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【要約・書評】『派遣で入った僕が、34歳で巨大グループ企業の役員になった小さな成功法則』二宮 英樹

この本で解ける疑問は?

  • よく言われる「学歴は関係ない」は果たして本当なのか?
  • 短大卒コネなし資格なしから、会社役員に成りあがるための仕事術とは?

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『派遣で入った僕が、34歳で巨大グループ企業の役員になった小さな成功法則』とは

「学歴は関係ない」

これは綺麗ごとじゃないのか?

本当にそうなのか?

このモヤモヤに一つの答えを示してくれる本が見つかりました。

それが今日ご紹介する『派遣で入った僕が、34歳で巨大グループ企業の役員になった小さな成功法則』です。

 

では、早速本書のレビューに入っていきます。

いつもは、次の記事みたいなイメージで、細かい項目ごとに★をつけて評価をしています。

しかし、今回の本は、物語形式で書かれているので、いつもの評価項目が当てはまりません。

したがって、あまり細かく評価基準に沿って見ていくのではなく、シンプルに「わかりやすさ」と「深さ」の2軸で見ていきます。

わかりやすさ

この本は一度も止まることなく、スラスラと読むことができます。

非常にわかりやすい語り口で語られています。

このわかりやすさの裏側には、筆者の並々ならぬ努力があったのだと思います。

というのも、筆者は、大塚製薬という大企業において、海外支社の「最先端のIT技術」と、日本本社支社の「ITから離れた現場」との間で板挟みにあっていました。

「ITにめちゃくちゃ詳しい人」と「ITから離れた現場の人」。

ITに詳しい人は、ITの専門用語で会話してしまう。

一方のITから離れた現場の人は、ITに理解を示そうとせず、自分たちの業務の専門用語で話してしまう。

結果、この両者は全然話がかみ合わないんですね。

そこで出番になるのが「両者の意見をわかりやすく翻訳する役」です。

私もシステム導入のプロジェクトでこの役をやったことがありますが…
これがめちゃくちゃ大変なんですよね。

なんせ、両方の言い分や専門用語を理解しないといけないので…

でも、筆者はその板挟み役を長年勤めあげて、「誰にでも伝わる表現力」を手に入れたのでしょう。

ここが、この本がわかりやすく仕上がっている「真の理由」だと思います。

深さ

次に、本書の「深さ」について見てみます。

物語を抽象化して、方法論に落とし込める人にとっては、学びが深い本

個人的には、「ちゃんと読み込んで、自分なりの解釈を加える」ということができれば、かなり学びのある本だと思いました。

やはり物語形式で書いてるだけあって、直接的に「こうすれば上手く行く」とは書かれていないんですね。

例えば、大企業における根回しや立ち回り方も、物語から紐解く必要があります。

ただ「物語」として読むだけであれば、深い学びを得るのは難しいです。

一方で、自分なりに物語から方法論を紐解けるのであれば、「この本は深い!」と思えることでしょう。

とはいえ、欲を言えば…

次に、「十分素晴らしい本なんだが、欲を言えば…」というポイントを述べます。

本書を読んでいくと、

  • ムカつく上司や社長など、色々な人と対峙した経験談
  • ゴリゴリの外資系コンサルと協業した経験談

…などが書かれています。

例えば、この経験談をもう少し踏み込んでみて、

  • ムカつく上司や超偉い人など、「パターン別の根回し攻略法」
  • ゴリゴリの外資系コンサルと死にそうになりながら働いた結果得られた、「外から見た外資系コンサルの効率的な働き方」

…みたいなところまで書いてもらえると、さらに深みのある本になったのではないか、と思いました。

ただ、繰り返しになりますが、「欲を言えば」です。

本当に素晴らしい本ですので、是非たくさんの方々に読んでいただきたい一冊です。

多くの方が、勇気をもらえる本です。

本書から得た学び

「物語から学びを紐解け!と言っていたけど、じゃあお前は何を学んだんだ」という声が聞こえてきそうなので(笑)

最後に、私が『派遣で入った僕が、34歳で巨大グループ企業の役員になった小さな成功法則』から学んだことを記しておきます。

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本書を読んでいくに、筆者は「提案のタネを探す→提案を通す→成果を分かち合う」、この好循環を上手く回されていたんだろうな、と推察いたしました。

私なりに学びを整理しておくと、

■提案のタネを探す

  • 提案のタネは常に現場に眠っている。現場との何気ないやりとりから、新しい提案テーマが生まれる

  • 部署やチームに制限を設けずに、色々な人と日々コミュニケーションしておくと、提案のタネを見つけやすい

  • 週1回以上は、社外の人と話すことで、新しい視点を手に入れることができる

■提案を通す

  • 日本企業では、提案の内容以外に「提案を持ってくまでのプロセス」が重要

  • 関係各所の「村長」に意見を伺い、村長たちの意見を「反映させた感」を醸し出すことが大事

  • 提案にわざと「穴」を作っておくことで、村長たちの意見を反映させやすくなる

■成果を分かち合う

  • 成果を出したときは「私のおかげ」ではなく、「あなたたちのおかげ感」を出すことが大事

     

  • 主語を「私の仕事」ではなく「私たちの仕事」と置き換えることで、チームのみんなと仕事の喜びを分かち合うことができる

…こんな方法論を学ぶことができました。

特に「提案にわざと"穴"を残しておくことで、提案を通しやすくする」。

これは『マーケティングとは「組織革命」である。』でも書かれていましたね。

このように、私個人としては、たくさんの学びを得ることができた一冊でした。

是非、みなさんにも、今日ご紹介した『派遣で入った僕が、34歳で巨大グループ企業の役員になった小さな成功法則』を手に取ってもらえると、嬉しく思います。

 


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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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