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【要約・書評】『ぼくらの仮説が世界をつくる』佐渡島 庸平

この本で解ける疑問は?

  • 仮説を立てろと言うけど、そもそも仮説って何?
  • 型破りな仮説を立てるためには?

『ぼくらの仮説が世界をつくる』って?

わかるようでわからない用語筆頭の一角を担う言葉、「仮説」。

よくコンサルタント時代にも「仮説は?」と問われながら、日々目の前の課題と悪戦苦闘をしていました。

その当時の仮説の定義は「今時点で、一番確からしい答え」だと理解していました。

しかし、どうも面白みのない定義だなーと、違和感を抱いてここまで生きていました。

そんな中出会ったのが本書『ぼくらの仮説が世界をつくる』でした。

宇宙兄弟』や『ドラゴン桜』の編集者でもある佐渡島 庸平氏が考える「仮説」とは何か?今回はその正体に迫ります。

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • 仮説を立てるとは、「仮説→情報→仮説の再構築→実行→検証」で新しい定義を作り出すことを意味する。仮説を立てる際は、情報を見るよりも先に自分なりの答えを出すことで、前例主義の呪縛から自由になることができる。
  • よい仮説を作り出すためには、次の5つを心がけるとよい。
  • 1点目は、宇宙人視点で考えることである。地球に初めてやって来た宇宙人の視点で、物事をゼロベースで捉えることを意味している。そうすることで、「何となくのルール=暗黙の了解」や、昔から変わらない本質的なものを見つけやすくなる。
  • 2点目は、おもしろさ=親近感×質の絶対値だと心得ることである。具体的には、「2:6:2の法則(2割の熱狂的なファンユーザー、6割の普通ユーザー、2割の軽いユーザー)」を意識しながら、親近感を持ってもらえるコンテンツを考えていくとよい。「めんどくさいけど、ついやってしまう感覚」をいかに作り出せるかがポイントである。
  • 3点目は、「ドミノの1枚目」を倒すことである。このドミノを倒せば、次のドミノも倒れるか、つまり「次に繋がるか」を常に意識することが重要である。一気に大きな変化を追い求めるのではなく、小さな変化を地道に起こしていくことで、ドミノを1枚ずつ倒すことができる。
  • 4点目は、不安も嫉妬心もまずは疑うことである。まずは、思考の妨げになる「小さな不安」をまずは自覚することから始める。脳内を小さな自信で少しずつ一杯にしていくことで、不安や嫉妬心から徐々に開放される。
  • 5点目は、仕事で遊ぶトムソーヤになることである。ルールに従う側ではなく、ルールを作る側に回り、自分が楽しめる状態を作っていくことで、仕事を最高の遊びだと思えるようになる。

いかがでしたでしょうか?

抽象的な記述が続きましたが、ふとした拍子に1つでも意識してみると、いつもと違う発想ができるようになると思います。

型破りな発想を生み出すために、日々意識できるポイントがわかりやすく書かれた良書でした。

「ロジカルシンキング」というよりは「発想力」に興味のある方にオススメの本です。

学び

宇宙人の視点をどうやって担保するか?

本書を読んでいて、効果的だと思いつつも実行が困難だと感じたのが、先に述べた「宇宙人視点で考える」ことです。

言い換えると、「隠れた前提を見つけ出す」ことだと思いますが、これ、具体的にどうやるんでしょうね?

「明日から、隠れた前提を見つけてください」と言われても、困りますよね。

おそらく、「1人」で隠れた前提を見つけるのは困難極まりないと思います。

特に自分が慣れ親しんだテーマは、思い入れやバイアスが強くなってしまい、隠れた前提を余計に見つけにくくなります。

 

「1人」では無理だとすると、「ネットワーク」に頼るしかありませんね。

しかも、所属しているコミュニティや、これまでの経歴が全く異なる方々とのネットワークが望ましいでしょう。

バックグラウンドも価値観も全く異なる仲間がいると、自分の色メガネでは見ることのできない景色も見えてくるはずです。

いきなり「ネットワーク」に頼るのは無理だと思う方は、身近な友人や家族でもいいと思います。

私も、妻に自分の仕事のことを話すことで、「あ、他の業界の人から見ると、これは当たり前じゃないんだな」「あ、これはウチの会社だけの、何となくのルールなのかもしれない」ということによく気付かされます。

中長期的には、多様なバックグラウンドに富んだネットワーク構築に取り組み、短期的には、親しい人に仕事の話をしてみる…こんな取組みをコツコツやっていくことで、よい方向に1つずつドミノを倒していくことができるかもしれませんね。

明日から取れるアクション1つ

  • 今通っている大学院で、5人くらいの多様性溢れるチームを作ってみる

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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