「幸せになりたいか?」
おそらく、100人中100人は「Yes」と即答するであろう、この質問。
しかし、ぶっちゃけて言うと、「幸せになる方法」について、的を射たメッセージを発してくれる本はあまり多くありません。
もちろん「幸福論」みたいな本はいくつかあるのですが、
よくよく読んでみると、
- 「日本の幸福度はブータンよりも低い」みたいなマクロな話ばかりが書かれている本
- 幸福が生まれるメカニズムが書かれているが、具体的な方法論には踏み込んでいない本
などが多い印象です。
そんなこんなで途方に暮れていたところ、
ついに、ついに
「幸福の構成要素から、具体的なアクションまで書き切った本」が出版されました。
それが、今回ご紹介する『精神科医が見つけた3つの幸福』です。
幸福にも優先順位がある
個人的に、本書において最も重要なメッセージだと感じたのは
「幸福には優先順位がある」
ということです。
どういうことか?
まず、幸福の構成要素について、本書では次のように記されていました。
つまり、私たちが普段感じる「幸福」は、セロトニン的幸福、オキシトシン的幸福、ドーパミン的幸福に分類できるだろうということです。
セロトニン的幸福とは、一言で言うと、健康の幸福。心と体の健康です。
オキシトシン的幸福とは、つながりと愛の幸福。友情、人間関係、コミュニティへの所属などの幸福です。
ドーパミン的幸福とは、お金、成功、達成、富、名誉、地位などの幸福です。
「あなたにとっての幸福とはなんですか?」と質問した場合、この3つの幸福のどれかを答える人がほとんどのはずです。
『精神科医が見つけた3つの幸福』p24より
なるほど、幸福は大きく3つに分類されるそうです。
個人的には、3つ目の「ドーパミン的幸福」に目が行きがちだったので、
他に「セロトニン的幸福」と「オキシトシン的幸福」があることを知れただけでも大きな収穫でした。
しかし、本書のメインディッシュはここからです。
どうやら、この3つの幸福には「優先順位」があるようでして。
一番優先順位が高いのは「心と体の健康=セロトニン的幸福」であり、
二番目は「つながり・愛=オキシトシン的幸福」であり、
三番目は「成功・お金=ドーパミン的幸福」だそうです。
これは盲点かもしれません。
というのも、「病気もしたことがなく、友だちにも困ったことがないぜ」という人にとっては、気づきにくいポイントだからです。
いわゆる「失って、大切さに気付く幸せシリーズ」ですね。
でも確かに、不健康で友人にも恵まれていない状態では、仕事を頑張る余裕なんて持てないはず。
かくいう私も、高校時代に大きく体調を崩したわけですが、
友人と接する余裕もなければ、勉強や部活に集中する気力も皆無でした。
一方で、体調が落ち着いてきたころに訪れた浪人時代。
傍から見れば、大学受験に失敗して、もう1度受験勉強をする羽目になった「不幸な人」に見えるでしょう。
しかし、私からすれば、「毎日元気に、友人と勉強できるだけで幸せ」でした。
以上のような経緯もあり、
本書が示す「一に健康、二につながり、三に成功」という優先順位は、
これ以上なくしっくりきました。
こういった「幸福の優先順位」を明確に示した上で、
具体的に取るべきアクションまで伝授してくれる。
本当に、至れり尽くせりな本でした。
センスは「順番」に宿る
今回ご紹介した『精神科医が見つけた3つの幸福』では、
「幸福にも、満たすべき"順番"がある」ということを学びました。
ここでいう「順番」こそが、物事を上手く進めるための鍵なのではないでしょうか?
この「順番」の大切さを教えてくれるのが、楠木建氏と山口周氏の『「仕事ができる」とはどういうことか?』です。
【書評】『「仕事ができる」とはどういうことか?』楠木 建、山口 周
この本によると、センスがある人とない人とでは、
やることやToDoリスト自体にはあまり差がないそうです。
しかし、ToDoリストをこなす「順番」が大きく異なります。
センスがいい人は、ToDoをこなす順番に「ストーリー性」を持たせることができる。
一方で、センスがない人は、ToDoリストを無作為にこなしていく。
ここに大きな差があります。
確かに、セブンイレブンとローソンとで、やっている施策=ToDoはほとんど変わりません。
2社とも全国展開しています。
しかし、全国展開する「順番」には決定的な違いがありました。
ローソンはいきなり全国展開しましたが、セブンイレブンは自店舗の近くに密集させながら増やしていきました。
この「出店する順番」によって、両者の業績には大きな差がつきました。
同じように、あらゆる物事は「取り組む順番」によって、大きく結果が変わってきます。
幸福になる順番は「一に健康、二につながり、三に成功」ですし、
お金持ちになる順番は「まず手元の現金に余裕を持たせる。次に余剰資金を投資にあてる」です。
改めて「取り組む順番」の大切さを思い知らされました。