この本で解ける疑問は?
- プロジェクトメンバーの心に火をつけるコンセプトの作り方とは?
- プロジェクトを途中で頓挫させないために必要なことは何か?
『ファシリテーション型業務改革』って?
本書は次のような特徴を持っています。
- 住友生命の営業用タブレット刷新PJの実例が書かれている
- 登場人物はいずれも実名
- プロジェクトで実際に使用された資料が紹介されている
- プロジェクトの立ち上げから完了までストーリー形式で書かれている
この本を読んだ感想を一言でいうと
「これほど生ナマしい本は見たことが無い」
それくらい現場感溢れる良書でした。
とにかく臨場感がすごくて…1ページ1文字たりとも飛ばすことなく全て読むべき本だと自信をもって言えます。
ですので、今回は本書の魅力の一部に絞ってお伝えできればと思います。
(画像をクリックすると、PDFが開きます)
- 住友生命の営業用タブレット刷新プロジェクトは「構想立案」「現状調査・分析」「施策立案」「実行計画作り・体制構築」「基本設計」「開発」「テスト」「移行・教育」「稼働」フェーズの順に進んでいった。
- 中でも構想立案では「徹底的に任せる」「本音を引き出す」「コンセプトを作る」「心理的安全性の確保」「新しいことを導入する」の5つがポイントとなった。
- 徹底的に任せる
★現場が出した結論に、上長が口を出すことはほとんどなかった
★上長から現場に対して「お前たちが主役だ。自分たちで決めろ。何かあったら俺たちが責任を持つ」と背中を押してくれた - 本音を引き出す
★メンバーに「なぜこのプロジェクトをやるのか?」「あなたはなぜここにいるのか?」「何を成し遂げたいのか?」「真の問題は何か?」「どんなプロジェクトにしたいのか?」を問い続ける
★メンバーが自分の言葉で語る場を増やす - コンセプトを作る
★与えられたゴールを鵜呑みにせずに、本当に目指したいと思える「俺たちのゴール・コンセプト」を自分たちの言葉で表現する - 心理的安全性の確保
★「立場を超えてイチ職員としてあるべき姿を考える」などのグラウンドルールを作成することで、「若手だろうが発言ウェルカム」な雰囲気を作り出す - 新しいことを導入する
★「合宿」「振り返りメール」「サンセットミーティング」など、新しい取り組みを積極的に導入する
いかがでしたでしょうか。
住友生命とケンブリッジの方々が活き活きとプロジェクトに取り組む姿が非常に心地よく感じる本です。
- プロジェクトにはどういう難所があるか?
- 住友生命とケンブリッジの方々はどうやって難所を乗り越えてきたか?
こういったポイントが事例と共に学べる本は稀有です。
プロジェクトなるものに関わる人全員にオススメしたい一冊です。
学び
プロジェクトの目的を自分の言葉で語れるか
非常にありきたりですが、「プロジェクトの目的を自分の言葉で語れるか否か」は、プロジェクトを成功させるために最も重要な要素の1つだと思います。
これまで色んなプロジェクトやそのメンバーと関わってきましたが、大きく次の2種類の姿を見てきました。
1つ目は、会社の偉い人から言われたことを、そのまま読み上げているプロジェクトメンバーの姿。
こういった人々が回しているプロジェクトの企画書を見ると、目的が「玉虫色で歯切れの悪い言葉」で表現されていることが多いものです。
- 効率化
- 最適化
こうした血が通っていない言葉が、目的の表現に使われているプロジェクトは要注意です。
2つ目は、プロジェクトメンバー1人ひとりが、自分なりの言葉でプロジェクトの目的を語っている姿です。
例えば、「業務の見える化」と聞くと、何だかありきたりな表現ですよね。
一方で「何かをやりたいときに、誰に何を聞けばいいのかわからない…こういったイライラを取り除くことが目的です」と表現すると、さっきの例よりも力がこもっているように見えませんか?
- 自分自身が苦労した経験
- 前に試してみて上手くいった経験
…こういった原体験を言葉に乗せることで、「自分の言葉で表現されたプロジェクトの目的」が生まれるのではないかと思います。