この本で解ける疑問は?
- 顧客がネット上に残した社外データ、どうやって役に立てるの?
- 社内データに頼っていると危ないって本当?
https://www.amazon.co.jp/dp/4478107696
『Outside Insight』って?
「Insight」というキーワードに惹かれて手に取った本が、この『Outside Insight』です。
社内データのみにこだわって倒産した巨大フィルム企業コダック。
競合が残したネット上のパンくずから自社の成長のヒントを得たInstagram。
この両者の結末の差は、どのようにして生まれたのでしょうか?
(画像をクリックすると、PDFが開きます)
- 私たちはネット上に大量の「痕跡=パンくず」を無意識に残している。そんな状況下で、社内のデータの掘り起こしは過去を振り返るのと同じだといえる。これからの未来を切り開けるのは「社外データ」である。
- 社外データを使うと、1)将来志向のインサイトが加わる、2)意思決定のリアルタイム化する、3)競合とのベンチマークが意思決定の前提になる、などの変化が生じる。
- 意思決定に社外データを取り入れていくためには、3つのフェーズを踏む必要がある。
- 第一に、市場の競争環境の理解を進める。
まず、将来の業績に影響するマクロ経済のトレンドなど、業界共通の要因を特定する。次に、競合との緊張関係に由来し、将来の業績に影響する外部の運営における主要項目要素を特定する。最後に、リスクと機会を早期発見するシステムを構築する。 - 第二に、意思決定プロセスの中心に社外データを加えていく。
まず、競合との緊張関係が支配する領域において、自社の戦略を明確化する。次に、社外の要因を財務予想モデルに組み込む。そして、社外の主要な業績指標における競合の状況をベンチマークすることを通じて戦略実施の有効性を測定する。 - 第三に、社外データ活用に完全移行する。
まず、財務的な目標とは別に主要業績指標に関する年度目標を明らかにする。次に、財務的数字ではなく、主要競争指標における対競合とのベンチマークを通じて会社の健全性を評価するようにする。最後に、洗練されたシナリオ分析とゲーム理論を用い、精密なAIソフトウェアによる意思決定メカニズムを導入する。 - 以上のステップを踏むことで、競争優位を導く「ネットデータ活用」戦略を構築することができる。
いかがでしたでしょうか。
ネットデータ活用の「Why」や「What」を知るにはうってつけの本だと思います。
ただし、和訳された本ですので、若干の読みにくさは我慢が必要です。
ですが、海外の最先端の知見が余すことなく記されている貴重な本でもありますので、「少し時間をかけてでも、ネットデータ活用戦略について学びたい」という方にはオススメの一冊です。
学び
プラットフォーム事業が強い理由
この本を読んでいて腑に落ちたのが、「AmazonやNetflixといった、インターネットプラットフォーム企業が、確固たる強さを誇っている理由」です。
彼らは、ネット上での顧客の動き=社外データを使って、自動リコメンド機能などをどんどんブラッシュアップしています。
しかし、AmazonやNetflixといった企業が社外データを活用して成果を上げているのは、別に近年に限った話ではありません。AIなどが発達するよりもずっと前から、彼らは社外データを中心に活用してきたのです。
例えば、Netflixがレンタルビデオ事業を行っていた2000年当初、競合相手はブロックバスター。当時はNetflixの何倍も大きい企業でした。
2000年当初に、Netflixがどのように巨象と闘ったか?
かなりアナログではありますが、顧客1人ひとりがどのビデオを借りて、次にどのビデオを借りたか。こうした顧客の動向をきめ細かに記録して、何度も分析を繰り返したそうです。
今と時代は違えど、2000年と現在で共通しているのは「社外データ」を経営の中心に据えている点です。
デジタル化が進む進まないに限らず、「社外データ」には大いなる価値がある、ということですね。
もちろん、手に入りやすいのは「社内データ」の方なので、楽なデータに飛びつきたくなります。
その誘惑に負けることなく、まずは社外データを収集するところから始めなければならないのでしょう。
全く活用できていないGoogle Analyticsを使いこなせるよう、改めてチャレンジしてみようと思います。
明日から取れるアクション1つ
- このブログで入手できる「社外データ(顧客データ)」を洗い出してみる