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【要約・書評】『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業』荻野 弘之、かおり&ゆかり

この本で解ける疑問は?

  • お金やステータスが無くても、自由になれる方法とは?
  • 「喜怒哀楽」の感情と上手に向き合うためには?


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『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業』って?

哲学者のように「学者」と聞くと、エリートでお金持ちのイメージがありますよね。

しかし、今回ご紹介する哲学者エピクテトスは、若き頃に奴隷として育ってきた経歴の持ち主なのです。

こうした経歴を持つ哲学者は極めて稀な存在だそうです。

私がこの本を手に取った理由は、「いわゆる一般庶民が自由に手にするには、どうすればよいのか?(そもそも自由に手にすることができるのか)」といった純粋な論点が頭に浮かんだからです。

奴隷出身の哲学者だからこそ、この論点に答えてくれるのではないか?

そんな期待を持って、本書『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業』を読んでみました。

結果、大当たりの良書でしたので、是非紹介させてください。

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • 本哲学の基本戦略は「我々次第であるもの」と「我々次第でないもの」の境界を見極めて、自分の裁量の範囲内になる物事だけに集中すること。
  • まずは「認識を正す」必要がある。我々次第ではない「他人」や「過去・未来」などに目を向けない努力が必要になる。
    ⇒自分が避けていいものだけを避ける
    ⇒他人には何も望まない
    ⇒過去にも未来にも欲望の目を向けず、現在の状況だけを受け入れる
  • また、「感情の奴隷から脱する」ことも必要。そのためには、自分の感情を客体化して、衝動的になってしまうのを防がなければならない。
    ⇒自分に関する出来事を他人事のように捉える
    ⇒財産・家族・生命などはすべて「一時的に貸与されているもの」を考える
    ⇒現在の小さな苦痛を選択することが、将来の大きな苦痛を回避する
  • 感情の他に「人間関係のしがらみ」からも自由になることができる。そのためには、他者に対する「思い込み」をいかに払拭するかが鍵となる。
    ⇒事実を把握するところで立ち止まり、そこから先の善悪の判断は慎重に行う
    ⇒「他人にこう見られたい」という欲望に身を委ねない
    ⇒立ち止まって「相手と自分はそもそもどういう人間関係か?」を見つめ直す
  • 以上のことを踏まえて「真に成長し、よく生きる」ためにも、自分の心と真正面から向き合う必要がある。
    ⇒自己欺瞞していないか細心の注意を払う
    ⇒あらゆる関心を「自分の心(が何を考えているか)」に向ける
    ⇒死を眼前に置くことで大切なことが見えてくる

いかがでしたでしょうか。

この本の最もすごいところは、「哲学への親しみやすさ」が飛びぬけている点です。

何と、エピクテトスの哲学のエッセンスを「漫画」で学ぶことができるんですね。

「誰でも理解できるように伝えること」ほど難しいものはありません。

筆者の技量には脱帽しました。

学び

コアリーダーとエピクテトス哲学の共通項

以前『リーダーシップに出会う瞬間』をご紹介しました。

この本でお伝えした「コアリーダー」とは「自分の理念に沿って、自己決定できるリーダー」を指します。

このコアリーダーになるためには、自己を客体化したり、事実と解釈を区別したり、いわゆる「メタ認知」が必要です。

リーダーシップとメタ認知は、切っても切れない関係ということですね。

今回の『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業』も、メタ認知のエッセンスが見え隠れしています。

自分を第三者的な視点で捉えながら、「自分次第であるもの」と「自分次第でないもの」を区別。

そして、後者は捨てて、前者だけにフォーカス。

この基本戦略を徹底することが、「コアリーダー」への近道なのかもしれませんね。


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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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