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【要約・書評】『日本人の勝算』デービッド・アトキンソン

この本で解ける疑問は?

  • 日本の未来は暗い?それとも明るい?
  • 日本の未来を明るくするための処方箋は?


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『日本人の勝算』って?

とある上司に勧められて読んだ本が、この『日本人の勝算』です。

最近は、こういった「マクロ環境の動向」を知れる本を読んでこなかったので、即購入して読んでみました。

ハッキリ言って、この本は日本人全員が読むべきです。

あまり「べき論」は好きじゃないので、いつも「オススメします」とか「〇〇な人は、読んでみてくださいね」くらいの書きっぷりでしたが…

この本、若者とか高齢者とか、そんな区分けは一切関係なく、日本人全員が読むべき本です。

「何となく日本の未来が不安だなー」と思っていた自分が恥ずかしくなる。

それくらい「現実」を突き付けられる本です。

 

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • 日本が直視すべきパラダイムシフト(日本が直視すべき「パラダイムシフト(これまでの常識が大きく移り変わること)」は7つある。「デフレ圧力の常態化」「"高付加価値・高所得"資本主義への展開」「供給過剰を調整するための輸出振興」「企業規模拡大のためのM&A促進」「最低賃金引き上げて生産性を高める」「日本に好循環をもたらす"要石"の政策」「教育を子ども向けから大人向けに拡張する」の7つである。
  • 中でも、特に我々が問題視しなければならないのが、「デフレ圧力の常態化」である。この要因は、需要側と供給側それぞれに存在する。特に需要側の中でも、「人口減少」が最も深刻である。人口減少が進むと、不動産価格が下がることで、物価全体に与える影響が増大してしまう。裏を返すと、人口が増えると、不動産価格が上がりやすくなるため、全体の物価上昇につながる。これは、不動産規制や物理的な制限などがあって、そう簡単に供給が増加しないためである(供給が限られている中、需要だけが増えると、価格が上がる)。

いかがでしたでしょうか。

正直、この本の構造全てを「ペライチ」に要約するのは難しかったです。なぜならば、1つ目のパラダイムシフト「デフレ圧力の常態化」の要因を1つ説明するだけでも、上の図のような丁寧な論理構造が構築されているからです。

これらのきめ細やかな論理構造全てを見える化しようとすると、おそらくA1用紙くらいは必要になるのではないでしょうか。

それほど、緻密な論理で、各国の論文データも用いながら、論を展開されている本です。

そしてもっと驚きなのが、これほど緻密で複雑な論理を展開されているのにも関わらず、「読みやすい」のです。

今回、この本をオススメする理由はこの2点です。

  1. 日本の未来について、蓋然性の高いストーリーで語られている
  2. 本来は複雑で専門的な内容のはずだが、この上なく「わかりやすい」

1人でも多くの方に、本書を手に取っていただけると幸いです。

学び

個人として何ができるか?やはり「生産性」がキーワード?

「デフレ圧力の常態化」を解消する鍵の一つは、「生産性向上」です。

ところで「生産性」とは何でしょうか?

「労働時間を減らすこと = 生産性を上げること」は間違い

よく「生産性向上のために、何をやっていますか?」と質問してみると、こんな答えが返ってきます。

  • 仕事を減らして、残業時間を無くしました
  • 自動化が進み、定時に帰れるようにしました

もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこれらの意見は「労働時間」のことだけをフォーカスしています。

ここには、間違った前提が隠れています。

「労働時間を減らすこと = 生産性を上げること」

これは間違いです。

「生産性 = 付加価値 ÷ 労働時間」が正しい

始めの問いに戻ります。

「生産性」とは何か?

答えはこれです。

「生産性 = 付加価値 ÷ 労働時間」

 

先ほどの議論は、分母の「労働時間」だけがフォーカスされています。

本来は、分子の「付加価値をどう上げるか?」も議論されるべきです。

しかし、この「付加価値」の議論が難しいことも事実です。

なぜならば、付加価値を測定する「確かなモノサシ」が存在しないからです。

ですので、「色々なモノサシの存在を理解し、それぞれのモノサシを持った人間が活き活きと働ける環境づくり」が重要になってきます。

 

例えば、『天才を殺す凡人』では3つのモノサシが登場します。

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  • 凡人が持つモノサシ=「共感性」
  • 秀才が持つモノサシ=「再現性」
  • 天才が持つモノサシ=「創造性」

「付加価値」は、これらのモノサシの組み合わせで生まれるものだと思います。

だからこそ、この3つのモノサシを持った人材が働きやすい仕組み・仕掛けを練っていく必要があります。

明日から取れるアクション1つ

  • 自分が出せる「付加価値」の種類を書き出した後、その「付加価値」を上げるためのアクションを並べてみる


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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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