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【要約・書評】『NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX』リード・ヘイスティングス

この本で解ける疑問は?

  • ルールがない組織は本当に機能するのか?
  • ルールがない組織をどうすれば形成できるのか?

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『NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX』って?

  • 休暇規定
  • 経費規定
  • 意思決定の承認
  • KPI

こういった、ほとんどの人にとっては当たり前のルールがNETFLIX(ネットフリックス)には一切存在しないそうです。

僕もルールという概念が嫌いなので、純粋に「ルールがない組織っていいなー」と思って、『NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX』を手に取ってみました。

ルールがない組織は本当に機能するのか?

ルールがない組織をどうすれば形成できるのか?

 

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • NETFLIX(ネットフリックス)では、「自由と責任」のカルチャーを重視している。このカルチャーを強化していくためには、①能力密度を高める、②率直さを高める、③コントロールを減らす、の3つの取り組みが必要である。
  • まず第一のステップは、「自由と責任」のカルチャーへの第一歩を踏み出すことである。
    能力密度を高める
    ★リーダーの最優先目標は、最高の同僚だけで構成される職場環境にすること
    ★最高の同僚=クリエイティビティと情熱を持って、重要な仕事を山ほどこなす人
    率直さを高める
    ★フィードバック(FB)を徹底して与え合う
    ★FBを与える側は、相手を助けようとする気持ちで、行動変容を促す
    ★FB受ける側は、感謝を伝え、FBを取捨選択する
    コントロールを減らす
    ★休暇規定や経費規定を廃止することで、社員のコントロールを最小化できる
    ★ただし、上司が手本となるふるまいやコンテキストを示すことが重要
  • 第二のステップは、「自由と責任」のカルチャーへの次の一歩を踏み出すことである。
    能力密度を高める
    ★最高の人材に最高水準の報酬を支払う。その原資が不足するのであれば、それほど優秀でない人材を何人か解雇してでも原資を確保する
    率直さを高める
    ★良いニュースも悪いニュースもスピード重視で社員に展開する。それにより社員の不安が高まることもあるが、それ以上に信頼感を醸成することができる
    コントロールを減らす
    ★重要でリスクが大きい意思決定を下す権限を、職位に関係なく分散させる
    ★そのためにはリーダーが部下に「上司を喜ばせようとするな」と指導することが大原則
    ★意思決定の結果失敗した場合は、率直に公表する
  • 第三のステップは、「自由と責任」のカルチャーの強化である。
    能力密度を高める
    ★「ネットフリックスを辞めて他社に転職する」と言われて…必死に引き留めようと思う人材だけを残す必要がある。必死に引き留めようと思わないような人材は残してはならない
    率直さを高める
    ★360度評価は実名で行う。他人の話をするときは、相手に面と向かって言えることしか言わない
    ★FBは肯定的なものが25%、改善を促すものが75%くらいの比率がほどよい
    コントロールを減らす
    ★コントロール(規則)ではなく、コンテキスト(条件)でリーダーシップを取る。部下には、意思決定に必要な情報を与え、最終的な判断は部下に委ねる
    ★ミスを防ぐことよりもイノベーションを重視する組織には、コンテキストによるリーダーシップが効く

いかがでしたでしょうか。

NETFLIX(ネットフリックス)ではルールではなく、コンテキストで社員を動かしていることがよくわかりますね。

 

上司は「指示」を出さない代わりに、意思決定の「支持」を徹底する。

部下は自分の責任で意思決定する。

言葉にすると2行程度ですが、行動に移すためには、相当の覚悟が必要なのでしょう。

ミスを防ぐことを優先しないといけないオペレーティブな組織には向いていませんが、クリエイティブな組織づくりには抜群の効果をもたらす。

次世代型組織の1つのあるべき姿なのかもしれません。

学び

誰をバスに乗せるか、誰をバスから降ろすか

今回ご紹介した『NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX』を読んでみて、改めて「誰をバスに乗せるか、誰をバスから降ろすか」に徹底的にこだわる大切さを痛感しました。

 

「徹底的に」とは、どこまで徹底しないといけないのか。

この点について、本書の以下の記述を目にしたとき、心にグサッときて1分ほど停止してしまいました。

チームのメンバーが明日退社すると言ってきたら、

あなたは慰留するだろうか。

それとも少しほっとした気分で退社を受け入れるだろうか。

後者ならば、いますぐ退職金を与え、

本気で慰留するようなスタープレーヤーを探そう。

(291ページより)

ここまでやって初めて「徹底してます」と言えるのかもしれません。

それくらい人材の質にこだわる。

ここにNETFLIX(ネットフリックス)の強さの秘訣が凝縮されているように思えます。

 

確かに、ここまで優秀な人材を選抜しているのであれば、わざわざそうした人材を管理するルールなんて作らずとも、各々が自発的に高いパフォーマンスを発揮してくれそうです。

優秀過ぎる人材あっての「ルールのない組織」です。

杓子定規に「ルールの無い組織」という部分だけを切り取って自社に当てはめる…なんてことをしたら、おそらく失敗するのでしょう。

「なぜNETFLIX(ネットフリックス)はルールが無くとも機能するのか?」と問いかけ、裏側にある文脈を丁寧に読み取ることが大事です。

自戒の意を込めて、そう思いました。

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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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