2023年2月9日に、1冊目の著書『投資としての読書』(フォレスト出版)が発売されます。
累計1500冊以上の本を読むなかでわかった、タイムパフォーマンスを最大化させる読書術について、余さずたっぷりと記しました。
「アタリ本だけを見抜ける選書のコツ」
「読んだ本の大事な2割をロジックごとまとめる、ペライチ整理術」
「読書の大前提となる、独学の方法論(これはMBA学ぶなかで見つけたやつ)」
などをまとめた1冊です。
「本当に読む価値があるかしら?」と疑問に思った方に向けて、本書の「はじめに」を全文公開いたします。
※(1/31追記)ちなみに、「おわりに」も公開いたしました。
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『投資としての読書』の「おわりに」を公開
先日は『投資としての読書』の「はじめに」と「目次」を公開いたしました。 今回は「おわりに」をご紹介できればと思います。 このブログの記事は400以上ありますが、おそらくこの記事が、最も非論理的かつ情緒 ...
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ちなみに発売1か月前ですが、1/9段階で、Amazon「ビジネス・経済」の新着ランキングで7位・・・嬉しい限りです。
定時で帰るための読書
「定時で帰りたいから」
これが、私がビジネス書を読みはじめた理由です。
さかのぼること7年前、私は外資系コンサルティングファームに新卒で入社しました。
「今まで働いたこともないのに、やりたいことなんてわかるわけがない」
「であれば、いろんな仕事をつまみ食いできるコンサル業界にでも入ろう」
「やりたいことが見つかったときに、すぐにその業界に飛び込めるようなスキルを身につけよう」
こんな軽い気持ちで、見かけ上はいわゆるキラキラキャリアを歩みはじめたわけですが、考えが甘すぎました。
「明日から君、このプロジェクトの担当ね」
夜10時に電話でそう言い渡された私は、入社して2つ目となるプロジェクトに配属されました。そこで待ち受けていたのは、毎日タクシー帰りの日々。そんな生活が待っていることは、コンサルの世界に足を踏み入れる前からわかっていたはず。激務を通してこそ、圧倒的成長が得られる――そう頭ではわかっていたのですが、実際に激務体験をしてみると、その大変さは想像のはるか上をいっていました。ゆとり世代ど真ん中の私の想像力がいかに乏しかったか、おわかりいただけるでしょう。
「入る会社を間違えた……」と後悔しつつも、立ち止まって今後のキャリアを考える余裕もなく、目の前のタスクをとにかくこなしました。
すると、次第に耳鳴りがしはじめ、[Ctrl]+[Shift]+[C]のショートカットキーを押すときに指をつり、動悸もするように。ちょうど某大手広告代理店の過労死問題が取り沙汰された時期でもあり、「どうすれば、この激務を乗り切れるか?」「どうすれば電車で帰れるだろうか?」と、目先を生き抜くことで頭がいっぱいになりました。
先輩社員や優秀な同期にも相談しようと思いました。しかし、皆さんはきっと私以上に忙しい。そんな中、「この程度のことで相談しても良いのだろうか……」とウジウジ悩んだ結果、たどり着いたのが「ビジネス書」です。
ビジネス書は、お金さえ払えば、いついかなるときでも、イヤな顔ひとつせずに、悩みごとや相談ごとに答えてくれます。歴史上の偉人から、今をときめく有名経営者まで、誰にだって相談し放題です。
とはいえ、疲労困憊で体力も時間も限られているため、ムダな本を読むわけにはいきません。それに読んだ内容を忘れてしまっては、絞り出した体力も時間もすべてパーです。
そうやって試行錯誤しながら本を読み、使えそうなノウハウを1つ見つけては、仕事で試すということを繰り返しました。
「1日1%でも学びを発見できれば、1年後の生活は1.01の365乗で約37倍マシになる」
「1年後には必ず、定時帰りの日々を手に入れてやる」
そんな想いで、読んだ本のノウハウを仕事で試しまくったところ、何とかタクシーから終電、終電から夜9時の電車と、だんだん早く帰宅できるようになり、無事にプロジェクトを乗り切りました。また、そのあとに担当した別のプロジェクトでは、ついに定時で帰宅できるレベルまで生産性を底上げできました。
定時で帰るための読書。
こう書くと何だかちっぽけに思われるかもしれません。
