新卒でコンサル会社に入ったこともあり、これまで「論理思考」とか「ロジカルシンキング」とか「○○思考」とか名のつく本をたくさん読みました。
その中で、ロジックツリー、ピラミッドストラクチャー、MECE、フレームワークなどなど、いろんなツールを手に入れました。
まずは形から、ってやつです。
それらのツールを使ってみては、
「全然MECEじゃない」
「ロジックツリーの縦の論理がつながっていない」
「これじゃトートロジーだろ」
「なんでこのフレームワーク使ったん?」
・・・などと繰り返しツッコまれ、少しずつ自分の思考を矯正していく。
そんなプロセスで、曲がりなりにも論理思考力を身に着けてきました。
おかげさまで、他人が作った資料なり文章を見たときに、「ここがおかしい」「こう変えたほうがいい」と指摘もできるようになりました。
ただ、なんとなく違和感があったんですよね。
「自分が指摘していることは、何をもって正しい指摘と言えるのだろうか」と。
そうやって、自分の考えに確証を持つために、いろんな思考力本を読み漁るわけですが…
今度は「じゃあこの本に書かれていることは、何をもって正しいと言えるの?」と気になり始めます。
そこで手に取ったのが「論理学」と名の付く本です。
ロジカルシンキングのベースになっているのは、学問としての論理学です。
そんなわけで、論理学の本を手に取ってみましたが、今度は別の壁に直面します。
「やばい、何を言っているか、マジでわからない…」
というのも「A∧(B∨C)」とか「p∧q=0」とか「p⇒q=0」みたいに、わけのわからん記号がたくさん登場するんですよ。
特に図解もなく、堅苦しい文章で、意味不明な記号とともに論が展開されていく。
そうやって挫折しかけたときに、とある本と出会いました。
『科学的論理思考のレッスン』です。
名前だけ見ると、「うわ、いかつい論理学の本じゃないか…」と思うかもしれません。
でも、本の形が横長なんですよ。まずこの時点で、他の本と一線を画しています。
しかも、パラパラとめくっていくと、2ページに1個以上のペースで、ホップなイラストや図解が差し込まれています。
よく図解が多い本を「挿絵じゃないか」と揶揄する方もいらっしゃいます。
しかし、本書に差し込まれている図解は、その1つひとつが我々の理解を大いに促進してくれます。
本来、論理学や集合論は、緻密な説明が求められるデリケートなものです。
したがって、正確に論じようと思えば思うほど、論文のように厳密な文章を中心に表現しきろうとし、結果的に理解が難しくなってしまう。
その厳密さゆえ、私みたいな若者は「論理学ってとっつきにくいなー」と思い、毛嫌いしていました。
そんなデリケートでとっつきにくい論理学を、勇気をもって簡略化し、図解と平易な文章に落とし込んでいる。
そこが、本書の最もユニークな点であり、筆者ならびに編集者が工夫に工夫を重ねた部分ではないかと思料します。
しかも「新型コロナウイルスの感染者数予測がなぜ難しいのか?」「選挙の出口調査、なぜ当落がすぐわかるのか?」など、現在ホットなテーマを題材に解説している箇所もあるので、より理解がしやすい仕立てになっています。
もう「最も親しみやすい論理学の本」と言い切っていいんじゃないでしょうか。
最後に、本書で学べることの全体像を載せておきます。
「論理思考がイマイチ使いこなせず、伸び悩んでいる」
「論理思考の基礎を学びたいが、論理学は難解でとっつきにくい」
そう思っている人に一番オススメしたい一冊です。