この本で解ける疑問は?
- 4月から部下ができるらしいんだけど、何を準備すれば?
- 部下の目標って決めてあげた方がいい?それとも決めてもらった方がいい?
- いきなり1on1面談制度が導入されたんだけど、部下(上司)と何を話せばいいの?
『1on1マネジメント』って?
この本は、昨年初めて部下を持つ機会をいただき、「手軽に、今っぽいマネジメント学べる本無いかな?」と思い、手に取ってみました。
読んでみて率直に、「別に部下を持っていなくても、上司とのやりとりを有意義な場にするためにも、読んだ方がいい本だな」と思いました。
一体どんなことが書いてあったのか、掻い摘んでご紹介します。
まずは最近おなじみの、ペライチでこの本の要約を図1に示します。
色々と、見聞きしたことのあるキーワードがありますね。
詳しく見てみましょう。
-Why-なぜ書かれたのか?
本書の「はじめに」の部分に、マネジャーたちへのメッセージとして次のように記されていました。
マネジャー自身が、「マネジメントはかくあるべきだ」「メンバーにはこのような立ち位置で接する必要がある」と確信することができれば、具体的な行動を考えることはさほど難しくないでしょう。
マネジャーにはそれを考えるために必要な社会経験が十分にあるからです。そこで本書では、現場で悩めるマネジャーの皆さんに対して、ピープルマネジメントの指針を明確に提示することを目的としています。
ピープルマネジメントはメンバーとのコミュニケーションを通じて行われるため、そのための場として「1on1(ワンオンワン)」を提案していますが、会社の制度として1on1が導入されていなくても、ピープルマネジメントは実現可能です。(8ページ)
マネジャーにとって「マネジメントの在り方はこれだ!」と立ち返る指針を示すことが、本書の目的と読み取れます。
では、本書が示す「マネジメントの在り方」とはどういったものなのでしょうか?
-What-なにをすべきか?
本書のテーマにある「1on1マネジメント」が、先述の「マネジメントの在り方」なのでしょう。
KPIといった目標の進捗に重きを置いたものではなく、「マネージャとメンバーの1対1の対話を通じた1人ひとりに応じたマネジメント」が必要というわけです。
では、それはなぜか?
図1に示した通り、「1on1マネジメント」が必要な理由は次の5つだと筆者は述べています(該当箇所は36~45ページ)。
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アジャイルなマネジメントの必要性
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ダイバーシティ&インクルージョンの必要性
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専門性を活かす必要性
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コラボレーションの必要性
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多様な働き方の必要性
特に私も共感したのは、1.アジャイルなマネジメントの必要性の部分です。
企業の外部も内部も目まぐるしく変化していくので、当然チーム単位の目標や取組も日々変化させていく必要があります。
そのためにも、チーム単位で日々の情報交換を意図的に進めていき、目標や取組を改善していくことが求められます。
これまで通りの、目標を設定してあげて、あとは目標達成の進捗を管理するだけのマネジメントだと、上述の「目まぐるしい変化」に対応できないわけです。
ですので、マネジャーとメンバーの間に俊敏な(=アジャイルな)やり取りが求められるのは、確かにな、と思いました。
-How-どのようにすべきか?
ここでは、1on1マネジメントの具体的な方法について見ていきます。
図1の「So how?」の部分にフォーカスしてみてみます。図2をご覧ください。
色々とテーマがあるようですね。
ここでは「目標設定を支援する」に絞って見てみます。
そういえば、目標設定については、以前『ザ・コーチ』の読書日記で紹介しましたね。
「目標=ノルマ」って考えはもう止めよう!『ザ・コーチ』谷口 貴彦
また、実践編として目標設定をやってみてわかったポイントを、私なりにも紹介してきました。
これらの記事との差分に注目して、「目標設定」について深掘ってみます。
この「目標設定を支援する」について、筆者は次のポイントを提示しています。
- 目標を与えない
- 環境が変われば見直すことを前提にする
- 網羅的でなく特定する
- コラボレーションを目標に織り込む
- 目標を刻む
なるほど。ほとんど、先ほど紹介した記事の内容とほぼ一致しますが、3.網羅的でなく特定するというポイントは新鮮でした。
一体どういうことなのでしょう?
筆者は、この「特定する」を「成功要因を特定できるような目標」という意味で用いています。
例えば「売上〇〇円を達成する」という大きな目標があったとして、その目標達成に成功するような要因をいくつか洗い出すわけです。
「売上〇〇円を達成する」の成功要因を特定できる目標としては、
- 新規訪問を〇件増やす
- 決済権を持ったキーパーソンを〇人以上紹介してもらう
…みたいなイメージです。
このように「成功要因を特定できる目標」を立てることで、成功確率を戦略的に上げることができます。
学び
このビジネス書を通して、次の学びを得ることができました。
マネジメントとは「部下に手足になってもらうこと」ではなく「メンバー1人ひとりと対話を重ね、メンバーを信じること」
本書を読む前は、私は次のような認識を持っていました。
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マネジャーになる以上、チームの仕事全ての進め方や正解を知り尽くしたうえで、仕事を細分化し、メンバーに振っていく必要がある
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そうして振った仕事の進捗を管理すること、進捗通りに進まないメンバーを支援することがマネジャーの役割
…つまり言葉を選ばずに表現すると「いかに、メンバーを、自分の手足として動かせるか」がマネジメントのテーマだと勘違いしていました。
こういうマネジメントだと、あくまで「自分がやることを分割して、他の人にやってもらうだけ」なので、1+1=2にしかなりません。
こんなイメージを持っていたからこそ、「マネジメントってつまんない仕事だな」と一方的に思っていました。
なので、マネジャーになんてなりたくありませんでしたし、マネジャーと呼ばれる人々に対して警戒心を持っていました。
しかし、本書を読んで、マネジメントに対する意識がガラッと変わりました。
本書で述べられるマネジメントは、「人の可能性を信じる」という前提で書かれているように映りました。
そのうえで、メンバー1人ひとりとの対話を重ね、成長やキャリア開発を支援しながら、チームとしての成果も最大化させていく。
1+1が3にも4にもなっていく。
そんな「綺麗ごと」の実現方法が「現実的」に書かれていたわけです。
「1つのキーワードに対する先入観を払拭するためにも、いろいろな書籍に触れるのが大事なんだな」と改めて思い知らされました。
明日から取れるアクション1つ
- 「マネジメントとは?」を自分なりに定義し直してみる