しかし、当時の私のように、目の前の膨大な仕事や理不尽な無茶ぶりによって、残業に苦しんでいる人も多いかと思います。仮にそうでなかったとしても「昨日より今日、今日より明日、少しだけ目の前の状況を良くしたい」と願う人もいるでしょう。本書は、そんな方々のお役に立てるはずです。
投資としての読書
最初は「定時で帰るための読書」から始まったわけですが、気づけば毎年300冊、累計1500冊以上を読み漁り、ブログで400以上の書評記事を書くようになりました。
その甲斐あって、4年前に事業会社への転職を果たし、社内のDX推進や、動画・音声コンテンツの企画発信、副業での経営支援など、興味の赴くままにたくさんのチャレンジをさせていただいています。
こうやって自分の好きなように働けているのは、試行錯誤の末「定時で帰るための読書」を「投資としての読書」へと昇華させ、本で得た学びを使い倒し、自分という資産を運用しつづけたからです。
もちろん、本選びにも数えきれないほど失敗しました。「(本の値段+読了時間× 1時間あたり機会費用)×読んで失敗した冊数」と考えると、100万円以上はムダにしたかもしれません。
本書では、そういった失敗経験も重ねて導き出した方法論「投資としての読書」を余さずお伝えします。
本書の全体像
本書の全体像は次の通りです。
第1章:費用で終わる読書、資産に変わる読書
第1章では、読書の議論に入る前段として「独学のあり方」を整理。研究モデルや私の実体験をもとに「アウトプットありきの独学サイクル」を定義しています。
そのうえで、「費用で終わる読書」「資産に変わる読書」の違いを明らかにしています。この章を読むことで、アウトプットに直結する独学の方法と、独学の一手段である読書の方向性を知ることができます。
第2章:成果は読む前に決まっている「二刀流選書術」
第2章では、本を読む前の方法論として「二刀流選書術」を紹介しています。
「本から得られる成果の8割は読む前に決まっている」という方針のもと、長期的に育てたいアウトプット用に「川下り型の選書術」を、短期的に得たいアウトプット用に「山登り型の選書術」をそれぞれ提案しています。
第3章:本の要点を一瞬でつかむ「ペライチ整理法」
第3章では、本を読むときの方法論として「ペライチ整理法」を紹介しています。
「本は全部読まずに〝大事な2割〟だけ読めばいい」という方針のもと「高速回転並読」「理解を要約してみる」の2ステップで、本の学びを紙1枚の「ペライチ」に整理する方法を解説しています。
第4章:私の「資産本」コレクション
第4章では、私がこれまで読んだ本の中で、特に「資産」としてフル活用している本を8冊紹介しています。
いずれの本も、私が実際に書き留めている「ペライチ」を載せていますので、よろしければご参照ください。
類書との違い
とはいえ、世の中にはおびただしい数の「読書術本」があります。
そこで、「はじめに」の最後の悪あがきとして、類書との違いを3つ伝えさせてください。
第一に、独学の全体像からつかむことができます。
読書はあくまで独学の手段の1つにすぎません。それにもかかわらず、独学のあり方を議論せずに、いきなり読書術を語っている本が多い。
そんな問題意識から、第1章の大半を使って、独学の方法論についても丁寧に解説しています。
第二に、アウトプットありきの実践的な読書術を知ることができます。
多くの本は、「時間をかけずに本を読む方法」「忘れない本の読み方」など、インプットの議論に終始しています。
それはそれで非常に大事な論点です。
しかし、ビジネス書に限って言えば、本の学びを使ってみてなんぼ。確実に仕事の成果につなげられるよう、「インプット→アウトプット」ではなく「アウトプット→インプット」の順番で読書する方法を提案しています。
第三に、読んだ本を資産化できる「ペライチ整理法」を会得できます。
これまでも、読んだ本の気づきを紙1枚に整理する方法はいくつかの本で取り上げられています。
本書ではさらに踏み込んで、「本の構造や文脈」ごと整理する技法を紹介しています。
「構造」「文脈」と書くと、少しハードルが高く感じられるかもしれませんが、ご安心ください。
「これでもか」と言わんばかりに盛り込んだ図解と実例が、あなたの理解を助けてくれるはずです。
悪あがきは以上です。本書が、読書のタイムパフォーマンスを最大化させる「最良の投資」となることを願っています。