(出典:https://unsplash.com/photos/-Cmz06-0btw)
1歳になった子どもがアンパンマン教にめでたく入信されまして、私も毎日のようにアンパンマンを見させられる日々を送っています。
Youtubeの「アンパンマンがうまれた日」なんて、年末年始だけで最低でも30回は観ているはずです。
とにかく「アンパンマンを一緒に観る時間」が長い。
でも、アンパンマンってとにかくストーリーが単調じゃないですか。
ざっくり抽象化すると、「平和に暮らす一般人(動物?)たちに悪さするバイキンマンを、アンパンマンが成敗するストーリー」以上でも以下でもない。
だから、先が読めてしまって、つまらない。
でも、一緒に長い時間アンパンマンを観ないといけない。
せっかく長い時間をアンパンマンに費やすのだから、何かしら1個でもいいので学びを得て、生産的な時間にしたい。
そう思いながら、しばらくアンパンマンを見ていると、あることに気がつきました。
バイキンマンがアンパンマンに負ける原因は、「目的の二重性」にあると。
目的の二重性とは?
「目的の二重性」
この概念が登場するのは、名著『失敗の本質』です。
本書では、第二次世界大戦で日本がアメリカに敗戦した理由が、「組織論」によって紐解かれています。
そのなかでミッドウェー海戦の事例が記載されていて、そこで「目的の二重性」が登場します。
「目的の二重性」をざっくり説明すると、ミッドウェー海戦の目的が
- ミッドウェー島にあるアメリカ軍基地をたたくのか
- 援軍に出撃してきた米太平洋艦隊の空母部隊をたたくのか
が曖昧なまま作戦が進められ、それが原因で作戦が二転三転している間に、アメリカに反撃をされてしまった。
目的が2つもあると、どっちに向かって進めばいいかわかりませんからね。
バイキンマンが負けるのは、「目的の二重性」にハマっているから
実は、『失敗の本質』で学べることを、子どもにもわかるように教えてくれるキャラクターがいます。
それが「バイキンマン」です。
バイキンマンは毎回、必ずといっていいほどアンパンマンに敗北します。
(たまにアンパンマンとバイキンマンが仲良くなっている回もありますが)
ただ、別にバイキンマンはそこまで弱いわけではありません。
並外れた研究開発力と独自の技術によって、毎回のように違うメカを開発しては、アンパンマンを窮地に追い込みます。
この前の年末年始にYoutubeで限定公開されていた「かいじゅうバリンガー」なんかはすごかったですよね。
バイキンマンが開発した「バリンガー」という虫型のメカがあるのですが、
- モノを食べれば食べるほど巨大化していく
- バリンガーが食べた物は原型のまま保たれているので、あとでバイキンマンもその食べ物を食べることができる
- アンパンマンや食パンマンなどのアンパンマン一同を、糸でぐるぐる巻きにして戦闘不能にできる
これくらいハイスペックなメカを開発していました。
それなのに、最終的にはアンパンマンにやられてしまう。
いったいなぜ、圧倒的な技術開発力をもったバイキンマンが、腕っぷしだけのアンパンマンに負けてしまうのか?
それは、バイキンマンが「目的の二重性」にハマっているからです。
バイキンマンは、次の2つの目的で行動しています。
- 一般市民の食べ物を強奪すること
- アンパンマンを倒すこと
問題は、この2つの目的を「同時」に追ってしまっている点です。
アンパンマンの顔を水で濡らして追い詰めたと思いきや、一般市民の食べ物を盗むほうに気が散ってしまう。
あるいは、一般市民の食べ物を盗んでいる途中でアンパンマンがきたら、逃げずに戦ってしまう。
こうやって目的がブレブレだから、バイキンマンは負けるんですね。
別に「食べ物を盗むこと」が目的であれば、ある程度食べ物を盗んだタイミングで、アンパンマンから逃げるべきなんです。
そうすれば、あれだけ有能なメカも使っているのだから、「食べ物を盗む」という目的を確実に達成できたはず。
バイキンマンは身をもって「目的の二重性がいかに失敗を招くか」を教えてくれているわけです。
原理原則はアニメからも学ぶことができる。
それを教えてくれたアンパンマンと我が子に感謝しなくてはいけません。