この本で解ける疑問は?
- 考えが浅い/深いってどういう状態?
- ロジカルシンキングの限界を超えるには?
- 「本質は?」に答えるためには?
『本質思考』って?
「素晴らしい慧眼の持ち主ですね」
おそらく、私が言われて一番うれしい誉め言葉がこれです。
(言われたことは、一切ございません)
そんな憧憬の念を抱きながら、実際のところは…
- うーん、何か違うんだよなー、的を射ていない
- 浅い!その分析は薄っぺらい!
- で、要は何?
…これが現実です。
そう、本質を捉えることほど、難しいものはありません。
何世紀も前から、我々よりも数倍頭の良い偉人たちですら、この得たいの知れない「本質」とやらを掴むのに苦労なさっているわけですから。
ですが、せっかく天より授かった「考える力」です。
何とか才能を開花させたい。
長くなりましたが、そんな想いから手に取った本が、この『本質思考』です。
- 本質とは、「構造(モデル)×因果(ダイナミズム)」で成り立っている。物事をモデルとダイナミズムから考える思考を「本質思考」と呼ぶ。この思考には4つのステップがある。①モデルを描く、②ダイナミズムを読み解く、③モデルを変える打ち手を探る、④行動し、現実からのフィードバックを得る、である。
- ①モデルを描く
構成要素と関係を1枚の絵で表すことで、「どうしてそうなっているのか?」を明らかにする。コツとして、a)5つの構成要素を入れる、b)レイヤーを考える、c)因果に注目し、相関は無視する、の3点がある。 - ②ダイナミズムを読み解く
モデルが生み出す結果を長い時間軸で捉える。その際に、「ストックとフロー」「非線形」「作用と反作用」などを意識すると、ダイナミズムが特定しやすい。特定したダイナミズムを検証するときは、「物語として成立するか?」「因果の終着点まで辿り着くか?」を確かめるとよい。 - ③モデルを変える打ち手を探る
大きな変化を生む小さな「くさび」=レバレッジポイントを探す。モデルが変われば、問題は解決する。 - ④行動し、現実からのフィードバックを得る
①~③を繰り返すことで、本質思考の精度を上げる。
…いかがでしたでしょうか?
ロジカルシンキング定番のロジックツリーやマトリクスが出てくるのかと思いきや…
システム思考で登場するような考え方が非常にわかりやすく解説されていました。
システム思考の醍醐味である「物事の構造と因果を、全体観を持って押さえる」…これが実は一番難易度が高いと思うんですね。
そんなシステム思考を、再現性高く、簡潔明瞭に示している点に、本書『本質思考』の価値を感じました。
筆者の筆力に感服いたします。
学び
このビジネス書を通して、次の学びを得ました。
結局、本質を押さえるには?
この問い、本ブログでも何度か登場していますね。
例えば、『はじめての哲学的思考』で紹介されたアプローチ「本質観取」。
ざっくりおさらいをすると、図1のようなアプローチでした。
一方、『一流の学び方』では、「因数分解」のアプローチが紹介されていました。
- 謙虚さ=志の高さ×プライドの低さ
- 仕事の結果=考え方×熱意×能力
- できる=わかる×こなれる
…このように、「物事が何で成り立っているか?」を因数分解することで、本質を捉えていく手法でした。
思うに、今回ご紹介した『本質思考』と、先ほどの「本質観取」「因数分解」は組み合わせで使うことができるのではないでしょうか?
- 「本質観取」のやり方で、問題意識や事例を出し合う。出し合った事例を分類して名前をつけてみる。
- 『本質思考』のやり方で、先ほど分類した事例たちを、紙1枚にモデル化してみる。
- モデル化したものを、短く「因数分解」するなら、どう表現できるかを考える。
このように、
- 議論を発散させるときは「本質観取」のやり方を使う。
- 議論を収束モードに切り替えるときは、『本質思考』のやり方を使う。
- 最後にシンプル化するときは、「因数分解」のやり方を使う。
…と使い分けると、より「本質」の理解に近づけそうです。
今度「実践編」と題して、この使い分けに挑戦してみます。
明日から取れるアクション1つ
- 身近な出来事(満員電車のピリピリした雰囲気など)を、モデル化してみる