この本で解ける疑問は?
- 組織のどんよりした空気は、なぜ変わらないのか?
- 組織を変えるときに、挫折しかけたときは?
『組織が変わる-行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法2 on 2-』とは
あのベストセラー『他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論』を出版された宇田川 元一氏が、新たな本を執筆されました。
※『他者と働く』の書評はこちら
それが『組織が変わる-行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法2 on 2-』です。
前回もそうでしたが、今回も頷きが止まらなくて首が取れそうになるくらい、素晴らしい本でした。
そんな本の全体像をざっくりと紹介すると、
- タイトルの「組織が変わる」とは、自分や周りのメンバーが見えている組織の風景が変わることを意味している。
- 本書では「組織の慢性疾患」に主眼を置いている。
組織の慢性疾患とは「どこから手をつけたらいいかわからない」「自分以外の誰かが変えてくれるはず」…といった悶々とした閉塞感が積み重なり、組織がどんどん悪化している状態を指している。
本書は、この慢性疾患の特徴や解決策を具体的に解説してくれる。 - この本は、上記の慢性疾患に対して、組織自らが「セルフケア」を行える状態を目指している。セルフケアがなされる組織とは、小さな出来事にも「あれ、おかしいぞ」と疑問を抱き、小さな改善を積み重ね続けられる組織を意味している。
- では、どうすれば、セルフケアがなされる組織になることができるのか。その答えとなる手法が、新たな対話アプローチ「2 on 2」である。
本書では、2 on 2の具体的な方法論や注意事項、実際の体験談が具体的に述べられている。
…こんな感じです。
図にすると、以下のようになります。
さて、ここで、ある疑問が生まれます。
それは「2 on 2とは何なのか?1 on 1とは何が違うのか?」です。
「2 on 2」と「1 on 1」の違いは何か?
詳細な説明は本書に譲りますが、ここで軽く「2 on 2」と「1 on 1」の違いについて触れておきます。
こちらの記事を読んでいくと、次のように書かれていました。
近年1 on 1が多くの企業で取り入れられていますが、問題の捉え方、組織の見える風景を1対1で変えることはなかなか難しいものです。
単に問題と向き合うのではなく、複数の他者を交え、問題について少し距離を取って眺めてみるのが2 on 2の特長です。
自分だけでなく、周りが見ている組織の風景も変える必要がある。
そのためには、「周りが、組織をどう捉えているか」を知る必要があります。
そうなると、1 on 1の対話では、見ている風景×2人分しか考慮することができないため、少し力不足に思えますよね。
一方で、対話の形式を2 on 2に切り替えてみると、どうでしょうか?
- 見えている風景の数が倍になる
- チームやプロジェクトメンバーと気軽に実施できる、ほどよい人数(多すぎず、少なすぎず)
- 2 on 2に「プロジェクトに大きく関わっている人」と「あまり関わっていない人」を加えることができるため、視点のバランスを取りやすい
…と、いくつもメリットがあることがわかります。
しかし、実行する上ので注意点もいくつかあります。
注意点をおさえつつ、2 on 2のメリットを最大限発揮する。
『組織が変わる-行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法2 on 2-』には、その方法論が惜しげもなく記されています。
絶大な効果を持つ「反転の問いかけ」とは?
本書のなかで、もう1つ素晴らしい方法論が紹介されていました。
「反転の問いかけ」です。
それは、「この状況をさらに悪化させるとしたら、どうするか?」という問いかけです。
この問いかけは秀逸ですよね。
本来は「この状況を良くするために、どうするか?」と思考を進めるのがセオリーでしょう。
しかし、あえてその逆を問うわけです。
そうすると、物事の違う側面を見つけることができます。
例えば、「わかりやすい文章の書き方」を知るために、あえて「文章をわかりにくくするには、どうすればよいか?」を考えてみると、また新しい視点を得ることができます。
その考察を述べたものがこちらです。
…と、このように、『組織が変わる-行き詰まりから一歩抜け出す対話の方法2 on 2-』は、示唆に富んだ考察が随所に散りばめられています。
「なんか、チームの雰囲気がイマイチだな」
「組織を変えたいのに、なかなか物事が前進しない」
このような悩みをお持ちの方にオススメの一冊です。