倍「網羅性」が気になるだけだと思いますがw)
中学生や高校生でもわかる表現で書かれているか?
書き方や表現は非常にわかりやすいです。
自己理解系の本は、結構カタカナ用語が頻発して、わかりにくいことがあります。
本書も多分に漏れず「リフレクション」「アンラーン」「オーセンティックリーダーシップ」「レジリエンス」など、カタカナ用語が頻発します。
しかし本書は、こういったカタカナ用語1つひとつを、素人にもわかるように丁寧に解説してくれます。
特にわかりにくい概念については図解も使って説明されているので、読んでいて迷子になることはまずないと思います。
要所要所に「まとめ」のページも差し込まれているので、これ以上ないくらいわかりやすく仕上がっています。
深さ
「深さ」については、元コンサルっぽく「So what?」「Why so?」「How?」と問いかけながらレビューしてみます。
具体的には、以下の3つの観点で見ていきます。
- 他の本に無いような「あっと驚く洞察」がなされているか?(So what?)
- 主張の論拠は十分か?ツッコミどころが多すぎないか?(Why so?)
- 明日からすぐ実践できるほど具体的な内容か?(How?)
他の本に無いような「あっと驚く洞察」がなされているか?
決定的な型が定まっていない「リフレクション」という概念について、フレームや方法論を提示した点は、本当に素晴らしいと思います。
フレームや方法論があると何が嬉しいかというと、「再現性」がグッと高まるんですよね。
どうしても個人の経験談だけを述べられてしまうと、読者は「それは、あなただからできたのでは?真似できないよ」と感じてギブアップしてしまいます。
しかし本書は、再現性が高い方法論を提唱してくれます。
これは、相当な技量や思考力が備わっていないとできないことだと思います。
主張の論拠は十分か?ツッコミどころが多すぎないか?
具体例や実例がたくさん示されているので、納得度は高いです。
「あ、それ自分にも当てはまるな」と、頷きながら読み進めることができます。
一方で、定量的な根拠や先行事例も盛り込めると、さらに説得力が増すのではないか、とは思いました。
例えば、「アンラーンできる人とできない人は、定量的にどんな違いが出てしまうのか?」などが気になったので、自分でも調べてみたいと思います。
明日からすぐ実践できるほど具体的な内容か?
この点については、何も言うことはありません。
1つひとつの方法論に対して、とにかく丁寧に具体例が記されています。
例えば「経験から学ぶリフレクション」の方法を解説するパートがあります。
ここでは、4ページに及ぶ具体例(記入例)が示されています。
読み手としても、「まずは具体例を真似しながらやってみよう」と思ってアクションしやすいなと。
これ以上ないくらい実践的な本と言えるでしょう。
学び
私なりに、本書で得た学びを整理してみました。
■リフレクションの基本の型
- 「意見」「経験」「感情」「価値観」の順番で振り返ること。これがリフレクションの基本である。具体的には、以下の4つの問いかけについて考えるとよい。
- ①あなたの意見は何ですか?
- ②その背景には、どのような経験がありますか?
- ③その経験には、どのような感情が紐づいていますか?
- ④そこから見える、あなたが大切にしている価値観は何ですか?
■リフレクションの5つのメソッド
- 「自分を知る」「ビジョンを形成する」「経験から学ぶ」「多様な世界から学ぶ」「アンラーンする」の5つのメソッドを会得するとよい。
- 「自分を知る」では、日常の出来事や腹が立ったことを取り上げて、「意見」「経験」「感情」「価値観」を掘り下げる。そして、わかってきた価値観をリスト化する。
- 「ビジョンを形成する」では、大小問わず「自分が実現したい意図=理想」をクリアにする。そして、理想と現状のGAPを埋めようとする「原動力」を言語化する。
- 「経験から学ぶ」では、想定していた結果と実際の結果を比較して、「なぜそうなったか?」「どうすればよかったのか?」を行動・価値観レベルで振り返る。
- 「多様な経験から学ぶ」では、良し悪しの判断はせずに、相手の話に耳を傾ける。そして、相手の中にある「意見」「経験」「感情」「価値観」の枠組みを捉える。
- 「アンラーンする」では、何かに行き詰ったら、アンラーンのタイミングだと心得る。そして、自分の中の成功体験を言語化し、そのモノの見方を捨て去る。
私も早速「腹が立ったこと」について、リフレクションの基本の型を使って振り返ってみましたが、心が整理整頓された感覚になりました。
同時に、「あ、自分はこういう価値観を守りたいと思ったから、腹が立ったのか」と、腹が立った背景にある価値観にも触れることができました。
きちんとした方法論があれば、誰でも再現して効果を出すことができる。
改めて、その大切さを痛感させられた一冊でした。