この本で解ける疑問は?
- 「役に立つ」よりも「意味がある」が大事になってきているって本当?
- 世界観を表現するために必要なことは?
- デザインの本質とは?
『世界観をつくる』って?
待ちに待った本書が家に届きました。
私が大好きな山口周さんと水野学さんの対談『世界観をつくる』です。
このお二人の対話の中で作られていく新たな「世界観」が何とも味わい深い。
(画像をクリックすると、PDFが開きます)
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今日の世界では「正解=ソリューション」が供給過剰になっている。一方、「問題=アジェンダ」が希少化している。だからこそ、「役に立つ」よりも「意味がある」ことの方が、相対的に重要視されている。
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しかし、「意味がある」を追い求めようとすると、周りから煙たがられて浮いてしまう。「意味がある」を追求する「ファーストペンギン」を浮かせてしまわないためには、フォロワーとなる「セカンドペンギン」の存在が欠かせない。「ファーストペンギン」と「セカンドペンギン」の双方には、自分がカッコいいと思うものを、ハッキリと「カッコいい」と言い切る勇気が必要である。
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「意味」を表現していくためには「ブランディング=世界観のつくり方」を知っておく必要がある。この世界観には2パターン存在する。第一のパターンは、「おしゃれを目指す」と決めて完璧に構築したもの。第二のパターンは、あえて外すことで逆におしゃれにしたものである。
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こうした世界観を作れるようになるためには「知識×やり方」をセットで学んだ方がいい。特にこの「知識」がないがしろにされがちなので、注意が必要。
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具体的には、まず「引き出し」を増やすことが大事。演劇、映画、街歩き、アート、読書などを通して「パッと見て仕事に役立たなそうなこと」を学ぶことが重要である。「すぐに役立つエクセルの使い方」のような、「役立つもの」に飛びついては、いつまでも「意味」を作り出すために必要な知識は獲得できない。
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「引き出し」を増やす以外に、それを表現して、サービスや商品に「人格」を込めるためのデザインの技法も知っておく必要がある。デザインには、グラフィックデザイン、プロダクトデザイン、内装デザインなどがある。特にグラフィックデザインにフォーカスすると、1)「らしさ」を見極められるようになること、2)書体や色といったデザインの超基本知識を身につけること、3)やっちゃいけないことを知っておくことが重要になってくる。
いかがでしたでしょうか。
議論ではなく「対話」なので、話が縦横無尽に飛び交います。
なので読んでみると、論理的に整理されている…というよりは、色々と寄り道をしながら、何らかの本質に迫っていくような感覚を味わえると思います。
おそらく一読しただけでは、お二人の対話の意味合いを言語化するのは困難かもしれません。
私も3周読んでみましたが、未だにモヤモヤしています。
正直、さっきまで書いていた要約や解釈にも100%の自信はありません(笑)
でも、それくらいの「消化不良になる本」くらいが案外一番学びに繋がるのかもしれませんね。
不思議ですが「心地よい消化不良感」を味わえる良本です。是非読んでみて、消化不良になってみてもらえると嬉しいです。
学び
対話の醍醐味は「予定不調和感」
他の本と違って、対話形式の本は「どんな結論に至るかわからない」点が面白いですよね。
例えば、本書以外だと、山口周さんと楠木建さんの共著『「仕事ができる」とはどういうことか?』も対話形式です。
この本も、一読しただけでは、まあわからない。
たぶん対話をしている本人たちも、対話の最後にどんな結末が待っているかわからないまま話しているんだろうなと思います。
でも、落としどころが無い、どこに行きつくかわからない対話形式だからこそ、誰もが想像しえない示唆を手に入れることができるのも、また醍醐味です。
山口周さんだけでも、水野学さんだけでも辿り着けなかった新たな示唆が、本書『世界観をつくる』にも数多く記されていました。。
そうした可能性を確信していたからこそ、このお二人は対話形式で本を出版されたのかもしれませんね。
「対話」というものを科学してみたくなりました。