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【要約・書評】『デジタルマーケティングの教科書』牧田 幸裕

この本で解ける疑問は?

  • そもそもデジタルマーケティングって何?
  • 従来のマーケティングとどう違うの?
  • どうやってデジタルマーケティングを学習すればいい?

『デジタルマーケティングの教科書』って?

「デジタルマーケティングって何ですか?」
「コトラーとかが言っているマーケティングと、どう違うんですか?」

クライアントが聞かれて、私が即答できなかった質問たちです。
お恥ずかしい限りです。

皆さんは、ズバッと答えられますか?

他にも…

  • リーダーシップ
  • シンギュラリティ
  • ダイバーシティ
  • オープンイノベーション

こういう「雰囲気は分かるんですが…」となりがちなキーワード、要注意です。
(自戒の意も込めて)

きちんと、自分の言葉で定義して、どんな相手にも(中学生にも)説明できるようにすることは大切なことです。

知ったかぶりは止めて、オーソドックスの入門書をバカにせず読む習慣をつけよう。
そう反省しながら手に取った本が、このビジネス書でした。

では、早速、図1に本書の「ペライチ」を示します。

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図1

-Why-なぜ書かれたのか?

「デジタルマーケティング」という言葉の認知度について、筆者は次のような問題意識を抱いています。

インド発祥のジャイナ教の伝承に「暗闇の中の男たち、象を評す」の寓話がある。6人の暗闇の中の男たちが、象に触れ、王に「それが何だと思うか?」と問われる。足を触った男は、「柱のようです」と答えた。尾を触った男は、「綱のようです」と答えた。鼻を触った男は、「木の枝のようです」と答えた。耳を触った男は、「扇のようです」と答えた。腹を触った男は、「壁のようです」と答えた。牙を触った男は、「パイプのようです」と答えた。それを聞いた王はこう答えた。「お前たちは全員正しい。しかし、お前たちの話は、それぞれ食い違っている。それは、お前たちが象の違う部分を触っているからだ。象は、お前たちの言う特徴を、すべて備えている」と。

現在のデジタルマーケティングは、まさに「暗闇の中の男たち、象を評す」の状態である。(1ページ)

こうした問題意識から、「デジタルマーケティングの全体像を示すこと」が本書の目的です。

-What-なにをすべきか?

では、本書でいうデジタルマーケティングの全体像とは、一体何なのか?

この全体像を示すアプローチについて、筆者は次のように述べています。

だから、すでに全体像が見えている従来型マーケティングを活用し、デジタルマーケティングは、従来型マーケティングをどう進化させているのかというアプローチで、デジタルマーケティングの全体像をお見せする。これが本書の目的だ。(4ページ)

このアプローチに沿って、

  • デジタルマーケティングとは何か?
  • なにが進化するのか?

…の2点に答える形で解説します。

デジタルマーケティングとは何か?

本書では、デジタルマーケティングを次のように定義しています。

「デジタルマーケティングとは、データドリブンでターゲット消費者へ製品やサービスを認知させ、消費者の購買前行動データに基づいて興味・関心・欲求を醸成し、購買データを取得する。購買データと購買後の消費者の評価データをもとに製品開発、サービス開発への示唆を得る。これらのデータを、ECチャネルとリアル店舗から取得し、同時に、消費者に最適な購買体験を提供する、一連の活動をいう。これらの活動の目標は、消費者との関係性を深め、最終的に消費者のエージェント(代理人)になることである」(35ページ)

上述の定義を図に落としたものが、図2です。

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図2(36ページの図表を引用)

何となく理解できた気がします。
ただ、これだけだと、「で、従来のマーケティングとどう違うの?」となりますよね。

なにが進化するのか?

従来のマーケティングの全体像「環境分析」「消費者理解」「セグメンテーション」「チャネル」「プロモーション」に沿って、何が違うのか。
図3に示します。

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図3

従来のマーケティング側には、見慣れたキーワードが確認できますね。

ところが、デジタルマーケティング側のキーワード、あなたはいくつご存知でしたか?
私は「FOA」や「ZMOT」は初耳でした。

このように、従来のマーケティングとの対比によって、デジタルマーケティングの理解を助けてくれるのが、本書の魅力でもあります。

引っかかるキーワードがありましたら、是非ググってみてください。
私も、これらのキーワードについて書かれた書籍を、さらに深堀ってみます。
随時、記事にしていきます。

-How-どのようにすべきか?

ここで、もう一度、本書の目的に立ち返ります。

デジタルマーケティングの全体像を示すこと

これが、本書の目的でしたね。

全体像は概ね掴めましたが、「人に説明できるようになる」には、まだハードルがあるのではないでしょうか?

でも、ご安心ください。
本書は、付録で「デジタルマーケティングの勉強法」を教えてくれます。

  • ステップ1:従来型のマーケティングおよび周辺領域の基礎を理解する
  • ステップ2:デジタルマーケティングの全体像を俯瞰する
  • ステップ3:デジタルマーケティングの各論を理解する

各ステップのおすすめ本やメディアについては、図4をご覧ください。

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図4

本書は、ステップ2に位置付けられます。

ステップ1の後や、ステップ3の後に、「デジタルマーケティングって何だっけ?復習しようかな」と思った時に、立ち返る本として活用できますね。

このように、本書は「デジタルマーケティングって何?」と思った時の入門書として最適です。
「デジタルマーケティング」を知りたい方は、是非手に取ってみてはいかがでしょう。

 

学び

本ビジネス書を通して、次の学びを得ました。

学びのスタイルは人それぞれ。自分に合ったスタイルを定義することが大事

先ほど、図4にて、デジタルマーケティングの学びのステップを示しましたが、個人的には、あのステップに縛られる必要はないと思います。

人によっては、「各論や具体論から入った方が、理解が早い人」もいるからです。
(少なくとも、私はこのタイプです)

私なんかは、まず「具体論」を読んで、頭で描けるくらいまでイメージできないと、「抽象論」が理解できません。

例えば、リーダーシップについて学ぶときも、

  1. 読みたい本をピックアップし、
  2. 具体⇔抽象度を整理し、
  3. 具体的な本から順番に読んでいく

…ようにしています。図5の右から読んでいきました。

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図5

ただ、注意しないといけないのは、「本を読むだけではダメ」ということです。

読んでインプットした内容を、アウトプットして、フィードバックを受けないと、リーダーシップだろうとマーケティングだろうと、「自分の言葉で説明できるように」はなりません。

「自分の言葉に落とし込み、仕事に活用できるような学びのスタイル」を確立することが重要です。

例えば、『27歳からのMBA グロービス流ビジネス勉強力』では、「学び方」が解説されていますので、是非参考にしてみてください。

明日から取れるアクション1つ

  • 「雰囲気しか知らないキーワード」を洗い出して、知りたい順に優先順位付けしてみる

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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