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【要約・書評】『人は話し方が9割』永松 茂久

この本で解ける疑問は?

  • 嫌いな人との距離が縮まらない…どうすればいい?
  • 初対面の人と何を話せばいいの?

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『人は話し方が9割』とは

働く上での満足度のほとんどは「人間関係」によって決まる。

 

そう言っても過言ではないでしょう。

それだけあって、職場の悩みの大部分を占めるのも、この「人間関係」です。

 

例えば、次のような悩み、誰でも1つや2つは持っているのではないでしょうか?

「明日は初対面の人とのMTGだ…何を話せばいいんだろう…」

「ああ、来週は苦手なAさんとのMTGだ。仲良くなるためにはどうすればいいんだ?」

私も「誰かと肩の力を抜いて話す」ということが大の苦手でして、人と話すときはいつもソワソワしてしまいます。

そんなソワソワな日々に終止符を打ちたいと思い、この『人は話し方が9割』を手に取ってみました。

早速レビューしていきます。

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※★の基準は以下の通りです。
★★★★★:満足
★★★★:やや満足
★★★:普通
★★:やや不満
★:不満

わかりやすさ

「わかりやすさ」については、以下2つの観点で評価していきます。

  1. 本の内容が「体系的」に分解・整理されているか?
  2. 中学生や高校生でもわかる表現で書かれているか?

詳しく見ていきましょう。

本の内容が「体系的」に分解・整理されているか?

この本では、数あまた存在する「コミュニケーション系の本」で述べられている大切なポイントを、36個に整理してくれています。

これがめちゃくちゃありがたいんです。

あっちこっち、色々な本に手を出さずとも、この『人は話し方が9割』さえ片手に持っておけば、大体のコミュニケーションの悩みは解決しちゃいます。

ただ欲を言えば、あと一歩体系的に整理されていると嬉しいところです…

例えば、p38で紹介されている「コミュニケーションの達人だけが知っている三大原則」などを軸に情報を整理すると、よりわかりやすい構成になるのではないかと思いました。

繰り返しになりますが、「欲を言えば」です(笑)

本書の付加価値の高さにはほとんど影響しませんので、ご安心ください。

中学生や高校生でもわかる表現で書かれているか?

これは文句なしの★×5です。

誰もが「あ、それあるある」と頷きまくるような具体例が豊富に盛り込んであります。

「あるある」すぎて、「あ、それ私のこと言ってます?」と思ってしまいます。

それくらい、自分に引き寄せて読み進めることができる本です。

深さ

「深さ」については、元コンサルっぽく「So what?」「Why so?」「How?」と問いかけながらレビューしてみます。

具体的には、以下の3つの観点で見ていきます。

  1. 他の本に無いような「あっと驚く洞察」がなされているか?(So what?)
  2. 主張の論拠は十分か?ツッコミどころが多すぎないか?(Why so?)
  3. 明日からすぐ実践できるほど具体的な内容か?(How?)

他の本に無いような「あっと驚く洞察」がなされているか?

この本、「コミュニケーション本の良いとこ取りでしょう?」と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。

「え、そんなこと、やってしまってよいのですか?」と思わず筆者に聞いてみたくなるような、アッと驚くコツも伝授してくれます。

特に、個人的に一番びっくりしたのが次のコツです。

苦手な人に、自分から話しかけるのはやめなさい

p88

他の本であれば、「得意な人だけでなく、苦手な人にもちゃんと話かけようね」とアドバイスしそうなところを…

この『人は話し方が9割』はバッサリと「苦手な人には話しかけなくてよい」と言い切っています。

これには正直、勇気をいただきました。

私自身も、「苦手な人に話しかける必要がそもそもあるのかな?」と疑問を抱いていたからです。

戦略とは、戦を略するために何かを捨てること。

この本はまさに「コミュニケーション戦略」を語った本だといえます。

主張の論拠は十分か?ツッコミどころが多すぎないか?

この点については、個人的には少しだけ物足りなさを感じました…

もう少し定量的なデータや、心理学の理論などで裏付けがあると、もっと説得力が増すのではなかろうかと思ったからです。

ただ裏を返すと、「まだ前例がないくらい、最先端のコツが紹介されている」のかもしれませんね。

実際にこの本に書いてあるコツを使ってみたら、コミュニケーションが凄く快適になったので、理論的な裏付けがなくとも十分価値のある本だとここに宣言しておきます。

明日からすぐ実践できるほど具体的な内容か?

実践性の高さについては文句なしの★×5です。

明日からではなく、この本を読んだその日から実践できることがたくさん書いてあります。 

学び

では、具体的にどんなことを学び取ったのか?

私なりの言葉で言語化してみたいと思います。

1枚に整理するとしたら、次のようになります。

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■苦手な人に対する戦略

  • 嫌いな人に無理して話しかける必要はない、戦わない
    もし話すことになったとしても、苦手な人の話に対しては「そういう考え方もあるんですね」とだけ言う

■苦手ではない人に対する戦略

  • 好かれる前に、まず嫌われないことが大事
    ①ネガティブワードを連発しない
    ②相手の話を奪わず、無理に要約しない
    ③敬意を持って接する。いきなり距離を縮め過ぎない
  • 好かれるために相手を主人公に据える
    ①相手が知りたいコトだけを話す
    ②相手と私が話す比率は「8:2」
    ③名前を覚える。そのために連呼する

こうしたことを意識するだけで、日々抱えている人間関係の悩みがスッと無くなりました。

学びの多い良書との出会いに、今日も感謝ですね。


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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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