マインドセット マインドフルネス 書評

【要約・書評】『デジタル・ミニマリスト』

デジタル・ミニマリスト』を読んで実践したところ、効果絶大だったのでご紹介します。

今回書きたい内容はざっくり、こんな感じです。

  • 意志の力だけでは、スマホ依存からは抜け出せない
  • 「アプリを物理的に触れなくする仕組み」「アプリを触るのが面倒くさくなる仕組み」をいかに作るかが重要
  • 仕組みを上手く作りさえすれば、スマホの操作時間が激減する(これ本当)

書きたいことは以上なので、これ以降は思いつくまま、本書の魅力やら思ったことやらを書いていきます。

スマホ依存の根っこにある要因は2つ

スマホ依存から抜け出したいのであれば、まずは「スマホ依存の正体」を知る必要があります。

本書によると、スマホ依存をもたらしている根本原因は2つあると。

1つ目は「間歇強化」、2つ目は「承認欲求」です。


1つ目の「間歇強化」は、予想外のタイミングで報酬をもらえるとドーパミン増し増しになること、だそうです。

いつ「いいね」が押されるかわからない。押されるか、押されないかも、わからない。

そんな中「いいね」を押されると、ドーパミンの分泌量が大きくなる。

「いいね、ついたかな?」と気になったアプリをいじっていると、何やら気になる記事を偶然発見。またドーパミンが湧き出る。

いい情報と偶然出会える、いいねやコメントを偶然もらえる・・・ああ、なんてスリルだ、素晴らしい。

以上が「間歇強化」のメカニズムです。

ほんと、わかりみが深いですよね。


2つ目の「承認欲求」は皆さんおなじみですよね。かっこよく表現すると、他人からの見られ方を気にする本能的衝動のことです。

「いいね」とか「コメント」をもらえると嬉しいですよね。

もっともらいたくて、写真とか文章を投稿したくなりますね。

「ピコン」と音がしたら、コメントがついた合図です。

どんなコメントか気になるし、せっかくもらったコメントなんだからすぐに返さないと、失礼って思われるかもしれません。

メールやチャットもすぐに返さないと、相手にどう思われるかわかりません。

いつ通知が来てもいいように、スマホを握りしめておきましょう。

以上が「承認欲求」のメカニズムです。


「間歇強化」と「承認欲求」がいい感じにコラボして、我々をスマホ依存に陥れている。

もはや「本能の奥底」をピンポイントに攻撃にしに来ているわけです。

それを「今日はスマホを絶対見ない」と意思の力で回避するのは、ほぼ不可能でしょう。

じゃあ、どうすんのよ?・・・の答えが、『デジタル・ミニマリスト』に書いてありました。

デジタル片付けのプロセス

本書によると、以下の「デジタル片付けのプロセス」なるものを試すと、スマホ依存から脱却できるそうです。

  1. 必須でないツールを選ぶ
  2. 選んだツールの使用を30日間停止する
  3. 以下の条件を満たすツールを再導入する
    • 大事なことを直接サポートする
    • 大事なことをサポートする最適な存在
    • いつ、どのようにツールを使うか、運用ルールに沿って使えば、生活に貢献する

まず、必須でないツールを選んでいきます。

1年前の話ですが、私の場合は、

  • エンタメ系:YouTube、Amazon Prime Video
  • SNS系:Twitter、Facebook(Messanger含む)

を選んでみました。


そして、上記のツールの使用を30日間、停止してみました。

YouTubeとAmazon Prime Videoを使えないのは、最初しんどかったですね。

移動時間やお風呂の時間に、気づけば見てましたから。

代替手段として、本を読むとか、ぼーっとするとかで埋め合わせたところ、少しずつ慣れていきました。


Twitterは情報収集の手段として使っていたので、使用を停止してみたら、シンプルに不便になりましたね。

一方のFacebookは普段からほとんど使っていなかったので、楽に使用停止できました。


ツールの使用を停止して30日がたったところで、本の教えにしたがって、再導入するツールを選んでいきます。

結論からいうと、Facebook Messenger以外のアプリを、すべてスマホから消しました。

YouTubeとTwitterは情報収集のために使いたかったのですが、別にスマホアプリにこだわる必要はないなと思いまして。

「PCじゃないとYouTubeとTwitterは使えない」という運用ルールを策定しました。

Amazon Prime Videoは、Fire Stick TVを使ってテレビで見れれば十分なので、スマホからは削除。

Facebookも特に使っていないので、スマホから削除。

唯一、Facebook Messengerのみ、スマホに残しました。たまに友人から連絡が来るからです。

ただし、急ぎで見る必要はないので、通知機能はOFFにしました。


そんなこんなで、デジタル片付けをやってみたところ、可処分時間が自覚できるレベルで増えていきました。

デジタル片付けの具体的な事例を「これでもか」というくらいページ数を割いて教えてくれるので、まず間違いなく自分に合った方法が見つかるはずです。

デジタル・ミニマリスト』、オススメです。

読書メモものっけておきます。

意志の力ではなく、仕組みの力で解決したほうが確実

そういえば本書を読んでいる途中で、ベンジャミン・ハーディ氏の『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』の教えを思い出しました。

どんな教えかというと・・・

  • 「環境」を自らの手で形づくることで、自分の考えや行動を間接的に変えることができる。「環境」にフォーカスする理由は次の2点。
    • 内的要因である「意志力」は、全く役に立たないため。意志力は有限で擦り減っていくものである。意志力が擦り減ると、自制心のない無防備な状態に陥ってしまう。そうなると、夜食や時間の無駄遣いなどを律することができなくなる。
    • 外的要因である「環境」に適応するように、我々は動く習性があるため。環境が変わると、人はどんなことにも慣れてしまう。例えば、人は強制収容所にさえ慣れてしまう。1台のベッドに10人が一緒に"快適"に寝ることだってできてしまう。

※この本の書評が気になる方は、こちらもご一読いただければと。


この「環境」というのは「仕組み」と言い換えてもいいかもしれません。

「アプリを物理的に触れなくする仕組み」「アプリを触るのが面倒くさくなる仕組み」を作る。

このように外堀を埋めていけば、意志があろうとなかろうと、自然とスマホを触らなくなる。

この原理原則を押さえていたのが、まさに『デジタル・ミニマリスト』の教えだなと。

意志力が必要な「小手先のハウツー」ではなく、根本の仕組みや環境をごそっと変えてくれる本ですので、「スマホ依存から抜け出したいなー」と思っている方にぜひオススメしたい一冊です。

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

-マインドセット, マインドフルネス, 書評

© 2024 BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで