ここ1~2年の流行語大賞ともいえる「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」。
この言葉はあちらこちらの会話で耳にするのですが、
去年と今年とで、DXを取り巻く話題が少し変わってきました。
去年は「DXって何なんだろうね?」「そっちの企業、DXやってる?」みたいな会話が多かったように思えます。
一方で今年は
「社内で進んでいるDX、正直どこに向かっているのか、イマイチわかんないんだよね」
「DX担当に任命されて、わからないなりに進めてるんだけどさ…抵抗勢力がうじゃうじゃいて、マジでしんどいんだよね」
…といった声を耳にするようになってきました。
DXが「実行フェーズ」になってきている企業が増えてきて、このフェーズならではの新たな悩みや本音が出てきている。
そんな時期なのでしょう。
その悩みや本音に対して、本音で答えてくれる本があります。
それが、『IGPI流 DXのリアル・ノウハウ』です。
この本は、どんな疑問に答えてくれるのか?
タイトル通り、この本は「きれいごと」抜きの「リアル・ノウハウ」を授けてくれるわけですが、
具体的に、本書はどんな悩みや疑問に答えてくれるのでしょうか?
大きく、3つの観点で整理してみました。
- 結局のところ、DXとは何なのか?…What
- なぜDXが必要なのか?…Why
- どうDXを進めるべきなのか?…How
結局のところ、DXとは何なのか?
まずは、DXとは何なのか?について。
ぶっちゃけ、次のような疑問をいただいたことはないですか?
- IT化やAI・IoT導入と、DXは何が違うのか?
- 業務効率化やコスト削減と、DXは何が違うのか?
例えば、以前「ICT」という言葉がありました。
あるいは「ビッグデータを活用しよう」とか「AIを導入しよう」とか「これからはIoTだ」とか「オンプレのシステムは古い。これからはクラウドだ」とか、こういう流行り文句もあります。
これらとDXの違いは何なのでしょうか?
また、DXの文脈で、「RPAによる業務自動化」や「電子署名によるハンコ文化からの脱却」などの見出しも目にします。
ということは、DXとは、突き詰めると「業務効率化」や「コスト削減」を指しているのでしょうか?
「じゃあ、上に述べた質問に、全部答えてみてください」と言われたとき、
みなさんはどの程度、自分の言葉で回答できますでしょうか?
「やべーな」と思った方、ご安心ください。
『IGPI流 DXのリアル・ノウハウ』 では、1章まるまる割いて、丁寧にその辺の説明をしてくれます。
しかも、よくわからん横文字は一切登場せず、「中学2年生で理解できるレベル」で解説がされています。
少なくとも「DXとは何なのか?」という質問には必ず回答できるようになるはず。
なぜDXが必要なのか?
「DXとは何か?」と同じくらい、もしくはそれ以上大事なのが「なぜDXが必要なのか?」という問いです。
この論点については、世に出ているほとんどの「DX本」に記されています。
…ただですね、読んでみると、「またか」と思うような理由が書かれていること、多いですよね。
「VUCAの時代に突入し、外部環境が目まぐるしく変化している。その変化に適応するため」
「テクノロジーの劇的な進化を味方につけるため」
などなど。どの本を読んでも、多少表現は違うにしろ、似たようなことが書かれています。
ただ、この本は違います。
そういった「ありきたりな理由」ではなく「企業で働く人の本音が加味された理由」が記されているんですね。
「いま困っていないんですけど、それでもDXはやらねばならないのですか?」と言っている社員にも説明できるような、
現場感あふれる回答を得られるはずです。
どうDXを進めるべきなのか?
本書は、DXのHowの部分にも踏み込んで教えてくれます。
- 経営層や上司から「ウチもDXやんなきゃだね。とりあえず、事例について調べといて」といったフワッとした指示をもらったときに、どんな観点で何をどこまで調査すればよいのか?
- どの本や記事を読んでも「DXはトップの関与がカギである」と書いてある。それは120%同意なんだけど、どうすればトップをDXに巻き込むことができるの?
- DXでは、リーダーの人選が成果を左右する。では、DXのリーダーに据えるべきは「デジタルに詳しい人」「社内に顔がきく人」のどちらだろうか?
- DXあるある「総論賛成、各論反対」に直面したとき、それをどう捉え、どう解決すべきか?
こういった「DXあるある」な悩みに、直球回答を投げ込んでくれます。
これで新書価格だから驚きですよね。
以上、「この本は、どんな疑問に答えてくれるのか?を概観しました。
まとめると、↓の感じですかね。
「各論反対」を"やんわり"と解決させる2つの言葉
ちなみに、「DX=デジタルで何かを変えること」という定義に則るならば、
私も5年以上、コンサルや事業会社の立場で、DXに関わっているといえます。
その中で、いろんな抵抗勢力と出くわしたことは、以下の記事でも触れました。
「あるべき姿はこうです」「目的から考えるとこうでしょ」と説明しても、なかなか首を縦に振ってくれない人を、どうやって攻略すればよいのか?
全部を攻略できるわけではないですが、それなりに効果的な言葉を2つご紹介します。
「お隣のあの人も、やってますよ」の背中押し効果がすごい
1つ目は「お隣のあのチームも、やってますよ」。
業務効率化や新ツール導入を拒む理由に
「やってことがないから、見たことがないからわからない」
「しばらく様子を見てから検討したい」
…といった声があります。
こういう方々を高い確率で説得できるのが「お隣のあの人、もうやってますよ」という言葉。
「隣のチームもやっているから、私のチームもやる」なんて、合理性に乏しい理由なのですが、
何だかんだ「背中押し」には効果抜群の一言です。
「とはいえ、難しいですよね」と一歩引いてみる
2つ目は「とはいえ、あなたの業務はこのへんが特殊なので、やっぱり変えるのは難しいですよね・・・」と一歩引いてみる作戦。
以前、Excelで手作業で集計していた分析を、新ツールに置き換えるプロジェクトを進めていました。
地道にプロジェクトを進め、ほとんどのチームのExcelを撤廃できたのですが、どうしても攻略できないチームがありました。
そのチームには、何を提案しても「うちの業務は特殊ですので」「他チームと私たちのチームは違うんで」と言われるばかりで、何も進まず…
そんなときはどうするか。
なぜか、一歩引いてみると、上手くいくことがあります。
散々しつこく提案してもダメだとわかったあとに「こういう提案があるんですが、でもお宅のチームの業務は●●のところが特殊ですから、導入は難しいですよね…」と引いてみると、
「あ、ちょっと待ってください。たしかに難しいですけど、こう使えばできないこともないかも…」と、こちらに歩み寄ってくれることがあります。
さすがに申し訳なさを感じたからなのか、
あるいは、見捨てられて、自分だけが置いてけぼりになるのが怖かったのか。
頑なに提案を拒否してくる人がいたら、一歩引いてみるのもよいかもしれません。