この本で解ける疑問は?
- お金やステータスが無くても、自由になれる方法とは?
- 「喜怒哀楽」の感情と上手に向き合うためには?
https://www.amazon.co.jp/dp/447810137X
『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業』って?
哲学者のように「学者」と聞くと、エリートでお金持ちのイメージがありますよね。
しかし、今回ご紹介する哲学者エピクテトスは、若き頃に奴隷として育ってきた経歴の持ち主なのです。
こうした経歴を持つ哲学者は極めて稀な存在だそうです。
私がこの本を手に取った理由は、「いわゆる一般庶民が自由に手にするには、どうすればよいのか?(そもそも自由に手にすることができるのか)」といった純粋な論点が頭に浮かんだからです。
奴隷出身の哲学者だからこそ、この論点に答えてくれるのではないか?
そんな期待を持って、本書『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業』を読んでみました。
結果、大当たりの良書でしたので、是非紹介させてください。
(画像をクリックすると、PDFが開きます)
- 本哲学の基本戦略は「我々次第であるもの」と「我々次第でないもの」の境界を見極めて、自分の裁量の範囲内になる物事だけに集中すること。
- まずは「認識を正す」必要がある。我々次第ではない「他人」や「過去・未来」などに目を向けない努力が必要になる。
⇒自分が避けていいものだけを避ける
⇒他人には何も望まない
⇒過去にも未来にも欲望の目を向けず、現在の状況だけを受け入れる - また、「感情の奴隷から脱する」ことも必要。そのためには、自分の感情を客体化して、衝動的になってしまうのを防がなければならない。
⇒自分に関する出来事を他人事のように捉える
⇒財産・家族・生命などはすべて「一時的に貸与されているもの」を考える
⇒現在の小さな苦痛を選択することが、将来の大きな苦痛を回避する - 感情の他に「人間関係のしがらみ」からも自由になることができる。そのためには、他者に対する「思い込み」をいかに払拭するかが鍵となる。
⇒事実を把握するところで立ち止まり、そこから先の善悪の判断は慎重に行う
⇒「他人にこう見られたい」という欲望に身を委ねない
⇒立ち止まって「相手と自分はそもそもどういう人間関係か?」を見つめ直す - 以上のことを踏まえて「真に成長し、よく生きる」ためにも、自分の心と真正面から向き合う必要がある。
⇒自己欺瞞していないか細心の注意を払う
⇒あらゆる関心を「自分の心(が何を考えているか)」に向ける
⇒死を眼前に置くことで大切なことが見えてくる
いかがでしたでしょうか。
この本の最もすごいところは、「哲学への親しみやすさ」が飛びぬけている点です。
何と、エピクテトスの哲学のエッセンスを「漫画」で学ぶことができるんですね。
「誰でも理解できるように伝えること」ほど難しいものはありません。
筆者の技量には脱帽しました。
学び
コアリーダーとエピクテトス哲学の共通項
以前『リーダーシップに出会う瞬間』をご紹介しました。
この本でお伝えした「コアリーダー」とは「自分の理念に沿って、自己決定できるリーダー」を指します。
このコアリーダーになるためには、自己を客体化したり、事実と解釈を区別したり、いわゆる「メタ認知」が必要です。
リーダーシップとメタ認知は、切っても切れない関係ということですね。
今回の『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業』も、メタ認知のエッセンスが見え隠れしています。
自分を第三者的な視点で捉えながら、「自分次第であるもの」と「自分次第でないもの」を区別。
そして、後者は捨てて、前者だけにフォーカス。
この基本戦略を徹底することが、「コアリーダー」への近道なのかもしれませんね。