この本で解ける疑問は?
- たまに耳にする「マーケティングオートメーション」って何?
- 自社に眠っている名刺の山、どう活用すれば?
- 見込み客の優先順位付けをするにはどうすれば?
『マーケティングオートメーション入門』って?
本書とは二度出会いました。
1回目は、コンサル2年目のときに、クライアントへのマーケティングオートメーション(以下MA)導入時に、上司にオススメされました。
当時の私は「そんなもの、仕事しながら勝手に身につくだろう」と思って、読みませんでした。
事実、この認識は「半分合っていて、半分間違い」でした。
まず合っている話。
MAには専用ツールを使う必要があります。
そのツールを使っていれば、嫌でもMAのノウハウは身に付きます。
確かに、MAの知識は、仕事を通して勝手に身につきます。
次に間違っている話。
「仕事を通して」だけだと、難しいことがあります。
それが「体系化」です。
「体系化」しないと、効率的に教育ができませんし、他領域への転用・応用も難しい。
そんな問題意識を抱いていた最中、新しい職場で、再び本書と出会いました。
これが2回目の出会いです。
2回もオススメされるということは、何かご縁があるのでしょう。
今度こそ、MAについての自分の知識を「体系化」すべく、本書を読んでみました。
長くなりましたが、本書を紹介していきます。
-Why-なぜ書かれたのか?
本書の「はじめに」には、次のように述べられています。
本書に興味をお持ちいただいたのは、「耳にしたことがあり興味はあるが、内容はよく知らない」「ちょうど自社でも取り組みを検討しているが、改めてきちんと理解したい」という方が多いのではないだろうか。本書はそのような「MAを正しく理解し、自社でも導入・活用して成果を上げたいマーケター」に向けて、MAに関するベーシックな知識を提供することを目的として執筆したものである。(3ページ)
抜粋すると「MAに関するベーシックな知識を提供すること」が本書の目的です。
-What-なにをすべきか?
なぜMAか?
デジタル化進展に伴い、購買・情報収集のチャネルが多様化したことで、1to1のマーケティングが求められるようになった。
これが、MAが現代で求められるようになった背景です。
従来は、顧客が店舗を訪れる「アナログ」が、顧客接点のメインでした。
しかし現代は、EmailやWebページ、アプリやSNSなど、顧客接点に「デジタル」の側面が加わりました。
オムニチャネルがキーワードとして挙げられるように、チャネルが多岐に渡っている。
すると、顧客は「いつでも」「どこでも」「好きなように」、情報収集や購買を行います。
こうした「多種多様な顧客」に対して、「マス向けのマーケティング」は古い。
なので、「1to1で、顧客1人1人にパーソナライズされたマーケティング」が求められている。
以上が、今、MAが求められている背景です。
MAとは何か?
では、先ほどから何度も登場しているキーワード、MAとは何なのか?
本書では次のように説明されています。
MAとは何かをシンプルに説明すれば、「デジタルテクノロジーによりマーケティング活動における実行作業を自動化すること、またはそのための機能がオールインワンでパッケージングされたツール」といったところになる。(32ページ)
より分解すると、図1に示すように、「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」「営業へのリード引渡し」の4つに分解されます。
中でも、個人的には、リードクオリフィケーションで行う、「スコアリング」が印象的でした。
スコアリングの目的は、「厳選したリード(=見込み客)を、営業に引き渡すこと」です。
このスコアリングは、次の3つの観点で行います。
-
属性
名刺交換した見込み客が平社員なら1点、社長なら5点付与するなど -
行動
メールを開封したら1点、メール内のリンクをクリックしたら3点、Webページの見積もりページを見てくれたら10点を付与するなど -
時間
前回Webページを訪れて半年以上経過した見込み客のスコアはリセットするなど
このような、1人1人の顧客の行動履歴に沿ったスコアリングが為されることで、見込み客に優先順位をつけることができます。
優先順位をつけることができれば、営業担当は「ホットな見込み客」から順番にアタックできますね。
-How-どのようにすべきか?
では、どのようにMAを社内に導入すればいいのか?
本書では、次の3つのポイントがあると述べられています。
- 自社にあった戦略策定
- リードに合わせたコンテンツ展開
- 業務に合わせたシステム導入
…「当たり前じゃないか」という声が、今にも聞こえてきそうです。
しかし、実際に導入企業を見てみると、「MAツールを導入することが目的になっている企業」も中にはいるわけです。
これはMAツールに限らず、大規模な基幹システムの導入にも言えることです。
いや、こうした「手段の目的化」は、システムに限らず、至る所に散見されます。
仕事が佳境なときこそ、面倒だけれども、「そもそもの目的は何だ?」と問うことが、時代や分野を問わない「成功の秘訣」でしょう。
「また、当たり前のことを言いやがって」と思われた方は、こうした「目的思考」がきちんとできる人だと思いますので、ご放念ください。
最後に、本書の「ペライチ」を図2に示しておきます。
本書には、MAツール導入企業の成功事例なども記されているので、MA施策の検討や導入を考えられている担当者は、是非ご覧になってみてください。
学び
本ビジネス書を通して、次の学びを得ました。
マーケティングの「量」と「質」どちらを取るか議論
よくMAツール導入と抱き合わせで出てくる議論が、「量と取るか、質を取るか」の論点です。
これの考え方について、少し持論を述べたく。
図3をご覧ください。
結論からいうと、量と質どちらを追うかは、「ケースバイケース」です。
例えば、「顧客にメルマガを送信し、自社ページのフォームに登録してもらうシーン」を考えてみましょう。
まず、①→②の人数が極端に少ない場合。
これは、いくら③→④の確度を上げに行ったところで、インパクトはたかが知れています。
まずは、「メールを開封してもらうために、どうすればいいか?」「どうやって開封者数を増やすか?」という「量」の議論にフォーカスするのが望ましいでしょう。
次に、①→②は多いけど、③→④が少ない場合。
これは逆に、①→②に手を付けるよりは、「フォームを開いてもらい、登録してもらうためにどうすればいいか?」という「質」の議論にフォーカスするのが望ましいです。
フォームに表示する項目数や見た目などを議論するわけです。
今のは、かなり議論を単純化しましたが、これが高級マンションのような「超高単価な商材」だと、話が変わってきます。
①→②の人数が少なかろうと、③→④の議論にフォーカスした方がいい場合もあるでしょう。
…まあ何が言いたいかというと、「あれこれ考えるより、やってみた方が早いときもある」ということです。
特にこういったデジタル施策の議論は、まず試してみたほうが、かえって近道になることもあります。
恒例の、「自戒の意を込めて」。
明日から取れるアクション1つ
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