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【要約・書評】『Brain Rules(ブレイン・ルール)』ジョン・メディナ

この本で解ける疑問は?

  • 健康な脳を作り上げるために必要なことは?
  • 私たち人間が変えられるものと、変えられないものとは?


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『Brain Rules(ブレイン・ルール)』って?

「健康な脳が最強の資産である」

このフレーズが、私が本書を買う決め手となりました。

確かに、いかに身体が健康であっても、脳が健康でないと、自分や周囲の幸福度に悪影響が出そうです。

もちろん「生きていること」こそが最も大事なことだと思います。

しかし「脳死状態」でしたり「アルツハイマー病」でしたりと、脳が健康でない状態に陥ると、多くの場合幸福度がガクッと下がってしまうのではないでしょうか。

そんな問題意識を抱きながら読んでみたのが、『Brain Rules(ブレイン・ルール)』でした。

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • 第一のルールは、「友だちを作ろう。友だちになってもらおう」。
    • 社会と健全で活気のあるつながりを保とう。そうすれば、年をとっても認知機能は若く保たれる
    • 高齢者にとって孤独感は、うつ病を導く最大のリスク要因。孤独感は脳を傷つけることがある
  • 第二のルールは、「感謝する習慣を身につけよう」。
    • 歳を重ね、命に限りがあることを実感すると、何よりも人間関係を大切にするようになり、幸福度も高まる
    • 自分の老化に対して楽観的でいることは、脳に良い効果をもたらす
  • 第三のルールは、「マインドフルネスは脳を静めるだけでなく改善する」。
    • ストレス状態が長く続くと、脳システムは損傷を受ける
    • マインドフルネスを実践して、「今ここ」に意識を集中させると、ストレスが減って認知機能は向上する
  • 第四のルールは、「学ぶのに、あるいは教えるのに、遅すぎるということはない」。
    • 老化に伴い、短期記憶やエピソード記憶(人生で経験した出来事の記憶)も衰える傾向にある
    • 技能を要する学習は、廊下に伴う記憶の衰えを抑制する
  • 第五のルールは、「脳をテレビゲームで鍛えよう」。
    • 処理速度は年齢を重ねるごとに衰えていく
    • 『ニューロ・レーサー』などの特別に設計されたゲームは、高齢者のワーキングメモリを改善する
  • 第六のルールは、「"わたしはアルツハイマー病になったのか?"と疑う前に、探すべき兆候」。
    • アルツハイマー病には「記憶に関する兆候」「実行機能に関する兆候」「感情の処理に関する兆候」「全般的な処理に関する兆候」がある。アルツハイマー病は予防も緩和も難しい???
  • 第七のルールは、「食事に気をつけて、運動しよう」。
    • 年齢に関係なく、身体を動かすことは脳機能の向上に繋がる
    • 野菜、ナッツ、オリーブオイル、果実、魚、全粒粉が豊富な食事はアルツハイマー病のリスクを軽減する
  • 第八のルールは、「思考を明晰にするためには、十分な(しかし、長すぎない)睡眠をとろう」。
    • 睡眠はエネルギーの回復よりも、記憶の定着と脳内のゴミ掃除に深く関わっている
    • 中年までに良い睡眠習慣を身につけると、老年期に睡眠不足がもたらす認知低下を避けられる
  • 第九のルールは、「永遠に生きることはできない、少なくとも今のところは」。
    • 加齢は病気ではなく自然なプロセス。人は年を取るからでなく、生物としてのプロセスが壊れるから死ぬ
    • 寿命の25~33%は遺伝で決まる
  • 第十のルールは、「引退は絶対にやめよう、そして、郷愁を大切にしよう」。
    • 退職すると、心血管疾患、うつ病、認知症などのリスクが高まる
    • 頻繁に懐かしさを感じる人は、そうでない人よりも精神面が健康である

いかがでしたでしょうか。

個人的にこの本の一番好きなところは、「我々がコントロールできるものと、そうでないものを区別しているところ」です。

例えば、⑥のアルツハイマー病の話や、⑨の寿命の話は、私たちが努力して改善できる箇所はあまりにも少ない。

しかし、「努力して改善できるのか否か」を知っておくことは、無駄な努力をしないためにも極めて重要なことです。

変に期待感を持たされるよりも、「無理なものは無理」だとハッキリ言ってくれたほうが私たちも楽ですよね。

そういった点でも、この本には学ぶべきことが多くありました。

学び

人生100年時代こそ「長期視点」

この本によく出てくるフレーズ、それは「年を取ると」「高齢になると」といった長期的な意味合いを持った言葉です。

「今すぐに実務に活かせて効果が出るようなメソッドは書かれていない」

ここが、他のビジネス書と大きく異なる点です。

 

では、「すぐに効果が出ないものは、やらなくてよいのか」と問われるとどうでしょう?

そんなことはありませんよね。

本書に書かれたいたような「長期的な健康資産づくり」は絶対にやるべきです。

 

しかし、「長期的なモノの見方」をするのはそう容易くはありません。

人間の特性上、どうしても我々は「短期的なモノ」に飛びつきがちです。

正直、この「長期的vs短期的問題」に効く処方箋を持ち合わせてはいません。

ですが、この問題に直面したとき、ある人の次の言葉を思い出すようにしています。

短期視点か長期視点かで判断に迷った場合は、後者に従う方がいい

この言葉を授かって以来、一呼吸おいて、この言葉を口ずさむクセをつけるようにしました。

そしたら、以前よりも慎重な判断を下せるようになった気がします。

もちろん、この判断の良否を知ることになるのは、ずっと先の未来になるのでしょうが。

 


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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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