(画像出典:https://unsplash.com/photos/2ALQUTD5MKc)
ちょうど先日、子どもの寝かしつけ中にAudibleを使っている友人から依頼がありました。
「Audibleで出ている本で、おすすめのビジネス書を教えてくれ」と。
Audible(オーディブル)とは、Amazonが提供しているオーディオブックサービスのことです。
散歩・ランニング中、通勤中、家事中などに、耳で読書ができます。
そんなAudibleで聴けるビジネス書を10冊厳選してみました。
すべて、私が実際に読んでみた本です。
…とはいえ、「本の選定基準」がないと不安かと思いますので、簡単にご紹介します。
おすすめ本の選定基準
今回おすすめのビジネス書を選定した基準は3つ。
基準1:ビジネスの基礎力を底上げしてくれる本であること
BIZPERA(ビズペラ)では、「マインドセット」「スキルセット」「ナレッジセット」の3つの枠組みを網羅する形で、ビジネス書評を提供しています。
以下のカテゴリーマップをご覧いただくことで、「自分は今、どのビジネス筋力を鍛えようとしているのか」を見える化できます。
今回はこのマップに沿って、おすすめのビジネス書をご紹介します。
基準2:良書の基準を満たしていること
BIZPERA(ビズペラ)では、おすすめのビジネス書を「わかりやすさ×深さ」の2軸で選定しています。
もう少し具体化すると、以下のチェックリストを使って、なるべく「わかりやすさ」と「深さ」を担保できるよう努めています。
もし、本の選定基準をもう少し詳しくしたい方がいらっしゃれば、こちらの記事も是非ご覧ください。
ビジネス書の良し悪しを見抜く「2つの軸」とは? - BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで
基準3:音声で聞きやすい本
3つ目の基準が、音声で聞きやすいかどうか。
例えば、「図解がたくさん使われている本」は、目で見て読んだ方が理解がスムーズです。
音声だけで聞いても、スッと内容ができる本に絞ってみました。
マインドセット編
①『限りある時間の使い方』オリバー・バークマン
最近忙しいから、もっと生産性を上げるべく、時間術の本でも読もう。
そう思っている方には、こちらの本をご紹介したいと思います。
本書の根っこにある考え方は「時間を支配しようとすればするほど、時間の支配が効かなくなる」というものです。
つまり、「時間は支配できるものである」という前提に立っている「生産性を上げる技術」とか「タイムマネジメント術」みたいなものは、無意味である。
これが本書のスタンスです。
例えば、メールを効率よく返信する方法を学べば学ぶほど、より多くのメールを捌く必要が出てきて、結果的に大量のメールに圧殺される。
ToDoを効率よくこなせばこなすほど、より多くのToDoの処理を期待されて、ToDoの海に飲み込まれる。
自由時間をより多く確保するための生産性の技術が、気づけば、自由時間をより少なくしている。
これが「生産性の罠」であると、筆者は表現しています。
Audibleを使用しているあなたも、まさに「生産性高く、本をインプットしたい」と思っている一人かもしれません。
そんなあなたにこそ、「生産性の罠」に一度触れてほしい。
そう思い、こちらを一冊目に紹介させていただきました。
↓書評をご覧になりたい方は、こちら。
②『転職の思考法』北野 唯我
次に、キャリア系の本です。
キャリア系の本は、おすすめの本が多くて、どれをピックアップするか相当悩みました。
※【マップつき】20代のぼくが同世代に本気でオススメしたいキャリア本5冊
そのなかで、音声で一番聞きやすい本として『転職の思考法』を選びました。
本書は物語形式で記されているので、音声で聞くのにも最適かと。
そんな本書は、転職の際に欠かせない物差し「マーケットバリュー」について語っています。
具体的には「マーケットバリュー=技術資産×人的資産×業界の生産性」と定義されています。
そして、「一生食える会社や仕事」を見つける手法を、次のステップに沿って解説してくれます。しかも物語形式で。
- 自分の「マーケットバリュー」を測る
- 今の仕事の「寿命」を知る
- 強みが死ぬ前に、伸びる市場にピボットする
- 伸びる市場の中で、ベストな会社を見極める
ロジカル×エモーショナルな語り口で、自分のキャリアを見つめ直す機会を提供してくれる。
