この本で解ける疑問は?
- 「あの人は優秀だな」と思える人は、普段どんな行動を取っているの?
- 短い時間で高い成果を上げる人に共通する習慣とは?
『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』とは
「トップ5%の人材には、誰だって手が届くんだ」
これは、本書を読んでみて、まず最初に思ったことです。
ビジネス最前線で働き方改革を推進しているプロとAIが導き出した「トップ5%の習慣」。これを1つひとつ読んでいくと、どの方法論も「シンプルで大事だけど、どうしても怠ってしまっていたこと」ばかりなんですね。
「当たり前を高い水準でこなせる人が一番強い」とでも言いましょうか。
本書では、「昔も今もこれからも、ずっと変わらない仕事の原理原則」が解き明かされています。
それでは、本書のレビューを見ていきましょう。
※★の基準は以下の通りです。
★★★★★:満足
★★★★:やや満足
★★★:普通
★★:やや不満
★:不満
わかりやすさ
「わかりやすさ」については、以下2つの観点で評価していきます。
- 本の内容が「体系的」に分解・整理されているか?
- 中学生や高校生でもわかる表現で書かれているか?
詳しく見ていきましょう。
本の内容が「体系的」に分解・整理されているか?
本書では、トップ5%の社員が持つ「思考と行動」「チームをつくる立ち振る舞い」「すぐやるマインド」「毎日のルーティン」が、ポイントを絞ってまとめられています。
いずれの章も、まずは「5%のトップ人材の習慣」と「95%の普通人材の習慣」のサマリーからスタートしているので、非常に頭に入ってきやすい仕立てになっています。
欲を言えば、本書で紹介されている習慣同士にどんな関係があるのか、どんなメカニズムで繋がっているのかが体系的に説明されていると、よりわかりやすいなと感じました。
ただ本書の場合は、「概念をキレイに体系的に整理すること」よりも「とにかく行動レベルで1つでも多くエッセンスを伝えること」にフォーカスされているのが良さでもあります。
「体系的に概念を整理してほしい」というのは、私個人のこだわりですので、あまりお気になさらず(笑)
中学生や高校生でもわかる表現で書かれているか?
これは文句なしの★×5ですね。
どんなバックグラウンドの人が読んでも理解できるように書かれています。
それに、出てくる具体例がすべて絶妙でわかりやすいんですよね。
例えば、世の中で作成されている資料の93%は、重要「そうな」資料だそうです。
重要「そうな」資料は、ぶっちゃけ、あってもなくても問題ない。
そんな資料が93%を超えているとは…何とも辛辣な、でも誰にでも心当たりのある事例ですよね。
「あ、それ、あるあるだ」と思える事例の多さが、本書のわかりやすさの根幹をなしているのかもしれませんね。
深さ
「深さ」については、元コンサルっぽく「So what?」「Why so?」「How?」と問いかけながらレビューしてみます。
具体的には、以下の3つの観点で見ていきます。
- 他の本に無いような「あっと驚く洞察」がなされているか?(So what?)
- 主張の論拠は十分か?ツッコミどころが多すぎないか?(Why so?)
- 明日からすぐ実践できるほど具体的な内容か?(How?)
他の本に無いような「あっと驚く洞察」がなされているか?
正直、「今まで見聞きしたことがないような切り口や洞察」はあまり見当たらないかもしれません。
しかし、本書の醍醐味をそこに求めてはいけません。
この本の凄いところは、ありとあらゆる思考法や方法論の中から、「トップ5%が大事にしている本質的なスキルや行動」を非常に論理的に導き出している点です。
特に私みたいに色々ビジネス書を読み漁りすぎて迷子になっている人にとっては、「あ、やっぱり、当たり前の水準が高い人がトップ5%になれるんだな」と、原点に立ち返らせてもらえた良書でした。
主張の論拠は十分か?ツッコミどころが多すぎないか?
この評価項目は文句なしの★×5でしょう。
なぜならば、本書で紹介される方法論や行動すべてに「定量的な根拠」が添えられているからです。
加えて、たくさんの現場の問題を見てこられた筆者の実体験や豊富な事例が、本書のメッセージにより一層説得力を持たせています。
明日からすぐ実践できるほど具体的な内容か?
私はこれまで年間300冊以上のビジネス書を読んできましたが、これほど「具体的な行動」に拘り抜いている本はあまり見たことがありません。
本書には、中途半端で抽象的な方法論は1つも述べられていません。
その徹底ぶりには頭が下がるばかりです。
学び
本書のレビュー、いかがでしたでしょうか。
最後に、私自身が本書で得た学びを紹介して終わりにします。
本書の冒頭では、「トップ5%社員の五原則」が紹介されています。それらの原則を自分なりの言葉に落とし込むと、以下のように整理できます。
①「目的」のことだけを考える
- 「この仕事の目的は何?」と聞かれて、自分の言葉で即答できる状態にしておくこと。「効率化」「最適化」などの安易なビッグワードで目的を表現しない。
- 合理性よりも「合目的性」で判断することが大事。目的達成のためには、一見非合理的に見えることも恥を恐れずやってみる。
②「弱み」を見せる
- 10分考えてみてわからないことは、それ以上頑張っても、あまり成果が出にくい。そんなときは、素直に「わからない」と宣言してみてもよいかもしれない。
- 思い切って「苦手なこと」を開示してみるのも重要。苦手を補ってくれる仲間が手を挙げて助けてくれるかもしれない。
③「挑戦」を「実験」と捉える
- 「やってみたいは妄想」「やってみたは科学」という思想で、徹底的に試してPDCAを回していく。というか、もはや「DC」だけを高スピードで回し続けた方がいいかもしれない。
④「意識改革」はしない
- 氷山モデルで考えると、「意識→思考→行動」ではなく「行動→思考→意識」の順番で変化は起きる。だから行動ドリブンで考えることが大事。
⑤常に「ギャップ」から考える
- 「話し手と聞き手のギャップ」「ありたい姿と現状のギャップ」から考えることによって、最短ルートで目的までの道筋を描くことができる。
この学びを、明日から…ではなく今日から早速実行してみます。