この本で解ける疑問は?
- 「将来のビジョンは?」とか言われるけど、結局何を考えればいいの?
- キャリアを考えるためのワークシートを沢山見かけるけど、結局どれを使えばいいの?
『キャリアをつくる技術と戦略』って?
「5年後や10年後に何をしていたいですか?」
この問いを聞いた時、どんな印象を抱きますか?
おそらく、何を答えればいいかわからず、ネガティブな感情を抱く方も少なくないかもしれません。
一方で、「将来の話は大好きだし、もっと将来のキャリアについて語り合っていたい」という方もいらっしゃるでしょう。
ちなみに私は、「いやいや、5年後はもちろん、3年後すら全く予想できないのに、キャリアを考えるなんて、本当に意味あることなの?」と思っていました。
そんな疑問を解消してくれた本を今回はご紹介します。
今回の本は『キャリアをつくる技術と戦略』です。
(画像をクリックすると、PDFが開きます)
- キャリアとは「仕事だけではなく、自分が社会において人生の中でどのような役割を果たすか」を指している。
- 人生の中における役割は、1)職業人としての役割。2)パートナーとしての役割、3)息子、あるいは娘としての役割、4)父親、あるいは母親としての役割、5)社会人(職業人としてではない社会との関わり)としての役割、の5つがある。
この役割のうち、どの役割を大事にしたいかを考える必要がある。
そのうえで、「自分にとって、仕事とは何か」を意味づけする。 - 以上の分析を踏まえた上で、戦略立案編に入る。
- まず第一に、未来の自分をイメージし、そこから逆算するとよい。逆算する際は、なりたい自分(10年後や5年後)を描いた後、今の自分の価値観や強みを洗い出す。その後、両者のギャップを埋める努力をする。具体的には、1)なりたい自分を探し続ける、2)継続した学習、3)広いネットワークの構築、4)経験・実績を積みづづける、の4つを行う。
- 第二に、決め打ちせず、様々な可能性と実現方法を考えることが重要である。具体的には、どんな環境でも通用する1)姿勢・行動・リーダーシップ、2)志(マインド)、3)考える力・経営理解力・人間力を兼ね備えておく必要がある。
- 第三に、やるべきことに動き出すために、自分マーケティングを行う。マーケティング戦略立案時と同様に、1)市場機会を発見し、2)ターゲティングを行い、3)ポジショニングを定め、4)マーケティングミックスを描き切るプロセスを自分の中で定着させておくと、非常に効果的である。
いかがでしたでしょうか?
キャリアを考える上での、必要な論点を「全体観」を持って示しつつ、再現性を担保してある本は、非常に稀有な存在だと思います。
掴みどころのない「キャリア」という概念を、再現性を持たせた上で書籍化している点は、他の書籍には見られない魅力だと思います。
おそらく、キャリアを取り巻く考え方やフレームワークは変わっていくでしょうが、本書に書かれているエッセンスは今後も自分事化して考えるべき論点でしょう。
とはいえ、「ペライチ」してみたものの、本書の本当の魅力は、ワークシート形式で、演習を通じて自分のキャリアを言語化するプロセスを辿れる点といえるでしょう。
本書を読み進めながら、キャリアについての考え方をキャッチアップしつつ、ワークシートの演習を通して、自分が大事にしたい価値観や強みを具体化していくことができます。
ですので、是非一度、手に取ってみていただきたい一冊です。
10年後がわからないからといって、何もキャリアを計画しないのは間違い?
これは私も疑問に思っていたことです。
10年後はもちろん、3年後すら予想が難しい世の中で、キャリアを描く必要があるのでしょうか?
例えば、キャリア研究で有名なクランボルツ教授は、「計画された偶然性」という考え方を提唱しています。
これは、ほとんどの成功者のキャリアは、予期せぬ出来事や人との出会いという偶然によって決まっていた、というものです。
この理論をもう少し補足します。
- 個人のキャリアの8割は、予期しない偶然の出来事によって形成される
- その偶然の出来事には何らかの「キャリアの種」が存在し、本人の意識や努力にとって、新たなキャリアの機会に発展させることができる
- 予期せぬ偶然の出来事をただ待つのみではなく、積極的に行動したり、自分の周りに起きていることに心を研ぎ澄ませることで、それらを意図的に生み出すことができる
(20ページ)
ここから言えることは、「何が起こるかわからないからといって、キャリアを受け身で形成するよりは、偶然の出会いや出来後を意図的に見つけにいくことが合理的」だということです。
何が起こるかわからないけど、日々、チャンスを割り振ってもらえる存在になれ…ということなのでしょう。
明日から取れるアクション1つ
- 本書についているキャリアシートを解いてみる