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「議事録よろしく」の本当の意味
「あ、〇〇さん、議事録お願いしてもいいかな?」
こんな指示をもらったとき、あなたはどう感じますか?
「えー、議事録って下っ端な仕事でしょ?面倒くさいなー」
…と、こんな風に思われるかもしれません。
しかし、そうやっていつまでも「議事録」を甘く見ていると、足元をすくわれることになります。
なぜか。
それは、議事録1つで「あなたが優秀かどうか」が一目でわかるからです。
「議事録よろしくね」と指示を出されたとき、それは「あなたはどの程度優秀なんだい?」と問われているのだと思ってください。
ということで、今日は「議事録」について書いてみます。
議事録を書く目的
まずは、議事録というアウトプットを作らなければならない目的を考えてみます。
大きく3つあるかと思います。
①ToDoを明確にして物事を推進するため
まずは、ToDoを明確に周知できる点が、議事録の醍醐味といえるでしょう。
会議が終わって席についたときに、「で、私は何すればいいんだっけ?」とならないように、周りにやってもらいたいToDoをクリアにしておく。
これこそが、議事録の一丁目一番地ではないでしょうか。
②決定事項の証跡を残すため
決定事項の証跡をきちんと残しておくこと。
これも議事録の立派な役割です。
決定事項を書いておかないと、後になって「それ言ったよね」「いや言ってません」…といった不毛なやりとりが発生して、最悪の場合、決まったことがちゃぶ台返しされかねません。
③議論に参加してない人にも文脈をわかってもらうため
3つ目の目的は、議論に参加していない人にも、決定事項の経緯や議論の流れを理解してもらうことです。
議事録に決定事項とToDoだけしか書いていないと、「え、なんでその結論になったの?」と「取り残された感」を抱いてしまいます。
この「取り残された感」が厄介でして、少しずつメンバーのモチベーションを蝕んでしまいます。
なので、「不参加者にもフレンドリーな議事録」に仕上げるためにも、会議の「文脈」も議事録に残しておく必要があります。
議事録の品質を左右する5つの要素
以上の3つの目的を達成するために、私たちは普段から議事録を書いているわけですが…
実は「議事録を書く」という行為は、様々なスキルセットやマインドセットが総合的に求められます。
そして残念なことに、議事録を見るだけで、書き手の実力が嫌というほど透けて見えてしまう。
それくらい、この議事録というものは、組織にとっても私たち個人にとっても重要な位置づけを担っているのです。
では、具体的にどんな能力が透けて見えてしまうのか?
MECE感はないのですが、大きく5つあると思います。
①文章力
まず最初に透けて見えるのは「文章力」です。
文章力が低い文章を読むと、まず最初に次のような不満が頭に浮かびますよね。
「何度読み直しても、全然頭に入ってこない」
「一文が長すぎ。読む気失せる」
文章力は、文章の第一印象を決める基本動作です。
例えば、次の3つを心がけるだけでも、文章の読みやすさが180度変わります。
- 一文は80字以内にする
- 「しりてが」のような曖昧な接続詞を多用しない
- 主語と述語を近くに置く
文章力を上げるコツをもっと詳しく知りたい方には、『書くのがしんどい』という本をオススメします。
【1枚でわからない!?】『書くのがしんどい』竹村 俊助 - BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで
②構造化力
また、いくら読みやすい文章でも、文章の「構造」がわからないと、読み手を迷子にさせてしまいます。
構造化とは、
- 全体像を示すこと
- 全体像の中における、各論点の位置づけを示すこと
…を意味します。
これが無いと、「今、何の話をしているのか」がさっぱりわからなくなる。
そうならないためにも、会議の内容を「枠組み」に沿って整理する必要があります。
- 人の話をしているのか、カネの話をしているのか、モノの話をしているのか
- 仕組みの話をしているのか、文化の話をしているのか
- 聞き手の話をしているのか、話し手の話をしているのか
- 戦略の話をしているのか、実行の話をしているのか
…こんな風に、「枠組み」ごとに話を整理することで、「今、何の話をしているのか」がハッキリします。
③話の理解度・キャッチアップ力
では、文章力と構造化力があればOKかというと…そんなことはありません。
どの企業のどの会議も、得てして「専門用語」「専門知識」が登場します。
これらの知識をキャッチアップして参加しているか否かで、会議の理解度が大幅に変わります。
文法がわかっていても、単語がわからないと英語が読み解けないのと一緒ですね。
なので、一瞬でもわからない用語が出てきたら、
- まず自分で調べる
- それでもわからなければ、誰かを捕まえて聞く
…という動作を繰り返し徹底する必要があります。
そうやって3回くらい会議に参加していると、専門用語の6-7割は押さえることができます。
6-7割の用語がわかっている頃には、残りの3割もある程度推論できるようになりますし、周りにもわからないことを聞きやすい関係ができあがっているかと思います。
④会議への当事者意識
あとは、さっきの「話の理解度・キャッチアップ力」にも直結する話です。
会議への当事者意識がないと、いつまでたっても会議の内容を理解できるようにはなりませんし、発言して貢献できるようにもなりません。
「この会議で何かしらの価値を提供しなきゃ」
「この会議で自分が参加する意味は何なのか」
…こういったことを自問自答している人が書いた議事録と、そうでない人が書いた議事録は、何となく見分けがつくものです。
当事者意識が高い人が書いた議事録は「何がなんでも物事を決め切りたい」「議論の内容を曖昧にしたくない」という想いが滲み出ている。なので自然と多くの人の目にとまる。
逆に当事者意識の低い人が書いた議事録は「決まっていそうで決まっていないことが散見される」「どっちともとれる曖昧な記述が残っている」…こんな穴が見て取れます。
⑤仕事のスピード
5つ目は、議事録を書いた人の「仕事のスピード感」もハッキリとわかります。
仕事が速い人は、会議が終わると同時に議事録の初版が出来上がっている。
なので、会議終了後5分以内に「議事録の確認をお願いします」という連絡が、会議の参加者全員に飛んでいる。
…これくらいのスピード感です。
コンスタントにこのスピード感で仕事を進めている人は、何だか信用できますよね。
「会議が終わって何分後に議事録が出来上がるか」は誰も見ていないようで、実はあなたの印象を大きく左右しているのかもしれません。
気が抜けませんね(笑)
いかがでしたでしょうか。
下っ端の仕事のようにも見える「議事録」。
その正体は、「スキルセットとマインドセットの総合力を測るモノサシ」なのです。
「議事録よろしくね」
あなたにこのお願いをしてきた上司は、「あなたができる人なのかどうか」を見極めているのかもしれません。
そう思うと、議事録と向き合う姿勢が180度変わりそうですよね。
この記事を読んだ人が、明日からはちょっぴり背筋をピンとして、議事録を書いている。
そんな姿を思い浮かべながら、この記事を書いてみました。
もし、「議事録の書き方についても知りたい!」という方がいらっしゃいましたら、以下の記事も是非ご覧ください。