この本で解ける疑問は?
- 普通の財務分析と経営分析の違いは?
- 経営の勝ちパターンの見抜き方とは?
https://www.amazon.co.jp/dp/4569800785
『IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ』って?
最近のマイブームは「会計」がキテいます。
「会計」といっても、簿記ではありません。
簿記はあくまで、財務諸表を「作る」ための知識です。
そうではなく、財務諸表を「読む」ための知識にハマっています。
…とはいえ、いざ本を開いてみると、財務諸表を「作る」ための知識や技術が書かれた本が多いこと。
そんなこんなで、書店を彷徨いながらようやく発見した、「財務諸表を読むための本」をご紹介します。
本のタイトルは『IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ』です。
(画像をクリックすると、PDFが開きます)
- 経営分析の目的は、その会社がいい状態にあるのか、悪い状態にあるのかを見極めることである。そのために、企業の健康診断を行い、潜在的な病理と顕在的な病理を発見する手法として、経営分析は極めて重要である。
- 経営分析を進める際は、まず最初に「数字」を見る。その後、数字の背後にある企業実態を把握していく。
- 企業実態を把握するためには、まずPL(損益計算書)を見に行くのが一番手っ取り早い。
- その後、PLをもとに描いたストーリーに持続性があるかどうかを、BS(貸借対照表)で確認する。
- PLとBSの数字に嘘偽りが無いかどうかは、CS(キャッシュフロー計算書)を使って確認できる。
- 企業の勝ちパターンには、まず「規模の経済」の追求が挙げられる。しかし、規模を拡大させる際は、共有コストがちゃんと薄まるかを念入りに検証しておく必要がある。なぜならば、共有コストが薄い状態で規模を拡大させると、かえって規模の不経済を招くおそれがあるためである。
(規模の経済を、稼働率の経済と勘違いする人が多い) - 「範囲の経済」とは、もともとある仕組みを活用し、異なった種類の商材で事業を拡大し、共有コストを薄める戦い方を指す。
- 「密度の経済」とは、エリア集中によって、売上に対する配送コストや本部管理コストを薄める戦い方を指す。
- 「ネットワークの経済」においては、普及させるほど価値が高まるモノをリスクをとって全速力で拡大させることが競争に勝つカギとなる。
- 「スイッチングコスト」を意図的に設計することで、顧客が他社製品に乗り換えるのを困難にすることができる。
いかがでしたでしょうか?
本書は、あまり体系的には書かれていませんが、経営分析の心髄をナマナマしく表現している良書です。
これまで自分がやっていた分析が、ただの「ままごと」だと思い知らされます。
さすがに、企業再生のプロフェッショナルが執筆されているだけあります。
本書を読むことで、次の日からの新聞やTVの見え方、財務諸表を読んだときに思い浮かぶ景色が180度変わるはずです。
強くオススメしたい一冊です。
学び
たこ焼き器に見出せる「範囲の経済」
この本を読んだ後、友人とたこ焼きパーティーをする機会がありました。
そのときに、ふと閃きました。
「あ、たこ焼き器でアヒージョを作るのは、まさに範囲の経済」だと。
もし、たこ焼き器の「範囲の経済性」を見抜くことができなければ、アヒージョを作るために、新たに機材を買わないといけない。そうすると、コストが余計にかかってしまいます。
一方、たこ焼き器で、商品A(たこ焼き)と商品B(アヒージョ)を作りだすことができれば…たこ焼き器という「共有コスト」を薄めることができる。
以上の気付きのおかげで、同じ日に、たこ焼きとアヒージョを、圧倒的コスパの良さで楽しむことができました。
なんだか「くだらない」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、要はこういう気付きを、コンスタントにポンポン思いつく練習をしておくことが重要だと思うんです。
範囲の経済のような「事業経済性」を瞬時に見抜く目を養うことができれば、ビジネスでの勝率も上がります。
何より、「事業経済性」を見抜けた方が、色々と手を抜くことができます。
ほどほどに働いて、高い成果を出し続けるためにも、この目を養い続けたいと思った次第です。
明日から取れるアクション1つ
- 毎日1つは「事業経済性(規模の経済、稼働率の経済、範囲の経済、密度の経済、ネットワークの経済)やスイッチングコスト」ぽいものを見つけてみる