この本で解ける疑問は?
- 「1万時間の法則」って本当に機能するの?
- 知識の深さと広さ、どっちが大事?
https://www.amazon.co.jp/dp/4822288773
『RANGE(レンジ)知識の「幅」が最強の武器になる』って?
この本を読んでみて、今まで抱いていた暗黙の前提が大きく覆されました。
「早期教育(幼少期から1つのことに専門特化して学ばせること」
「1万時間の法則」
…これらはいずれも正しいと思っていました。
しかし、変化が目まぐるしい現代では、この学び方は通用しないそうです。
では、どんな学び方を会得する必要があるのか?
この問いに迫ってみます。
(画像をクリックすると、PDFが開きます)
- 本書のメッセージを一言でいうと「幅広く始めて、成長する中で様々な経験をし、多様な視点を持つ"RANGE(幅)"のある人になる必要がある」ということ。
- RANGEのある人になるためにも、まず間違った学び方について知っておく必要がある。
前提となる考え方
下記のように世界や学習環境を捉えている。
★問題が明確で、ハッキリしたルールがある「親切な世界」
★努力すればするだけ上達でき、フィードバックも
確実にもらえる「親切な学習環境」
学び方
★早いうちに、特化する専門性を決める
★「1万時間の法則」で狭い領域で専門性を高めて行く
効果
★自分の元々の専門性や考え方に反するエビデンスに
抵抗を示しやすくなる
★専門外の問題に対して、自分なりの答えを
組み立てることができない - では、RANGEのある人になるためには、どんな学び方をすればよいのか?
前提となる考え方
下記のように世界や学習環境を捉えている。
★問題が曖昧で、ルールが不完全な「意地悪な世界」
★繰り返し現れるパターンがなく、フィードバックが
遅くて不正確な「意地悪な学習環境」
学び方
★「片足を別の世界に置いて」1つの領域内で取り組む
課題を大幅に多様なものにする
★色々試した後に、フィット感のあるものが
見つかったら専門特化する
効果
★急速に変わる「意地悪な世界」でも、新しいアイデア
同士を結びつけて領域を超えて考えることができる
★未知の問題も、アナロジー(類推。さまざまな事象間で
共通項を見出すこと)を使って考えることができる
いかがでしたでしょうか。
448ページある内容を無理やり要約すると、以上のようなメッセージを得ることができました。
一見不効率に思える「遠回りしながら、色々なことに挑戦する学び方」が、実は一番の近道である。
この学びには、目から鱗が落ちました。
これらの主張を裏付ける研究結果や事例が、心理学/脳科学/経済学と様々な学問の観点から展開されています。
これも筆者のRANGE(幅)があっての芸当なのでしょう。
ゴールデンウィーク必読の一冊かもしれません。
学び
要は『アイデアのつくり方』の「情報収集」の話
本書『RANGE(レンジ)知識の「幅」が最強の武器になる』を読んでみて、改めて日々の情報収集の大切さを思い知りました。
というのも、この「情報収集」は、名著『アイデアのつくり方』の最初のステップなんですね。
『アイデアのつくり方』では次のような主張がなされています。
★『アイデアのつくり方』の解説はこちら
アイデアの原理原則は次の2点。
- 第一に、アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせであるということ。
- 第二に、新しい組み合わせを作り出す才能は事物の関連性を見つけ出す力に依存するということ。
アイデアをつくるステップが次の5段階。
- 情報を収集する
- 情報を解釈する
- 問題を全て放棄する
- アイデアが降ってくる
- アイデアを形にする
…と、いずれも『RANGE(レンジ)知識の「幅」が最強の武器になる』の主張と重なる部分があります。
こんな風に、複数のビジネス書の主張を自分なりに紐づけてみると、さらに理解が深まりますね。
ビジネス書の読書量も「深さ」より「幅の広さ」が大事なのかもしれませんね。