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【要約・書評】『現場で使える 会計知識』川井 隆史

この本で解ける疑問は?

  • 簿記とかの専門知識がないと、財務諸表は読み解けないの?
  • 利益が出ているのに倒産する企業があるのはどうして?
  • 不正会計が起こるカラクリはどうなっている?

『現場で使える 会計知識』って?

「会計の"か"の字も知らないので、まずは初心者本からスタートしたい」

「とはいえ、ただ知識をつめ込む系は嫌だ。経営の意思決定に絡めた、かっちょいい語り口がいい」

…こんな我儘を叶えてくれる本をついに発見しました。

今回ご紹介する本は『現場で使える 会計知識』です。

会計の知識や考え方が体系的に書かれているわけではなく、特に重要なポイントを掻い摘んで教えてくれる本です。

 

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • 会計知識は、「経理部門だけが知っておけばよくて、現場のリーダーにとっては教養程度のもの」ではないことを、まず理解しておく必要がある。
    ビジネスの現場で会計を知らないのは、英語を話せない状態でアメリカへ行くのと同じである。
  • 貸借対照表(B/S)とは、どうやってお金を調達し、そのお金が何になったかを示すものである。
  • 損益計算書(P/L)は、「売上」からスタートし、費用を差し引いていき、最後に残ったものが当期純利益となる。
  • キャッシュ・フロー計算書(C/F)とは、手持ちのキャッシュがいくら増えたか・減ったかを表したものである。
  • 以上の貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書のことを財務三表という。①当期純利益と実際のキャッシュの動きの調整を行い、営業キャッシュ・フローができる。②期首のキャッシュの動きに期中のキャッシュを加減算し、期末のキャッシュを求め、これが現金預金となる。③損益計算書で認識された当期純利益は、貸借対照表の純資産として認識される。この①~③の流れで、財務三表は繋がっている。

…と、このように、非常にわかりやすい説明と図解で解説をスタートしてくれます。第2章以降を読み解くうえで、欠かせない前提知識です。

第2章以降は、東芝の不正会計問題のカラクリや、GEが財務的に強いと言われる所以などが解説されています。

この第2章以降の解説が実に面白くて、わかりやすい。
200ページ以上ありますが、面白くてすぐに読み終えてしまう。
そして気づいたら、会計の重要な考え方が理解できている。

…と、かなり美味しい本ですので、私と同様「会計を食わず嫌いしていた人」に是非オススメしたい一冊です。

学び

「キャッシュ」の大事さを思い知らせてくれる「運転資本」

本書で個人的に一番の学びだったのが、「運転資本」でした。
(ご存知の方は飛ばしてください)

「運転資本=在庫(棚卸資産)+売上債権ー仕入債務」で求めることができます。

この値が小さいほど、手元にキャッシュがたくさん残ります。

簡単に用語の意味合いを確認しておくと、

  • 売上債権
    売掛金や受取手形など、得意先との取引によって発生した債権。
    回収すればするほど、手元のキャッシュが多くなる。
  • 仕入債務
    企業が商品やサービスを購入し未払いとなっている債務で、買掛金や支払手形が該当。
    払えば払うほど、手元のキャッシュは少なくなる。

ここから言えることは、売上のお金をどんどん回収する一方、支払いをできるだけ遅くすれば、手元のキャッシュは多くなる、ということです。

例えば、商品を仕入れ、在庫を1か月後に販売し、仕入と売掛の支払いがそれぞれ2か月後だとしましょう。
運転資本は1ヶ月分必要になります。

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この運転資本がとてつもなく大きくなると、「利益は出ているのに、キャッシュが手元になくて、仕入代金を支払うことができず、倒産」みたいな黒字倒産にも陥りかねません。

運転資本は少ないほうが、財務的に「安全」だといえます。

 

では、売掛の回収を1ヶ月にすると、どうでしょう?
売掛の回収日と仕入の支払い日がイコールになり、運転資本がゼロになります。

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運転資本がゼロということは、理論的には資金が一切不要になります。

これだと、財務的にも「安全」ですね。

 

以上のように「運転資本」のことを理解することで、いかに「キャッシュ」が重要かがよくわかります。

なんとなく聞いたことのあるキーワード「キャッシュ・フロー経営」の理解にも一歩近づいた気がします。

…というわけで、ここから3ヶ月間くらいは、会計系の本も少しずつ読んでいこうかと思います。

明日から取れるアクション1つ

  • 日経新聞に登場する会計用語を1つピックアップして、自分の言葉で説明できるようにしていく

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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