マインドセット マインドフルネス 書評

【要約・書評】『マインドの教科書』田島 大輔、苫米地 英人

この本で解ける疑問は?

  • 無意識やモノの捉え方を変えるためには、どんな方法がある?
  • 自分のマインドを変えるために、具体的にどんなトレーニングを積めばいいの?

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『マインドの教科書』とは?

33万円。

これは、「TPIE(Tice Principles In Excellence)」と呼ばれるセルフコーチング理論を学ぶための認定トレーニングの受講料です。(2021/1/24時点)

世界最先端のコーチング理論を学ぶためには、数十万円を超える投資が必要なわけです。

しかし今回、33万円分のコーチングの叡智がすべてつまった本が出版されました。

それが、今からご紹介する『マインドの教科書』です。

 

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

■マインドの働き

  • 人は「知覚しようと意識しているもの」しか、見えないし聞こえない
  • まずは、他人からの影響によって形作られた「無意識に注目する点」と「無意識に見逃してしまう点」を自覚する

■自己イメージとセルフトーク

  • 自己イメージは「セルフトーク」によって作られる
  • なので、セルフトークをコントロールしないと、セルフトークにコントロールされてしまう
  • セルフトークを「〇〇は無理だ」「〇〇すべきだ」「〇〇はもうしない」というネガティブなものから、「次は〇〇する」という未来志向なものに変えることが大事

■ゴール設定

  • マインドを変えるために最も重要なことは、新たな「ゴール設定」をすること
  • ステップバイステップ方式で現状の延長線上にゴールを設定しても、人は変わらない
  • 「やりたくて仕方がない」かつ「達成方法がよくわからないゴール」を設定すべき

■ビジュアライゼーション・モチベーション

  • 「原因は未来にあり、現在はそれが起こり、結果は過去になる」と考える
  • ゴールが達成できている状態を「五感でわかるレベル」で超具体的に描写する
  • 強制的動機付けである「Have to」はやめて、建設的動機付けである「Want to」のみ選択する

■自尊心・マインドフルネス

  • 自尊心を高めるために、①過去の成功体験を具体的に描写してみる、②他人からの称賛は素直に受け止める
  • 全ての基本になるのは「マインドフルネス」。自分のマインドと向き合い、「自分はどんなセルフトークをしているのか」「無意識にどんな判断をしているか」「心の底からやりたいことは何か」を自覚することが大事

いかがでしたでしょうか。

ざっくり概要だけを掻い摘んでお伝えしましたが、本書では「セルフコーチングの技術のすべてがつまった21のレッスン」や「門外不出の50のワーク」が具体的に紹介されています。

読んでみると「確かに、これらの技術をトレーニングしてもらえるんだったら、33万円も納得だな」と確信を持てました。

それくらい、具体的かつ効果的な手法が語られています。

しかも、2,000円以下で…

「コーチング」「マインドフルネス」というキーワードに少しでも関心をお持ちの方は、ドハマりすること間違いなしです。

所感

「Have to」で人が動いている組織では、提案があがってこなくなる?

本書を読んでいて、個人的に気になったのが、2つのモチベーションについての記述。

1つ目は「強制的動機付け:Have to」です。

  • 他者からの強制によるもの
  • 「~しなければならない、さもないと~」という気持ちが原動力
  • 創造的逃避(逃避するための理由を創造的に生み出して、逃げようとすること)を招く
  • 自尊心が失われる

そして2つ目は「建設的動機付け:Want to」です。

  • 心から望むことをする
  • 「~したい」が原動力
  • 潜在能力を十分に引き出すことができる
  • 幸せを感じる

この2つの動機付けを「組織」に当てはまると、「提案があがってくる組織」と「提案があがってこない組織」の輪郭が見えてきます。

まず「提案があがってこない組織」では、Have toが原動力になっているのではないでしょうか。

具体的に図示すると、次のような「負のメカニズム」が回っているのだと推察します。

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上司に「やったほうがよいこと」を提案した結果、「じゃあ、あなたがやってください」と半強制的にやらされてしまう。「やらない」という選択肢がない。

部下は、言われた任務をいやいや仕方なくこなしながら、「こんなの提案したもん負けじゃん」「もう二度と提案するもんか」と後ろ向きなマインドになる。

それで何も提案をしなくなると、上司から「なんで誰も提案しないんだ」と怒鳴られる。

Have toを原動力に、渋々「これ、やったほうがいいかもしれませんね」と提案する。

上司から「じゃあ、あなたがやってください」と命令されてしまう(スタートに戻る)。

…これが、Have toで動く組織に渦巻いている「負のメカニズム」です。

 

では、Want toで動く組織はどうなっているか?

「やるか、やらないかの選択権が確保されている」

これがHave toで動く組織との大きな違いです。

図にすると、以下のようなメカニズムが成り立っていることがわかります。

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have toをwant toに変えるだけで、「負のメカニズム」が「正のメカニズム」に変わります。

※詳しい説明は以下の記事に書いてありますので、もし興味を持ってくださった方がいらっしゃれば、ぜひご覧ください。

以上のような学びがたくさんつまっていた『マインドの教科書』。

一読だけでは消化不良なので、もう1度、しっかりと読み直そうかと思います。


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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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