この本で解ける疑問は?
- 「分析」するうえで、絶対に外せないポイントは?
- 分析結果を発表して「それで?」と言われないためには?
https://www.amazon.co.jp/dp/4478004404
『ビジネス数字力を鍛える(グロービスの実感するMBA)』って?
前職のコンサル時代に散々やらされた、もとい、やらせていただいた「分析」。
この「分析」を今一度復習しようかと思い、本書を手に取ってみました。
この本を一言で表すならば、「分析のルールブック」です。
ハッキリ言って、分析するなら、これくらいは絶対に押さえてほしい。
それくらい、分析するうえで外せない、基本中の基本が記されています。
…と、煽り文句を並べましたが、ご安心ください。
この本は、ストーリー形式で、非常に平易な表現で書かれています。
「分析の本質」を、こんなにもわかりやすく記した本と出会ったのは初めてです。
そんな本なので、肩の力を抜いて、読んでいただければと思います。
(画像をクリックすると、PDFが開きます)
分析には、押さえておくべき7つのステップが存在する。
- 分析の目的を押さえる
何のための検討、分析なのか、その目的を明確にする。目的を明確にして忘れないためにも、1)目的を「可視化=常に目に入る状態」にしておく、2)目的の「曖昧さ」を極力つぶしておくなどの心がけが必要。 - 仮説を持ってどんな情報が必要か洗い出す
目的に則して、「こうなるのではないか?」という仮説を、「さっさと、ざっくり」作る。その仮説を検証するためには、どのようなデータや情報が必要になるかを「大枠で」洗い出す。 - 適切な情報を収集する
第2ステップで考えたことにしたがって、データや情報を集める。その際に、1)数値データだけでなく、現場に行く/人の話を聞くなど「定性データ」も見る、2)使うデータが一次データなのか二次データなのかを把握するなどの意識を持つ。 - 分析の際にどんな前提を置くべきか確認する
第3ステップで集めたデータなどをどのような前提で分析するかを確認する。具体的には、1)比べるべきもの同士を比べているか?、2)気付かないうちに「隠れた前提」を置いていないか?を念入りにチェックする。 - 集めた情報を加工、計算をする
データを加工する方法を検討し、加工、計算などを行う。加工の方法には、1)全体を1つの数字に集約する(平均値、中央値、最頻値など)、2)全体像を様々な角度(順列/カテゴリー分け/ばらつき)から見るといった2つの方向性が存在する。 - 目的につながる解釈をする
加工、計算した結果から、目的に対して意味のある、意思決定に繋がる解釈をする。その際、遠慮せずに「良い解釈」と「論理の飛躍」のギリギリのラインでせめぎ合う。そして最後は、「メッセージを伝える相手にどう動いてほしいか」を判断基準にする。 - 加工結果や解釈をわかりやすく表現する
解釈した内容をわかりやすく、意思決定者に伝える。そのためにも、メッセージを明確にすべく、主語を必ず置き、述語を明確に言い切る。また、伝えたいことが相手に伝わり切るよう、メッセージに適した図表を選ぶ。
いかがでしたでしょうか。
「全部できています!」といった方は少ないのではないでしょうか。
こんな風に偉そうに書いている私も、最近は「メッセージを、無難なレベルに置きに行ってしまうことがあるな」と悔い改めました。
この本で学んだことを「チェックリスト」にして、また明日からの仕事に挑みます。
学び
分析のコツは「作業に逃げないこと」
「作業をしているときの、仕事している感」
この幻想が、良い分析の根本的な阻害要因だと私は思います。
そもそも「仕事」と「作業」は違います。
「作業」は思考を伴いませんが、「仕事」は思考抜きでは成り立ちません。
しかし、思考は心身ともに多大なエネルギーを要します。
「答えが出なかったらどうしよう」
「期限までに何も出せなかったらどうしよう」
「何も出せないままだと、周りからどう思われるだろう」
…こんなプレッシャーと逃げずに向き合いながら、頭に汗をかく。
これが「仕事」です。
ですが、このプレッシャーに耐えるのは、もの凄く大変です。
たいていの人は、このプレッシャーから逃げたくなります。
「とりあえずデータ探しからやろう」
「何かやった感を出そう」
…と、どんどん「ダメだったときの言い訳」を作り始めます。
これが「作業」です。
「分析」は、カッコいい手法や仮説の切れ味云々の前に、「作業に逃げたくなる甘えとの戦い」だと思います。
この戦いに勝てて初めて、「良い分析をするための、スタートラインに立った」といえるでしょう。
恒例の、自戒の意を込めて。
明日から取れるアクション1つ
- 分析を頼まれたら、「作業」から始めない