この本で解ける疑問は?
- AI時代を前に、何を覚悟し、何を準備すべきか?
- なぜ、いま、能力を磨かねばならないのか?
- AI時代に活躍するための3つの能力とは?
『能力を磨く』って?
以前も田坂広志氏の書籍を読みましたが、それ以来、この著者のビジネス書にハマってしまいました。
何しろ、なんとなく悪いものだと捉えていた「多重人格」を「才能」と言い切ってしまうのですから。
そんな田坂広志氏の新著が、この『能力を磨く』。
サブタイトルは"AI時代に活躍する人材「3つの能力」"。
今回はどのような切り口で、論が展開されるのか?
必見です。
-Why-なぜ書かれたのか?
本書は序話「なぜ、いま、能力を磨かねばならないのか?」という問いからスタートします。
『能力を磨く』
こうしたタイトルの本を手に取られた読者は、心に、一つの疑問を抱かれているかもしれない。
「職業人ならば、能力を磨くことの大切さは、
昔から、誰もが分かっているだろう…。
なぜ、いま、改めて、このテーマの本なのか…」その読者の問いに、冒頭、端的にお答えしておこう。
実は、これからの時代、この「能力を磨く」ということは、これまで以上に、重要なテーマになっていく。
その理由は、3つある。
第一 能力の急速な陳腐化
第二 学歴社会の崩壊
第三 AI時代の到来
(14ページ)
こうした3つの理由を背に、「AIに代替されない能力と、その磨き方を知ること」が本書の目的です。
-What-なにをすべきか?
では、AIに代替されない能力と、その磨き方とは何なのでしょうか?
まず、AIに代替されない能力について、結論は次の3点です。
- 職業的能力(直観的判断力と智恵の体得力)
- 対人的能力(コミュニケーション力とホスピタリティ力)
- 組織的能力(マネジメント力とリーダーシップ力)
なぜか?
まず、現在の知的労働の場で求められる能力について、筆者は次の5点を挙げています。
- 基礎的能力(知的集中力と知的持続力)
- 学歴的能力(論理的思考力と知識の修得力)
- 職業的能力(直観的判断力と智恵の体得力)
- 対人的能力(コミュニケーション力とホスピタリティ力)
- 組織的能力(マネジメント力とリーダーシップ力)
このうち、1と2については、将来的にAIに代替されてしまう。
というのも、AIには次の強みがあるからです。
- 無制限の集中力と持続力
- 超高速の論理的思考力
- 膨大な記憶力と検索力
- 分析力と直観力
これらの強みは、先述の1と2の能力に該当します。
AIが人間よりも、1と2の能力が優れている、というわけです。
さらに、コストの面でも、AIは人間に勝ります。
将来的にAIが大量生産されると、AI1機あたりに要するコストは、人間1人あたりに要する給与や教育コストよりも低くなることが予想されるからです。
以上の能力面とコスト面から、人間の労働がAIに代替される「AI失業」の可能性が示唆されるわけです。
しかし、一方で、「AIに代替されない能力」もある。
それが、繰り返しになりますが、この3点の能力、ということです。
- 職業的能力(直観的判断力と智恵の体得力)
- 対人的能力(コミュニケーション力とホスピタリティ力)
- 組織的能力(マネジメント力とリーダーシップ力)
-How-どのようにすべきか?
では、どうやって、この3点の能力を磨けばいいのか?
今回は、私が特に苦手としている「対人的能力」に焦点を当てたいと思います。
パッと見、いつもの「コミュ力は大事」という、ありきたり論かと勘繰りたくなります。
しかし、この一文を読んで、「む?」となりました。
もとより、人間同士のコミュニケーションにおいて、「話し方」や「話術」は大切ではあるが、そうしたものは、「コミュニケーション力」という意味では、実は、初歩的なものにすぎない。
それはなぜか。
実は、コミュニケーションの80%は「ノンバーバル」だからである。(155ページ)
つまり「話し方」に手を付けるよりも、「非言語」のコミュニケーションを学ぶことの方が、インパクトがあるわけです。
個人的には、「いやいや、言いたいことがあれば、口に出して言えよ」と思いますし、そんな環境で過ごした時間の方が長いわけですが、社会で生きていくためには、致し方ありません。
では、どうすれば、非言語コミュニケーション力を磨けるのか?
筆者は次の2点の方法を示してくれます。
第一 会議や商談の後、参加者や顧客の無言のメッセージを推察する
第二 会議や商談の後、自分の無言のメッセージが相手にどう伝わったかを想像する
(163ページ)
いずれも、目から鱗が落ちる方法でした。
「察しがいい」のは天賦の才能で、自分とは無縁だと思っていましたので、朗報でもありました。
そう、「察しがいい」は後天的に獲得できる能力なわけです。
また、AIが真似できない、かつ価値ある能力のため、「察しがいい」は身につけるべき能力でもあります。
このように、他のスキル本とは一線を画すような金言が、このビジネス書に数多く眠っています。
最初は「あーそれね。聞いたことあるし」と思うのですが、読んでいくと「…なん…だと?」となります。
※どこかのオサレ漫画より拝借。
学び
本ビジネス書を通して、次の学びを得ました。
要約スキルもAIに代替される?
本書を読む中で、「このブログでやっていることも、AIがやってくれるのかな?」と感じる瞬間が幾度かありました。
試しに「要約 AI」で検索してみると、「自動要約ツール」なるものが既に複数存在していました。
「おっと、やばいぞ」と一瞬冷や汗が頬を走りました。
…しかしですよ。
よくよく見てみると、「3行」とか「5行」とか、要は「文字数の観点」で要約していることがわかります。
入試とかでもよく見かける「本書の内容を、400文字以内に要約せよ」ってやつです。
確かに、10,000文字の内容を400文字で知ることができたら、それは大きな価値です。
ですが、そこにもう少し価値を付け足したい。
- 読者が気になりそうな問いは何か?
- 体系図にできないか?
これらの作業には「解釈」が必要です。
こうした「解釈」による付加価値を出していけば、「自動要約ツール」よりは、価値あるものを作れるのでは?と光明が見えてきました。
(もちろん、「解釈」が書籍の内容と乖離しないよう、「読解」の担保が前提なわけですが。)
「解釈」の幅を広げるためにも、本書で言う「苦労」の経験を買ってでも積まねば、と意気込んだ次第です。
明日から取れるアクション1つ
- 「どう、苦労を作り出すか?」を設計してみる。