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3C分析なるフレームワークがある。
- 市場(Customer)
- 競合(Competitor)
- 自社(Company)
「3C」は、上記3つの頭文字をとったものである。
おそらく、ほとんどのビジネスパーソンは見聞きしたことがある言葉ではないだろうか。
しかし、「知っている」と「できる」は違う。
例えば、「スタバを対象に3C分析をやりましょう」というお題があったとする。
このお題に対して、次のように答えたとしよう。
- 市場の観点
国内コーヒー市場の規模は〇〇。顧客は、老若男女問わず幅広い - 競合の観点
タリーズやドトールが主な競合である - 自社の観点
「サードプレイス」としての体験価値を売っている
コーヒーの品質も競合より高め
…これを読んで、どう感じるだろうか。
おそらく、ほとんどの方は「へー。それで?要は、何が言いたいの?」と思ったのではないだろうか。
なぜかというと、上の例は「ただ項目に沿って情報を整理しただけ」だから。
フレームワークの使い方を誤ると、得てして「情報をただ整理しただけ」になりがちである。
大事なのは、「3Cの観点で、1つの結論までのストーリーを描くこと」。
…ただ、これがなかなかに難しい。
そこで、何かヒントを得られないだろうかと思い手に取ったのが、『マーケターのように生きろ: 「あなたが必要だ」と言われ続ける人の思考と行動』である。
※本書の書評に興味をお持ちの方は、次の記事をご覧ください。
そんな藁にも縋る思いで本書を読んでいくと、次のような記述に出会った。
①顧客が求めていて、②他の人にできなくて、③自分にできることをやる
これを読んだ瞬間、「ああ、これが3C分析の使い方か」と思わず感動したのも束の間。
「あれ、この考え方、小中学生のときも使ってたな」と、ふと昔ことを思い出した。
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小学4年生のころ、私はミニバスケットボール部に入部した。
友だちに誘ってもらい、特に熟慮もせずに二つ返事で入部を決めた。
しかし、入部して1ヶ月たって、早くもバスケを始めたことを後悔した。
周りは1年生とか2年生のときにバスケをスタートしたばかりで、とても彼らの練習についていけなかったのである。
ドリブル、パス、シュート、ステップ、いずれの練習も、自分はビリだった。
いま思い返すと大したことない思い出だが、当時の自分にとってはとにかく辛い挫折だった。
毎日の練習がイヤすぎて、入部して3ヶ月目には、怖くて練習に出れなくなってしまうお豆腐メンタルぶりを発揮。
そんな中で、唯一の救いだったのが、仲間の存在である。
ある1人の友人が、練習に来なくなった私の家まで遊びに来てくれ、「もう1度頑張ってみないか」と声をかけてくれたのである。
しかし、部活に戻って、以前と同じことを繰り返しても、また同じ轍を踏むことになる。
そこで、小学生4年生の私は、悩みに悩んで、ある答えに行きついた。
「あ、ロングシュートだけを徹底的に鍛えればいけるんじゃないか」と。
この答えに行きつくまでの思考回路は以下の通り。
- Customer:顧客が何を求めているか
バスケという市場においては、ドリブル、パス、リバウンド、ゴール下でのシュート、ロングシュート、ディフェンスなどのスキルセットが求められている。 - Competitor:他の人には何ができないのか
レギュラー争いをするうえで、チーム内のプレイヤーを見渡してみると、ロングシュートやディフェンスを得意とする人がいないようだ。 - Company:自分には何ができるのか
そういえば、チーム内のフリースロー大会で、そこそこ良い結果を出せたような。じゃあ、ダメ元でミドル・ロングシュートを練習してみるか。
そこからは、一切迷うことなく、ロングシュートの練習に時間を集中投資した。
「ドリブルもパスも下手くそだけど、ロングシュートだけはチーム一番になるぞ」と意気込み、1つのスキルだけをとことん伸ばし続けた。
その結果、小学6年生に、めでたくレギュラーの座を獲得できたのである。
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振り返ってみると、小学4年生の私は、曲がりなりにも「3C分析」っぽい思考をしていたようだ。
①顧客が求めていて、②他の人にできなくて、③自分にできることをやる
自分の市場価値を考えるときも、自社の戦略を立てるときも、バスケで悩みに悩んだときと同じことを考えればよいんだと。
改めて、小学4年生の自分から、大切なことを教わったのであった。