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【要約・書評】『外資系コンサルのプレゼンテーション術』菅野 誠二

この本で解ける疑問は?

  • 相手にわかってもらって動いてもらうためのプレゼン術とは?
  • プレゼンの質は何によって決まるのか?
  • 適切なターゲットや目的の定め方とは?


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『外資系コンサルのプレゼンテーション術』って?

一言でいうと「プレゼン術の全体像を知りたければ、この本がオススメ」です。

プレゼンの型を忘れないように、今でもこの本は本棚に保管してます。

 

最近は、タイトルに「外資系の~」と書かれた本が大量に出回っていますね。

こういった本、当たりが多い分、ハズレも多いです。

ですので、今まで以上に、中身を慎重に吟味するようにしています。

 

今回ご紹介する『外資系コンサルのプレゼンテーション術』は、「わかりやすさ×深さ」を兼ね備えた良本ですのでご安心ください。

きちんと「Why→What→Howストーリー」で語られており、全体観がばっちり押さえられる本です。

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • プレゼンテーションは、Why「プレゼンテーションのゴール確認」、What「コミュニケーション戦略のストーリー作り」、How「プレゼンの資料化と実演」から成り立っている。
  • 特に、Why「プレゼンテーションのゴール確認」の部分では、次の3つが重要になる。
  • 第一に、プレゼンテーションの相手を入念に確認する必要がある。「意思決定者が必ずしもキーパーソンではない」ことに注意。「意思決定者に、誰が、どんな影響を与えているか」を紐解くことで、真のキーパーソンが特定できる。
  • 第二に、良い課題設定をする必要がある。課題とは、「答えを出せる範囲で最もインパクトのある問題」を意味する。良い課題設定をする手順は、次の通り。
    1)「現状はどうなっているのか?」を問いの形で表現する
    2)Should+主語を加えて、問いを表現し直す
    3)What/How/When/Who/To Whom/Which/Whereを加えて、さらに問いを磨く。
    4)How muchを加えて、問いのインパクトを表現する
  • 第三に、相手とプレゼンターのゴールをすり合わせる必要がある。その際には、お互いのBATNA(代替的選択肢)とZOPA(合意可能領域)の把握が鍵となる。

いかがでしたでしょうか。

内容が非常に濃密なので、Why「プレゼンテーションのゴール確認」の部分のみ抜粋してみました。

プレゼンと聞くと、つい「内容のストーリー作りや資料化、話し方」に目が行きがちですが、実はそれ以前にもっと大事なことがあります。

それは「聞き手と話し手のゴールをすり合わせること」です。

このことを、痛いほど思い知らされる良本でした。

プレゼンに課題感をお持ちの方は、是非この一冊を手元に置いてみてはいかがでしょうか。

学び

プレゼン力を上げたいならプレゼン術の本ばかり読むべからず

今回よくわかったのは、「プレゼン力を上げたいならプレゼン術の本ばかり読むべからず」ということです。

特に「プレゼンの本を何冊も読んでいるのに、中々提案が通らない人」は、これ以上プレゼン本を読まない方がよいかもしれません。

 

どういうことか?

それは、プレゼンは「組織力学の読み解き」と「交渉術」が大前提になっているからです。

まず「組織力学の読み解き」について。

これはこの2冊を読むのが手っ取り早いでしょう。

まず、一冊目『マーケティングとは組織革命である』は、提案の通し方について、「これでもか」というくらいナマナマしく書かれています。

その内容は、プレゼンの内容ではなく、「聞き手の理解」について深く深く語っています。

また、二冊目『社内を動かす力』も同様に、「抵抗勢力をどう巻き込むか」など、非常に実践的な内容が書かれています。

こういった本を通して、誰も教えてくれない「組織力学の紐解き方」を学んでおくと、プレゼン・提案が面白いくらい通るようになります。

 

次に「交渉術」について。

これは、このテーマについて率直に語っている本がオススメでしょう。

この本は、先ほども登場した「BATNA」や「ZOPA」の読み取り方、コントロールの仕方について解説してくれます。

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「BATNA」や「ZOPA」の理解度は、合意形成の得やすさに直結します。

ひょっとすると、プレゼンのストーリーや話し方を磨くよりも、「BATNA」や「ZOPA」の理解に全力を注いだ方が、プレゼンが通りやすくなるかもしれませんね。

それくらい重要な概念です。

 

以上の学びを通して何を伝えたかったかというと・・・

「何事も、対処療法に飛びついてはいけない」ということです。

プレゼンが課題だから、プレゼン術の本に飛びつくようではいけない。

プレゼンが合意されなかった要因を分析・特定し、その解消に適した学びをしていく。

そうして、プレゼンの課題を「根治」していく。

こんな学び方を心がけたいものです。

自戒の意を込めて。

 


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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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