ここ最近は、ほとんどの会議がWeb会議ですよね。
話し手のニュアンスを汲み取るのが対面よりも難しいので、Web会議で話を聞くときは、いつも以上に集中しないといけません。
しかしいくら集中していてもですね…限界があります。
僕のような「理解力の低い人」だと、ちょっと話が長かったり、結論から話してもらえなかったりすると、すぐに迷子になっちゃうんですね。
そして僕自身、話のわかりづらさで、たくさんの人を迷子にしているかもしれません。
そんな状況を今一度整理して改めたいと思い、今回は「イケてる話し方とイケてない話し方」を考えていければと思います。
話のイケてる・イケてないを決める2軸とは?
では早速、僕の考えをお示ししますね。
こんな感じに整理できると思います。
- 横軸は「頭を整理しないまま話しているか、頭を整理してから話しているか」
- 縦軸は「自分が話したいことを話すのか、相手が聞きたいことを話すのか」
順にご説明します。
頭を整理しないまま話しているか、頭を整理してから話しているか
…バカにするなと言われそうですね。
「そんなのわかっているよ」と。
私も同意です。
しかし、ちょっと立ち止まって考えてみたい。
「頭が整理できているとは、どういうことなのか?」
これは非常に重要な論点です。
何をもって「頭が整理できている」と定義するのか。
- 話を「3つあります」みたいにナンバリングできていること
- 結論と理由が明確であること
…どれも正解です。
ちなみに私は「頭が整理されている状態」を次のように定義しています。
頭が整理されている状態=What(結論)・Why(理由・背景)・How(アクション)がクリアになっている状態
図にすると、こんなイメージです。
こんなイメージで自分の考えを整理できておくと、何を聞かれても簡潔に答えることができますよね。
逆に、この図表のように頭が整理できていないと、次のようなケースに陥ります。
- 理由から話し始める
→「ちょっとまって、結論は?」と言われる - アクションから話し始める
→「なんでそのアクションなん?理由は?要はどういうこと?」と言われる
そうならないためにも、常日頃から、自分の考えをWhat・Why・Howに整理しておきましょう。
自分が話したいことを話すのか、相手が聞きたいことを話すのか
では、頭の整理さえきちんとできていればよいかというと…
そんなことはありません。
聞き手にもタイプがあります。
- 結論から聞きたい人
- 経緯や前提から緻密に聞きたい人
この聞き手のタイプに合っていない話し方をすると、問答無用でコミュニケーションは失敗します。
頭が整理されていようとなかろうと、「相手が聞きたいこと」を話せなかった時点でゲームオーバーです。
「相手が聞きたいことを話せているか?」
…これが一番重要な軸です。
では、話の解像度を上げて、具体例も挙げながら、先ほどの4象限を使って話の解像度を上げてみます。
①頭を整理しないまま自分が話したいことを話す「迷宮へのアンバサダー」
迷宮へのアンバサダー。
この方は、頭に思いついたことを、思いついた順番で話していきます。
具体的には、次の四天王をご紹介します。
- 「あとは~。それと~。」と数珠つなぎにするパターン
- 「~だと思っていて~」で話し始めるパターン
- 「~なので。」で話し終えるパターン
- 「3つあります」が3つじゃないパターン
「あとは~。それと~。」と数珠つなぎにするパターン
この言葉は、個人的には「話しが整理できていないとき」に使ってしまいます。
話し始めに「ポイントは2つあります」と言ってみたものの、話しながら3つ目のポイント、4つ目のポイントが思いついちゃったパターンですね。
その思いついちゃったことを「あとは~」「それと~」みたいに重ねれば重ねるほど、話がどんどん迷宮入りしていきます。
会議が終わった後なんかには、
「さっきの話って、やること3つだよね?」
「え、違うよ。4つだよ!」
「何言ってんの!5つだよ!」
…みたいな仕上がりになってしまいます。
話している途中で思いついちゃった場合は、
「ごめんなさい。もう1回整理させてください。ポイントは3つでした」
「最後にまとめると3つあります」
…みたいに整理してあげると綺麗スッキリ伝わるようになります。
「~だと思っていて~」で話し始めるパターン
よく会議中に「~だと思っていて」と話し始める人がいます。
個人的には、この話し方、あんまり好きではありません。
「~だと思っていて~」からの続きが長くなりがちなんです。
一文が200文字とか、下手すると400字くらいになります。
人が1分間で話せる分量が300~400字なので、1分間文を区切らずに話していることになります。
…もう聞いてられないですよね。
原理原則として、文は短く言い切りましょう。
「~だと思います。なぜならば、~だからです」
…こんな感じに区切るだけで、見違えるほど聞き取りやすくなります。
あまり話を「~し」「~たり」「~て」「~が」で繋ごうとせずに、「~です」と言い切るクセをつけましょう。
話の繋ぎ目に「しりてが」が入ることが多いなーという方は要注意です。
「~なので。」で話し終えるパターン
「~なので。」
相手がこの言葉で話を終えたとします。
みなさんならどう感じますか?
