この本で解ける疑問は?
- たまに耳にする「水平思考(ラテラルシンキング)」とは?
- 視点を偏らせることなく議論を進めるコツとは?
- 「多面的な視点に立て」と言われても、具体的にどんな視点で考えればいいの?
『6つの帽子思考法』って?
わかるようでわからない用語筆頭の一角を担う「水平思考(ラテラルシンキング)」。
この言葉の意味、あなたは明確に説明できますでしょうか?
説明できたとして、実務で使ったことはありますでしょうか?
私は恥ずかしながら、この言葉の意味すらも理解できていませんでした。
「うん、聞いたことはあるよ…(以上)」
…こんな状態でした。
流石にこのままでは不味いなと思い、「水平思考(ラテラルシンキング)」について知ろうと思っていたところ、ついにこの思考法の輪郭を摑める本を発見しました。
それが本書『6つの帽子思考法』です。
背表紙に「世界的な発明、水平思考とは!?」と書いてあるので、期待が高まります。
(画像をクリックすると、PDFが開きます)
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6つの帽子思考法とは、チームで目線を合わせながら、6つの視点で多面的に議論する方法を指す。この思考法を用いることで、1)チーム全員の知性・経験・知識をフル活用できる、2)議論時間を短縮できる、3)エゴ(自負心)を排除できる、4)一度に一つの事に集中できる、といったメリットを享受できる。
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1つ目の帽子が「白い帽子」である。白は中立で客観的な色である。客観的な事実と数値を提供する役割を持つ。
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2つ目の帽子が「赤い帽子」である。赤は怒りや情熱、感情を暗示している。感情的な視点を提供する役割を持つ。
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3つ目の帽子が「黒い帽子」である。黒は生真面目で思慮深い色である。警戒と注意を促し、考え方の弱点を指摘する役割を持つ。
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4つ目の帽子が「黄色い帽子」である。黄色は明るく積極的な色である。楽観主義者の帽子であり、希望と肯定的な視点を与える役割を持つ。
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5つ目の帽子が「緑の帽子」である。緑は草木など植物のイメージであり、実り豊かな成長を連想させる。創造性と新しい考えの誕生を示している。
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6つ目の帽子が「青い帽子」である。青は冷静さや空の色を連想させる。考え方のプロセスを構成・俯瞰したり、他の帽子の使い方を統制したりする役割を持つ。
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帽子を使う際には注意点がある。それは、常にチーム全員が「同じ色」の視点に立って議論することである。例えば「白い帽子」を使う時間は、チーム全員が「白い帽子」の視点で議論する。
いかがでしたでしょうか?
よく「もっと多面的に考えなさい」と言ってくる上司がいるかと思います。
是非「多面的というのは、例えば、客観的・感情的・否定的・肯定的・創造的・管理的の6つの観点でよろしいでしょうか?他に何か過不足ありますでしょうか?」と言い返してみてください。
上司は、ぐうの音も出ないでしょうし、恥ずかしくて「多面的」などという思考停止ワードも安易に声に出せなくなるはずです。
…今のは冗談半分で大袈裟に表現しましたが、「多面的」の意味合いを理解できる良書だと思いました。
学び
自分の思考のクセが掴める
本書の副次効果として、「自分の思考のクセ」に気付くことができます。
例えば、私の場合、「白い帽子」と「青い帽子」に偏っていることがわかりました。
意見を必ずファクトとロジックで支える、議論全体を俯瞰しながら設計する、こんなことは前職のコンサルティングで散々鍛えられました。
一方で、「赤い帽子」は全く使用したことがありませんでした。
「赤い帽子」は、「心からやりたいか、やりたくないか」「わが社のポリシーに反していないか」などの価値判断を行うツールです。
倫理観や哲学が求められる領域でもあります。
以前ご紹介した『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式』でも述べられていたように、白い帽子や青い帽子といった「サイエンス」では、周りと差をつけることが難しくなってきています。
それよりも、「リベラルアーツ」や「アート」の部分で差がつく。
だからこそ、「赤い帽子」の役割が大事になってきます。
本書を読んだことで、この「赤い帽子」が決定的に欠けているのだと気づかされました。
次は「リベラルアーツ」や「アート」周辺の本を読んでいきたいと思います。
明日から取れるアクション1つ
- 「赤い帽子」を鍛えるために、「リベラルアーツ」と「アート」の本を3冊ずつ読んでみる。