この本で解ける疑問は?
- 誰もが才能開花させる方法とは?
- 「どれが本物の自分かわからない」と思うときがあるんだけど、多重人格って悪いこと?
- 優れた経営者は多重人格だって本当?
『人は、誰もが「多重人格」』って?
「才能」というキーワードが、最近頭から離れません。
というのは、『天才を殺す凡人』を読んで以来、「天才とは何か?」「凡才とは何か?」という論点が気になって仕方がないからです。
中でも一番引っかかっていたのが「才能は天与のものなのか?」「後天的に開花させることはできないのか?」ということです。
そこで、Amazonで「才能」と検索したところ、なぜか「多重人格」の本がヒットしたわけです。
…謎ですよね。
ですが、一見「は?」と思えるところに、アッと驚く示唆が潜んでいることが、往々にしてあります。
結論、「才能は誰もが開花できる」ということがわかりましたので、皆さんにも本書を紹介したいと思います。
-Why-なぜ書かれたのか?
本書の序文は「なぜ、このような本が生まれたのか?」という題目で、次の文章でスタートします。
2014年、私は、この光文社新書から、『知性を磨くー「スーパージェネラリスト」の時代』という著書を上梓しましたが、この本の中で、これからの時代には、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という「七つの知性」を垂直統合した「スーパージェネラリスト」と呼ぶべき人材が活躍することを語り、そうした人材へと成長するための技法について述べました。
この技法の中で、「七つの知性」を垂直統合するためには、置かれた立場と状況に合わせ、自分の中の「様々な人格」を切り替えて対処する「多重人格のマネジメント」が必要であることについても述べましたが、予想を超え、多くの読者から、この「多重人格のマネジメント」についてさらに詳しく知りたいとの声が寄せられました。(8ページ)
また、本書のサブタイトルを見てみると『人は、誰もが「多重人格」ー誰も語らなかった「才能開花の技法」』とあります。
この「才能開花の技法」こそが、「多重人格のマネジメント」だそうです。
つまり、「多重人格のマネジメントを通じて、才能を開花させる技法を伝えること」が本書の目的だと読み取ることができます。
-What-なにをすべきか?
すべきことは「多重人格のマネジメント」だとわかったわけですが、この技法を知るためには、「そもそも、何が才能の開花の妨げになっているのか?」を考えないといけません。
この問いを起点とした本書の「ペライチ」を図1に示します。
何が妨げになっているのか。一言でいうと、これが答えです。
「才能」の本質は「人格」であるにも関わらず、「表の人格」が「隠れた人格」の妨げになっているから。
どういうことか、順に説明します。
才能の本質は人格
ビジネスの世界では「人の心」に処する力なので、この世界で求められる「才能」は必然的に「人格」と切っても切り離せない関係となります。
つまり、ビジネスの世界における「才能」は「人格」抜きには表せないわけですから、「才能の本質は人格」と結論づけることができます。
ということは、「人格の幅広さ」はそのまま「才能の幅広さ」を示すわけですから、人格を複数持った方がよい。
しかし、ここで1つ問題があります。
「表の人格」が「隠れた人格」の妨げになっている
我々は、深層意識と表層意識を持っています。
この深層意識は「天邪鬼」な性質を孕んでいます。
深層意識は、表層意識が思っていることと逆のことを思う傾向がある、ということです。
例えば、上司から「この目標達成できるな?絶対達成できるよな?」と言われたとしましょう。
で、表向きは「絶対できます!」と表明したとします。
そうすると、表層意識は「絶対できる」と思っているのですが、深層意識はどうでしょう?
「ぶっちゃけ、できなくね?」「できなかったら、どうしよ…」となるわけです。
表層意識が「できる」と思うほど、深層意識は「できない」と思うようになっていく。
そして、深層意識が、「表の人格」以外の「隠れた人格」を、どんどん抑圧してしまう。
(「こうしたらできるんじゃない?」という陽気な性格や、「無理だから上司に直談判すべきでは?」という勇敢な性格などが、抑え込まれていますよね)
…こういう「負けパターン」に陥ると、もったいない。
なので、深層意識で抑圧している「隠れた人格=隠れた才能」に気づき、育てる方法が必要になってきます。
-How-どのようにすべきか?
ここでは2段階で考える必要があるそうです。
-
どうやって「隠れた人格=隠れた才能」を開花させるか?
-
どうやって「隠れた人格」から「豊かな人間像や人間性」を開花させるか?
順に追っていきます。
どうやって「隠れた人格=隠れた才能」を開花させるか?
第一に、「人格の切り替え」を日々訓練し「精神的基礎体力」をつけないといけません。
具体的には、
-
若いうちから、メール一つ電話一つでも、細やかに人格を使い分けながら、相手に対応する
-
会議では、発散段階と収束段階とで「始め民主主義、残り独裁」のように人格を使い分ける
…という基本動作を通して、人格の切り替えに必要な基礎体力を身につけることが先決です。
第二に、人格は「変えよう」とするのではなく、新しい人格を「育てる」段階へと移ります。
ここでは、人格のレベル別に方法があるそうです。
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表層人格=ある状況では隠れているが、他の状況ではすでに表に出ている人格
-
深層人格=現在は隠れているが、置かれている状況が変わったり、意識的な努力をすることで育つ人格
-
抑圧人格=何かの理由で強く抑圧されており、表に出てこない人格
例えば、「表層人格」レベルの場合は、次のようにして、新しい「人格」を育てます。
-
自分が、いまの仕事に「どのような人格」で取り組んでいるか、観察する
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自分が、仕事以外の世界で「どのような人格」を表しているか、観察する
-
「仕事のできる人」が、仕事でどう「人格」を切り替えているか、観察する
-
自分の仕事において、表に出して活用する「人格」を切り替える
どうやって「隠れた人格」から「豊かな人間像や人間性」を開花させるか?
以上のようにして、「隠れた人格」を「新しい人格」へと育てたわけですが、
次はこれを、「豊かな人間像や人間性」へと昇華させることができるそうです。
その方法とは、次の2点です。
- 「教養」を身につける
- 「エゴ・マネジメント」を行う
この「人間の極みへと誘う技法」については、詳しくは本書をご覧になってみてください。
他にも、筆者の深みのある示唆が散りばめられているので、是非、宝探しだと思って、本書の中を探検してみてください。
個人的には、
- 「経験」と「体験」の違いとは?
- 「性格診断」「適性検査」の罠と、本当の役割とは?
- 「大我」と「無我」の違いとは?
…の答えも「宝」だと感じましたので、Evernoteにそっと保管しました。
学び
本ビジネス書を通して、次の学びを得ました。
「融通無碍なしなやかさ」のカギは「多重人格」?
またまた私事で恐縮ですが、
「融通無碍なしなやかさ」を手に入れること
これが、私がビジネス書を読む目的です。
この目的を手にしたのは、だいぶ前にご紹介した『もっと早く、もっと楽しく、仕事の成果をあげる法』がきっかけです。
融通無碍とは、「考え方や行動にとらわれるところがなく、自由である様」を意味します。
これ、まさに『人は、誰もが「多重人格」ー誰も語らなかった「才能開花の技法」』で述べられていた「多重人格のマネジメント」そのものじゃないですか!
このことに気づいたとき、思わず鳥肌が立ちました。
ありたい姿に向けて大きく背中を押してくれた本書に、感謝しています。
明日から取れるアクション1つ
- 自分の人格を複数列挙してみる。
「家にいるときの自分」
「仕事のときの自分」
「大学のゼミ仲間といるときの自分」
「大学のサークル仲間といるときの自分」
…それぞれ、性格が違うと思うんですよね(笑)