「うん…それで?」
こう思いますよね?
「このタスクは私の方でやっておきますので。」
これだと歯切れが悪いです。
「このタスクは私の方でやっておきます。」
これでいいじゃないですか。
「なので」は論理構造を示すときに使います。
それなのにも関わらず「なので」が文末に出てきてしまうのは、話が整理できていない証拠です。
「3つあります」が3つじゃないパターン
これも要注意です。
話し方のビジネス書を読んで「3つあります」と言っているだけ。
実際は次の図のイメージのように、「粒度もバラバラな、隠れた4つ目」が混じっていたりします。
こういう話し方をする人は、「理由1と理由2-1」を同じ粒度で考えちゃいます。
例えば「好きな地域が3つあります。東京都と大阪府と横浜市です」みたいに、話の「粒感」が揃ってない。
この話し方をする人の話は注意して聞きましょう。
隠れた論点・隠れた指示がしれっと含まれていることがあります。
②頭を整理して自分が話したいことを話す「杓子定規野郎」
次はこの「杓子定規野郎」について。
これはですね、どんなときも、ガチガチのピラミッド構造で話そうとしてしまう病気にかかっています。
あくまで主観ですが、若手のコンサルの人に多いイメージです。
とにかく、どんな相手にも勢いよく「結論からいうと~です。理由は3つあります。1つ目に~」みたいな話し方をしてしまう。
一見わかりやすいように思えます。
しかし、次の点も考えてみたい。
- 聞き手が必ずしも結論から知りたいタイプとは限らない。それよりも、「空が曇っています。もうすぐ雨が降りそうです。だから傘を持っていってください」と順を追って話した方がわかってくれる人もいる。
- しっかりと前提の情報を共有できている相手であれば「結論だけ」を伝えても大丈夫なケースがある。
要は、聞き手によって「理解してもらいやすい話し方」が異なるわけです。
何でもかんでも「結論からいうと~です。理由は3つあります。1つ目に~」と話してしまうのは、独りよがりです。
聞き手のことを考えているようで、考えていない。
自分が頭で描いたピラミッドストラクチャー通りに話したいだけ。
…と、前職のコンサル時代に、こんな辛辣なコメントを上司からいただきました。
ロジカルシンキング学びたてのときに、特に注意したいですね。
③頭を整理していないのに相手が聞きたいことを話せる「再現不可能のエスパー」
こういう人、周りにいますよね…
特に論理的なイメージはないけど、こちらが聞きたがっていることをスパッと教えてくれる人。
まるで、相手の心情心理を見透かしているかのごとく、心を掴む一言を投げかける人。
こういう人については、まだちゃんと科学できていません。
もしかすると、再現性のあるノウハウを持っているのかもしれません。
しかし、少なくとも私には、こういった「相手が聞きたいことを思いつきで話せる人」はエスパーに思えます。
もはや超能力です。
この超能力の謎を、今後解明できたらなーと思っています。
④頭を整理して相手が聞きたいことを話せる「いわゆるイケている人」
では再現性のある「イケてる話し方」とは何なのか?
僕は、次の2つのポイントを押さえておくべきだと思います。
- 話をWhat・Why・Howの枠組みで整理しておくこと
- 相手の「持っている認識」「予想される反応」「関心事」を把握しておくこと
1個目の、「話をWhat・Why・Howの枠組みで整理しておくこと」は、さっきもお伝えしましたね。
そして2個目について。
これはビジネススクールの教授から教わったことです。
- 認識:相手が何を知っていて、何を知らないのかを理解する。
- 反応:自分が仮にこの結論を話したとき、聞き手はどんなリアクションをしそうか。ポジティブなのか、ネガティブなのか。
- 関心:聞き手は何に興味や関心があるのか。
この3つを考えることで、「聞き手が何を知りたがっているか」「聞き手がどんな順番で話を聞きたがっているか」がわかります。
あとは、聞き手に合わせて、結論から話すもよし。あえて理由や前提次項から話し始めるのもよし、
そうやって、話すことを出し分けられるのが、「いわゆるイケてる人」なのです。
僕も「いわゆるイケてる人」への道のりはまだまだ遠い…
1歩ずつ、話し方をチューニングしていきます。