スキルセット 書く 番外編

【自戒】読み手に負担を強いるビジネス文章術

「他人任せな抽象的な質問は嫌いです」

『呪術廻戦』22話より

こう思うシーン、こう思われるシーン、たくさんありますよね。

他人任せで読み手に負担を強いる文章を書いてしまって、相手に「クソが!」と思わせてしまうシーン。

今回は自戒の念を込めて、「読み手に余計な負荷をかけてしまう文章」を書き留めておこうかと思います。

「補足」を多用する

よく文章中に「補足」って使う人、いますよね。

あれ、あんまり好きじゃないんですよね。(といいつつ、私も使っちゃうことがあるので、反省しているのですが)

なぜなら、「補足」を使うときは、「適切な枠組みが思いつかないとき」だから。


「文章のどこに書けばいいか、よくわからん」

「でも、書いておかないと後で何か言われそうだから、とりあえず補足に書いておくか」

・・・これが、「補足」を使うときの王道パターンです。

要は、上手く分類とか枠組みを作れないから、やむを得ず「その他」的な扱いとして使うもの。

それが「補足」なわけです。


で、読み手からすると「補足」って文章に書いてあると、読解するのが面倒なんですよ。

例えば、仕事の依頼のメールに、3つのことが書かれていたとします。

  1. お願いの背景
  2. お願い事項
  3. 補足

この場合、「補足」が

  • 「お願いの背景」に関連する話なのか
  • 「お願い事項」に関連する話なのか
  • どちらにも関連しない、まったく別の話なのか

を、いちいち、読み手が解釈して埋め合わせないといけないんですよね。

当然、解釈が必要であればあるほど、文章を読み解く負担は大きくなります。

哲学書とか古典であれば、解釈の余地があるほうが読み応えがあるのですが、

ビジネス文書とか仕事のやりとりであれば、解釈の余地は少ないほうがよいでしょう。


「補足」という言葉はなるべく使わない。

「補足」に逃げない。

ちゃんと考え抜いて、適切な枠組みで整理しながら文章を書く。

こういう習慣を持っておけば、おのずと「補足」は減っていくはずです。

「確認をお願いします」とだけ書いて、依頼する

「この資料、確認をお願いします」

「以上、ご確認をお願いします」

普段何気なく使っているこれらの言い回し。

実は、知らず知らずのうちに、読み手に余計な負担をかけてしまっていることがあるんですね。

なぜなら、「いったい何がどうなっていることを確認すればいいか」がわからないからです。


私もコンサル会社にいたころ、「確認をお願いします」と書いて依頼して、ハッとさせられたことがあります。

システムを導入するプロジェクトをやっていたときの話です。

クライアントにプロジェクトの進捗報告するための資料を30ページくらい作って、上司にレビューをお願いしたんですね。

****

私「Aさん、来週の進捗報告資料できたので、確認をお願いします」

Aさん「確認って、何を確認すればいいの?」

私「え、だから、進捗報告の資料です」

Aさん「30ページ全部確認するの?あと"確認"って、プロジェクトの進捗が正しく書かれているかを確認すればOK?それとも、誤字脱字がないかだけ見ておけばいいの?」

私「えっと、主に20~25ページの"X機能の開発に進捗に遅れが出ている要因とリカバリー策"の部分に納得感があるかを確認してほしいです」

Aさん「その確認であれば、まず"内容の正しさ"については、エンジニアのBさんにお願いしたほうが確実だね。"クライアントにも伝わる表現になっているか"は僕でも確認できるけど」

私「そうですね。まずはBさんに確認をお願いしてみます」

****

このやりとりでの学びは「読み手が持っている知識量や権限によって、確認できる範囲が変わる」ということです。

単なる誤字脱字がないかの確認であれば、上司でなくても確認は可能ですし、

1機能の開発状況みたいな細かい話であれば、その機能を担当しているエンジニアが一番詳しいでしょうし、

最終的に報告資料にGOサインを出せるのは上司だけです。

こんな風に、読み手が持っている知識量や権限が異なるわけです。

そんな中「確認をお願いします」とだけ書かれて依頼をされると、「私は何の立場で、何がどうなっていることを確認すればよいのか」がサッパリわかりません。

だからこそ、

  • 何がどうなっていることを確認してほしいのか?
  • その確認をお願いするにあたり適切な相手は誰なのか?

この2つを明らかにしたうえで、「具体的に何がどうなっていることを確認してほしいのか」まで書いて依頼をする。

そうすると、確認をお願いされた側も、スムーズに確認ができます。

箇条書きで「・」と「1,2,3」の使い分けができていない

箇条書きには大きく2パターンあります。

  • XXX
  • XXX
  • XXX

と書くやつと

  1. XXX
  2. XXX
  3. XXX

と書くやつです。

この2つの使い分けができていないと、読み手に余計な負担を押し付けることになります。


まず、番号には「順番」の意味が込められています。この点を理解せずに、以下の文章を書いたとします。

  1. A機能を開発する
  2. B機能を開発する
  3. C機能を開発する

書き手としては、「A機能~C機能は同時並行で開発する」という前提を置いていたとしましょう。

でも読み手からすると、番号が振られているので、「A機能~C機能を順番に作っていくのかな」と思っちゃいますよね。


あと、質問を複数したいときに、以下のように書いたとします。

  • A機能の開発が難しい理由はなんでしょうか?
  • B機能はいつまでにリリースされますでしょうか?
  • C機能の要件定義はいつごろスタートしますでしょうか?

すると、質問された側は、以下のような返信をしなければなりません。

>A機能の開発が難しい理由はなんでしょうか?

XXXという理由で難しいです。

>B機能はいつまでにリリースされますでしょうか?

XXXまでにリリース予定です。

>C機能の要件定義はいつごろスタートしますでしょうか?

XXXごろにスタート予定です。

こんな感じで、いちいち質問を引用してコピペしなくてはなりません。

でも、

  1. A機能の開発が難しい理由はなんでしょうか?
  2. B機能はいつまでにリリースされますでしょうか?
  3. C機能の要件定義はいつごろスタートしますでしょうか?

みたいに質問をしてもらえると

1については、XXXという理由で難しいです。

2については、XXXまでにリリース予定です。

3については、XXXごろにスタート予定です。

こんな感じで、サクサク回答できます。


「細かいな、大した差じゃないでしょ」と思うかもしれません。

でもメールとかチャットを毎日数十件さばかないといけませんから、こういう積み重ねが大事だと思うんです。


以上、「読み手に余計な負荷をかけてしまう文章たち」を紹介してきました。

今後も何か見つけたら、この記事に追記していこうと思います。

皆さんも「こう書かれて苦労した」と思う文章があれば、ぜひ問い合わせフォームとかに書いてもらえると嬉しいです。

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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