この本で解ける疑問は?
- 提案書を書くときにおさえておくべきポイントは?
- Why(なぜ)×5回よりも威力抜群の思考法とは?
『ペインを探せ!-なぜあなたの提案は通らないのか?-内定者への手紙』とは
「内定者への手紙」シリーズ第3弾は『ペインを探せ!-なぜあなたの提案は通らないのか?-内定者への手紙』。
こちらも相変わらず価格設定がおかしすぎる本でした。
何度も書きますが、250円で手に入る情報としては、あまりにも価値が高すぎます。
『転職の思考法』などのベストセラーをコンスタントに生み出されている作家さんでもあり、経営者でもある北野さんの仕事術が、ハーゲンダッツとほぼ同額で手に入る。
そんな規格外の本を、今回もご紹介できればと思います。
※★の基準は以下の通りです。
★★★★★:満足
★★★★:やや満足
★★★:普通
★★:やや不満
★:不満
わかりやすさ
「わかりやすさ」については、以下2つの観点で評価していきます。
- 本の内容が「体系的」に分解・整理されているか?
- 中学生や高校生でもわかる表現で書かれているか?
詳しく見ていきましょう。
本の内容が「体系的」に分解・整理されているか?
「提案書の書き方の本」だけあって、まさに「提案書のお手本」のような美しい論理構造で展開されている本でした。
本当にわかりやすく論理的な本は、読んでいくうちに、頭の中に「筆者の主張マップ」のようなものが自然と出来上がってきます。
本書を読んでいると、まさにそんな手応えがありました。
そして「読み終わった!」と思った次の瞬間。
最後のページには「本書の内容を1ページに体系化されたペライチ」が用意されていました。
まさに「ビジネス書における最高のおもてなし」だと思いますね。
中学生や高校生でもわかる表現で書かれているか?
表現は、相変わらずの「ロジエモ調」で書かれています。
身近な具体例がふんだんに盛り込まれているので、頭にどんどん内容が流れ込んできます。
提案書を書いたことがない人、書いたことがある人、そのどちらにもフレンドリーな具体例が選択されているあたりに、筆者の気遣いを感じます。
深さ
「深さ」については、元コンサルっぽく「So what?」「Why so?」「How?」と問いかけながらレビューしてみます。
具体的には、以下の3つの観点で見ていきます。
- 他の本に無いような「あっと驚く洞察」がなされているか?(So what?)
- 主張の論拠は十分か?ツッコミどころが多すぎないか?(Why so?)
- 明日からすぐ実践できるほど具体的な内容か?(How?)
他の本に無いような「あっと驚く洞察」がなされているか?
いろいろと深いエッセンスが盛り込まれていましたが、なかでも一番驚いた洞察は「とはいえの法則」です。
とはいえの法則とは?
1つのやるべき理由に対して、3つの「とはいえ」(=やらない理由)がくっついていること。その結果、根本的課題に対して提案が通らないこと。したがってその「とはいえ」を前提に提案を作ること。
※本書のNo.581/1914より引用
これを読んだときは、目から鱗が落ちました。
よくあるビジネス書には「Why(なぜ)を5回繰り返せ」と書かれていますよね。
でも、実はそれよりも、だれもが実践できる考え方がある。
それが、「とはいえの法則」です。
相手が抱いている「とはいえ」の部分を先回りして潰せると、一段踏み込んだ提案ができそうですよね。
これは早速実践しようと思いました。
主張の論拠は十分か?ツッコミどころが多すぎないか?
提案書の書くべき項目のほとんどを網羅しているので、抜け漏れ感は少ないです。
また、提案書を書く上での良い例と悪い例が明記されているので、納得感も高いです。
これも、読者が抱いている「とはいえ」の部分をおさえて書かれているからなのでしょう。
明日からすぐ実践できるほど具体的な内容か?
「提案書の4段フォーマット」など、明日からすぐに使える要素がたくさん盛り込んであります。
一方で、目標と現状のGAPをあぶり出す「GAPの法則」や、情報の刻み方である「具体化、歴史化、比喩化、分岐化」を使いこなすには、何度も実践を繰り返して訓練する必要がありそうです。
学び
わたしは提案書のフォーマットに、よく「Why→What→How」を使っています。
Whyには、背景を書いた後に、目的を書きます。
背景には、「いまどんな状況に置かれているか」「解決しないといけない問題の構造はどうなっているか」を書きます。これが「目的の材料」になります。
次に目的には、「何のためにやるのか」「何を達成したら、ゴールしたといえるのか」を書きます。
Whatには、問題を解決するために取り得るオプションや優先順位が入ります。「取り得るオプションはAとBとCです。XXの観点から、私はAをやるべきだと思います」まで書き切ることを大事にしています。
最後にHowには、スケジュール・体制・予算・コミュニケーションプラン(会議体など)を書きます。
…とこんな感じで提案書を書いていました。
そして今回、本書を読んだことで、自分なりの提案書の型をバージョンアップすることができました。それが次の図です。
大きくは2つ学びがありました。
- Whatで提案事項を書くときは「四象限の法則」を意識する。重要かつ相手が気づいていない提案を2-5割、重要かつ相手も気づいている提案を5-8割盛り込んでおく
- Howには「やらない理由つぶし」を盛り込んでおく。そのためにも「とはいえ」を考え抜く必要がある
この気づきを250円で得ることができたのは、自分にとって本当に大きかったです。
先月にこの本を読んで、何度か実践してみましたが、早くも効果を実感しています。
たくさんの社会人に届いてほしい一冊です。