そんな素敵な本ですので、ぜひ聴いてみていただければと。
↓書評をご覧になりたい方は、こちら。
一度でも今の会社に疑問を持ったあなたへ!『転職の思考法』北野 唯我
③『参謀の思考法』荒川 詔四
次は「プロフェッショナル・マインド」「仕事の心構え」について書かれた本をご紹介します。
※2022/08/14時点だと、なんとAudible無料体験の対象に
本書は、幾多もの修羅場をくぐり抜けた筆者にしか書けない「現場感」に満ち溢れたものでした。
ブリヂストンの社長の片腕として、ビジネスの最前線で活躍される中で培った「参謀の思考法」にはたくさんの金言が詰まっています。
その金言たちをピックアップしたものが次の図です。
この中で特に気に入っているのが、"すべては「合目的的」に考える"というものです。
合目的的とは「目的に適っていること」を意味します。
目的が果たせるのであれば、多少の恥は惜しまない。
自分の提案が通せるのであれば、時には他人に花を持たせることも厭わない。
それくらい「目的に忠実」であることが大事。
この点が、本書を読んだ中で一番の学びです。
↓書評をご覧になりたい方は、こちら。
スキルセット編
④『THINK AGAIN』アダム・グラント
続いて、思考力を鍛える本で聴きごたえのあるものをご紹介します。
「考えること」よりも「考え直すこと」のほうが重要である。
本書のメッセージを一言でまとめると、こんな感じです。
「ころころ考えを変えるな」と教わってきた私からすると、このメッセージはとても新鮮に映りました。
本書はまず、自分の考えに固執してしまう原因となっている「過信サイクル」の正体を暴いていきます。
そのうえで、過信サイクルから自由になるための「知的謙虚さ」なる概念を授けてくれます。
↓書評をご覧になりたい方は、こちら。
レビュー『THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す』
⑤取材・執筆・推敲 書く人の教科書
本書は、私がこれまで読んだ中で「文章の書き方について、最も深い学びを与えてくれた本」です。
約500ページに渡って「ライターとは何なのか?」「取材、執筆、推敲、それぞれで必ず押させておくべきポイントは何か?」を教えてくれます。
ページ数が多くて本が分厚いので、移動中はKindleかAudibleで読むのがよいかと思い、ピックアップしてみました。
本書のなかで一番の学びは、次の一文でした。
「書かれたことではなく、書かれなかったことを考える」
これには痺れましたね。
「なぜ、こう書いたんですか?」と聞くのは簡単です。
別に、本を深く読み込んでいなくてもできる質問だからです。
しかし「なぜ、こう書かなかったんですか?」と聞くのは難しい。
なぜなら、本に書いていないものを、自分で見つけ出さなければならないから。
こういった「文章を書く人の心構え」について、じっくり時間をかけて教えてくれる本でした。
本書で学べることをまとめた図解も載せておきます。
↓書評をご覧になりたい方は、こちら。
⑥『Think CIVILITY』クリスティーン・ポラス
無礼さは年間5000億ドル相当の多大な費用をもたらす。
そんな衝撃の事実を教えてくれるのが、この本です。
本書によると、個々人の礼節を高めていくためには、まず「笑顔」「相手の尊重」「傾聴」の原則をおさえなければなりません。
そして、相手に対する偏見を取り除くために、自分が持つ偏見を客観的に見つめる必要があるそうです。
そのために「偏見排除のチェックリスト」なるものが紹介されているのですが、これは永久保存版レベルで重宝するかと思います。
本書で学べることをまとめた図解も載せておきます。
↓書評をご覧になりたい方は、こちら。
【書評】『Think CIVILITY』クリスティーン・ポラス
ナレッジセット編
⑦教養としての投資
「投資」を知らなければ、あなたは一生「奴隷」のままだ。
そんな痛烈なメッセージを教えてくれるのがこの本。
「投資の本?数字ばかり出てきて、耳で聴くのに適していないのでは?」と心配に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
本書は、以下の疑問点について、丁寧にわかりやすく答えてくれます。
- 他人に働かされている人と自分で働いている人の違いは?
