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【1枚でわかる】『戦略「脳」を鍛える』御立 尚資

この本で解ける疑問は?

  • 戦略的に考えるってどういうこと?
  • ポーターの競争戦略とか「戦略論」だけじゃダメなの?
  • 他社と差別化する発想の秘訣は?

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『戦略「脳」を鍛える』って?

-Why-なぜ書かれたのか?

本書では、マイケル・ポーターに代表されるアカデミックな戦略論だけでは、他社に勝てる戦略をつくることはできないとし、以下の論を展開しています。

経営の場でも、プロ同士が全力で戦う自由市場においては、戦略論という定石を当然知ったうえで、新たな戦い方をつくり上げる「プラスアルファの能力」を身につけた者だけが、自らを差別化し、競争優位に立つことができる。

この「プラスアルファの能力」を、我々は「インサイト(Insight)」と呼んでいる。
(中略)
BCG流の「インサイト」をあえて意訳するならば、「勝てる戦略の構築に必要な"頭の使い方"、ならびにその結果として得られる"ユニークな視座"」という感じになろうか。(3ページ)

つまり、他社に勝てるユニークな戦略を立てるために、「定石」に「インサイト」を加える思考法を伝授することが、本書の目的なのでしょう。

特に、「インサイト」というキーワードに重きを置いています。
では、「インサイト」とは一体何者なのでしょうか?

-What-なにをすべきか?

筆者は、「ユニークな戦略」を次のように定義しています。

ユニークな戦略=定石+インサイト(27ページ)

どうやら、どちらかが欠けてはダメらしく、「定石」と「インサイト」の両輪があってこそ、ユニークな戦略をつくることができるそうです。

ただ、「定石」や「インサイト」とだけ聞いてもイマイチ、ピンと来ませんよね。

そこで、本書の内容をもとに、この「定石」「インサイト」の全体像や構造を私なりに図解してみました。

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図1

ちょっと小さくて見づらいかもしれませんが、この図1のように体系化できます。
これら全ての中で、自分に欠けている部分を中心に、1つ1つ会得していくことがコツだそうです。

「え、シャドウボクシングってなに?」「テコとかツボってどういうこと?」と気になった方は、是非本書を読んでみてください。

具体的な企業の事例や、BCGが考え出した理論をベースに説明されていますので、理解がグッと深まると思います。

-How-どのようにすべきか?

今回は図1の"ヒネリ"レンズの1つ「逆バリする」に着目してみます。

これは、平たくいうと「周りと逆のことをする」という意味です。

 

例えば、株式投資を考えるとわかりやすいでしょう。

「株が暴騰しているから、周りが買っている。だから、自分も買う」という行為は、よく起こり得るケースだと思います。

一方で、「株が暴落しているから、周りも株を売っている。だから、自分は逆に買う」。
これは一味違います。

一見、周囲と真逆の行動を取っており、「え、何やってんの?」と思うかもしれません。
しかし、よく考えると、「株が安くなったタイミングで購入する」という理にかなった行動とも解釈できます。

こうした「逆バリする」の背景には、「他人と同じことをしていても、勝てるはずがない」という考え方があるのでしょう。

 

今ご紹介したのはほんのパーツに過ぎません。
本書を通して、たくさんの事例や例題を読み進めながら、戦略思考を体系的に鍛えることができます。

是非、一度手に取ってみてください。
中古は例のごとく、1円から、送料込みでも500円以内で手に入ります。

 

学び

本書を通して、次の2点を学びました

  • 「逆を考えること」は、価値ある思考をするための共通のコツである
  • 似た本を読んで、導き出した「共通点」こそ、「コツ」である

「逆を考えること」は、価値ある思考をするための共通のコツである

先述の「逆バリする」の話然り。

「自分の頭で考えろ」に困っているあなたへ!『知的複眼思考法』苅谷 剛彦の記事や、言葉に落とせないのは語彙力のせいじゃない!『言葉にできるは武器になる』梅田 悟司の記事でも述べたことです。

こうした色々な著書に出てくる「共通項」はおそらく「コツ」といえるでしょう。

似た本を読んで、導き出した「共通点」こそ、「コツ」である

「コツ」で学んだ方が、物事の会得が格段に早くなることは、努力しても成果が出にくいあなたへ!『もっと早く、もっと楽しく、仕事の成果をあげる法』古谷 昇の記事でもご紹介しました。

ここでわかったのは、似たようなジャンルの本を読み続けると、「共通して書かれていること」に気づくことがあります。
似たジャンルの本を読むことで「コツ」を発見できる、というわけです。

例えば、今回の記事の「逆バリする」という考え方は、私が紹介してきたいくつかの本にも共通して書かれていました。

こうした「共通点」こそ、物事の上達の「コツ」なのではないでしょうか?

つまり、「逆バリする」「逆の視点で考える」という行為は、思考力を鍛えるにあたっての「コツ」だということです。

試しに、「逆の視点で考えるWeek」を設けてみようかと思います。
この「逆の視点で考えるWeek」を実践した効果を、改めて記事にしたいと思います。

もし「効果があまりなかった」という結論になった場合は、悲惨ですね。
先ほど述べた、似たジャンルの本を読むことで「コツ」を発見できる、という仮説も否定されることになるからです。

まあ、それはそれで、思考が一歩前進するので、試す価値は大いにありますね。

明日から取れるアクション1つ

  • 1日1つ、「逆の視点」の意見を書いてみる

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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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