この本で解ける疑問は?
- 最近よく聞く「アート・シンキング」とは何者なの?
- ロジカル・シンキングやデザイン・シンキングとの違いは?
- どうやって「アート・シンキング」を実践すればよい?
https://www.amazon.co.jp/dp/4408338974
『ハウ・トゥ アート・シンキング』って?
本書を読んだ感想を一言で申し上げます。
「何を言っているかさっぱりわかりませんでした。いい意味で」
ビジネス書には大きく次の3種類が存在すると思っていました。
- 簡潔明瞭で筋が通っている本
- 論理がぐっちゃぐちゃで、筋も悪い、何を言っているかさっぱりわからない本
- 高度過ぎて、理解が追い付かない本
しかし、この本は、上記のいずれにも当てはまらない、不思議な本でした。
表現はものすごく平易なんです。
しかし・・・
- 論理構造が「意図的」にぐちゃぐちゃにされている
子どもの悪戯の如く(というか、そうなのですが)、章立てがバラバラにされている - 『ハウ・トゥ アート・シンキング』と言っておきながら、全くその答えをくれない(これもわざと)
こんな謎な工夫がされています。
この工夫の意図は、読者をわざと混乱に導くことにあります。
アート・シンキングの心髄の一つ「触発」を、読者1人ひとりに発生させようとしています。
そして、「読んだ後の感想や解釈が人によってバラバラな状態=ちがい」を生み出そうとしています。
「触発」「ちがい」・・・アート思考のキーワードです。
このキーワードを「身体」で体感できる仕掛けになっているわけです。
(画像をクリックすると、PDFが開きます)
分かる範囲で本書の内容を解釈すると、次のことが書かれていました。
- ロジカル・シンキングやデザイン・シンキングと比較すると、アート・シンキングは「価値=ちがいを生み出す力」だと解釈できる。
- ロジカル・シンキングは、1)みて分かる顕在的課題の解決を目的とする、2)分析的で、3)MECEやピラミッド・ストラクチャーを手法とする思考法である。
- デザイン・シンキングは、1)みて分からない潜在的問題の解決を目的とする、2)共感的で、3)エスノグラフィやプロトタイピングを手法とする思考法である。
- アート・シンキングは、1)そもそも何をしたらいいかわからない状況での価値の革新を目的とする、2)衝動的で、3)自分起点や触発を手法とする思考法である。
- 「ちがい」を生み出すためには、「自己起点=自分だけが持つ特徴に注目」と「触発:分からないものの組み合わせ」が必要。
- 特に、「自己起点で、自分だけが持つ特徴」を知るためには、次の設問について考えてみるとよい。
- まずは、自分を表す特徴を10個書き出してみましょう。
その中で、自分以外にもあてはまる性質には✕をつけてみましょう。
自分だけの性質は何が残りますか? - あなたのフェチや偏愛するもの、やめられないものを3つ書き出してみましょう。
- 最近あった許せないことを3つ書き出してみましょう。
- まずは、自分を表す特徴を10個書き出してみましょう。
いかがでしたでしょうか。
私も「触発」については、本書を読んでもまったく分かりませんでした。
いや、「分かった」時点で、それはもうアートではないので、「分からなくてOK」なわけです。
曲がりなりにも「構造化=分けること=分かること」を趣味として生きてきた私にとっては、「分からなくてOKな存在」が現れたことに驚きを隠せません。
読む前より読んだ後の方が混沌とている「気持ち悪さ」と、何かよくわからない光明が見えた後の「爽やかな達成感」が入り混じった、不思議な感情になりました。
間違いなくいえることは、「今年最も理解できなかった、かつ最もオススメしたい本」ということです。
学び
試しに、「偏愛」するもの「違和感」があるものを考えてみた
「自分起点」については多少理解できたので、試しに設問を解いてみようと思います。
あなたのフェチや偏愛するもの、やめられないものを3つ書き出してみましょう
まずは、この2つを書き出してみました。
(もう1つは書きにくいので、またの機会に、書ける範囲で書きます)
- 何でも構造化したくなる
組織の人間関係しかり、家事の分担しかり、何でもロジックツリーや因果マップやマトリクスで整理しないと気が済みません。
このブログで取り上げているビジネス書も、別に読書が好きで読んでいるわけではありません。
あくまで、読んだ後の「構造化」のために読んでいます。
(しかし、今回「構造化」できない本と出会って、半分イライラ、半分ワクワクしています・・・) - 気に入った漫画やドラマは5周以上読みたくなる
「憧れの人物や尊敬する人はいますか?」と聞かれても、正直漫画の世界にしかいません。
それくらい、漫画やドラマなどの「フィクションの世界」が好きです。
しかも、気に入った漫画やドラマは5周以上、下手すると10周以上読んでしまいます。
例を挙げると、『NARUTO』『キングダム』『名探偵コナン』『るろうに剣心』『ガリレオ』です。
だいたいは、めちゃくちゃ強いチートキャラが好きになります。
(しかし、私の友人の中には、『NARUTO』に出てくる術の印まで覚えている人がいて、まだまだ上がいるなと・・・)
最近あった許せないことを3つ書き出してみましょう
最近あった許せないことは無かったので書けませんでした。
その代わりに、「常々許せないと思っていること」を書いてみました。
- パーティー/忘年会などを強制されること
私は内向的なわりに、こだわりだけはやたら強い人間です。
なので、例えば、パーティなどの大人数のイベントなどを強制されたときは、怒りがこみ上げてきます。そして、嫌なイベントは何が何でも断る努力をします。
もちろん、多少苦手でも、必要なネットワークは必要に応じて必要な人と構築していきます。
ただし、「自分のペースで」という点がポイント。強制は断固反対です。
なので、新卒で入ったコンサル会社も今の会社も、忘年会や社員旅行などが「任意参加」で許されるコミュニティで助かっています。 - 「想像力を働かせろ」などのビッグワードを含んだコメント
こういったコメントをもらったときはイライラします。
「想像力って何ですか?」
「人によって解釈がブレる表現を平気で使わないでほしい」
「というか、ただ思考停止しているだけでは?」
…と感じてしまいます。
おそらく「何でもかんでも、白黒つけたがる性格」が影響しているんだと思います。 - 分かりにくい文章
・1文が80字をこえている文を、平気で連発している文章
・改行されていない「肉詰めかよ」と思わせる文章
・「で、何すんの?」と思わせる文章
…こういった文章を見かけると、怒りがこみ上げてきます。
特に、役所から届く書類に目を通すときは、常に憤慨しています。
これは、「幼少期から国語が苦手で、読解問題で半分も点数を取れない苦い経験」が影響しています。
自分で書きながら、思わず笑ってしまいました。
「全部、自分が原因じゃないか」と。
しかしながら、本書の主張に従うと、こうした「自分でも嫌いになるような欠点」もまた、アートの材料になるのでしょう。