- 短期投資と長期投資どちらが優れているか?
- 投資先の企業を見極める方法は?
特に「長期的視点と短期的視点のどちらを優先するか?」という究極の二択について考えさせてくれる、良本中の良本です。
Amazonでも1200以上のレビューがついており、★も4を超えているので、万人が認めるベストセラーと言えるでしょう。
本書で学べることをまとめた図解も載せておきます。
↓書評をご覧になりたい方は、こちら。
⑧シン・ニホン
次は、ビジネス書グランプリ2021で1位に輝いたこの本。
本書は、定期的に読み直している、数少ない本です。
というのも、著者の安宅氏の思考回路を全て読み解くために、一読だけでは足りないからです。
- 2020年の我々を取り巻く変化をどう理解すればよいか?
- 日本が直面している課題は何なのか?
- 課題を解決し、日本がもう一度立ち上がるために取るべき戦略は何か?
…このように、驚くべき視座の高さで、日本全体が取るべき戦略が語られています。
この視座に自分は立てているか?と定期的に見直せる、稀有な一冊かと思います。
本書で学べることをまとめた図解も載せておきます。
↓書評をご覧になりたい方は、こちら。
⑨アマゾンの最強の働き方
組織の仕組みづくりを学ぶのに、これ以上うってつけの本はない…と思わせてくれた本がこちら。
これまでAmazon社の制度や仕組みを紐解いた本をいくつも読んできましたが、個人的にはこの本が一番「Amazonの本質的な仕組み」に触れているように思います。
制度や仕組みの内容だけでなく、そこに至るまでの試行錯誤や失敗事例まで、500ページにわたって事細かに記されているからです。
なぜ、そこまで詳細に記せるのか。
それは、筆者が「Amazonが数十人規模の時期から、CEOの懐刀として事業拡大を支えてこられた方々」だからです。
よく「外資系企業で働いてみてわかったこと」みたいな本を見かけますが、そういった本とは比べようがないほど深いんですよね。
なぜなら、「外資系企業で働いてみてわかったこと」みたいな本って、基本的に「すでに出来上がった仕組みの恩恵を受けている人」が書いているからです。
でも、『アマゾンの最強の働き方』は、そういった仕組みを汗水流して作った人が書いています。
だからこそ、どんな課題に直面して、どんな施策を打ったら失敗して、どうやって解決したのか…まさに「思考の跡」が深く刻まれている本、それが『アマゾンの最強の働き方』です。
ちなみに、Amazonでは「パワポ禁止。資料はテキストで叙述的に表現すること」というルールがあります。
このルールがDNAレベルでしみついているだけあって、本書も「わかりやすいストーリー仕立て」で書かれています。
図解がなくても理解できる。そういう意味ではAudibleに適した本といえるでしょう。
↓書評をご覧になりたい方は、こちら。
まとめ
以上、Audibleのおすすめ本を9冊厳選してみました。
この記事にピックアップしていない本についても、結構悩みました。
例えば『FACTFULLNESS』はAudibleのビジネス書部門でも人気1位をとっているのですが、この本にはたくさん「示唆に富んだグラフィックデータ」が出てきます。
このグラフィックデータにこそ、本書の価値が詰まっています。
ですので、本書を耳だけで聴くのはいかがなものか…などなど、「耳で聴くのに適した本か」を悩みに悩みぬいて選んだのが、今回の9冊です。
どれも素晴らしい本ですので、Audibleでも、Kindleでも、書籍でも何でもいいですが、ぜひ読んでみてもらえると嬉しいです。