この本で解ける疑問は?
- 働きがいのある会社を作るには?
- ミッション、ビジョン、バリューが大事って聞くけど、どうやって決めるの?
- 『ビジョナリー・カンパニー』とかを読む前に、もっとわかりやすい本ない?
『最高の働きがいの創り方』って?
本書は、株式会社コンカーの代表である三村氏が書かれた本です。
著者は、1993年に日本法人の創業メンバーとしてSAPジャパンに入社し、13年に渡って新規事業リードや社長室長を務められました。
当時の就職活動では、「異色」の新卒キャリアでしょう。
その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーなどを経て、2011年から現職に就かれています。
著者が代表を務める株式会社コンカーは、なんと4年連続ベストカンパニー受賞。
従業員100~999人規模部門で、働きがいのある会社ランキング1位も獲得。
こうした華々しい結果を短期間で実現した著者が語る「組織づくり」とは?
-Why-なぜ書かれたのか?
本書の「はじめに」には、次のように述べられています。
当初。さまざまな立ち上げ業務に追われていた私は、正しい人を採用し、正しい文化を築くような余裕はありませんでした。「とにかく即戦力を取らねば」と自分なりの吟味もせずに採用を推し進め、結果として「自分の結果だけ出せればいい」といった殺伐とした雰囲気が蔓延してしまいました。到底、働きがいどころではありません。
この状況から、いかにしてコンカーを「働きがいのある会社」へと変えていくことができたのか。それをお伝えしたくて、本書は生まれました。
(中略)
「働きがいのある会社」の実現を目指す経営者や組織のリーダーやその予備軍の中堅、若手のビジネスパーソンにとって、本書が少しでもヒントになることを願いながら、コンカーの数々の取り組みや、その背後に流れる考え方をお伝えしていきたいと思います。(6ページ)
つまり本書のタイトルからも明らかなように、「働きがいのある会社の創り方を伝えること」が本書の目的です。
-What-なにをすべきか?
では、「働きがいのある会社の創り方」とはなんなのでしょうか?
ここで、恒例の「ペライチ」ですが、筆者がかなりわかりやすく整理してましたので、全力で頼ることにします。図1をご覧ください。
この全体図は、「働きがいのドライバー」が起点になっています。
個人的に、この「働きがいのドライバー」こそが、筆者の経験が凝縮されたエッセンスであり、最も注視すべき箇所だと捉えています。
この「働きがいのドライバー」は、次の3つに集約されると述べられています。
- 夢や志、大義との一体感
- 視座の高さと裁量の大きさ
- 成果や失敗を通じた成長の実感
他にも色々と「働きがいのドライバー」はあるのでしょうが、あえて「この3つ」と言い切った上で全体図を描かれている点が、著者の強さであり、「働きがいのある会社ランキング1位」を獲得できた要因に思えます。
では、具体的にどのようにして、「信念」「実行」「文化」を考えていけばいいのでしょうか?
-How-どのようにすべきか?
ここでは、「信念」に着目してみます。
というのも、いずれの経営やリーダーシップのビジネス書にも「会社経営では、ミッション、ビジョン、バリューを中心に据えよ」とあり、それだけ重要なポイントだからです。
ミッション
まず、ミッションとは「企業が果たすべき使命」を指します。
ミッションを決める際に大事なポイントとして、次のように述べられています。
ミッションは「株主価値の最大化」と「社会への貢献の最大化」のバランスが大切(52ページ)
コンカーでは、さらに「日本企業への使命」「社会への使命」「利用者への使命」「働く社員への使命」の4つに分解して、図2のようにミッションを定めています。
ビジョン
ビジョンとは「将来たどり着きたい姿」を指します。
優れたミッションの構成要素として、筆者は次の3つを挙げています。
- 達成したらすごい!とワクワクできる
- 達成するには相当の背伸びが必要だが、実現不可避ではない
- 「定量的なゴール」と「具体的な時間軸」の両方またはいずれかが明らか
図3のイメージです。
コアバリュー
コアバリューとは「組織として、分かち合うべき価値観」を指します。
コアバリューの考え方として、筆者は次のように述べています。
1人ひとりが持つ価値観を広げることで、組織の柔軟性が高まる。同時に、分かち合うべき核となる価値観をコアバリューとして共有することで、価値観のギャップを乗り越え、組織文化を醸成する(60ページ)
実際にコンカーでは「お客様の視点」「自分の視点」「仲間の視点」の3つの視点からコアバリューを定義することで、1人ひとりの価値観を広げつつも、互いの価値観のギャップを埋めています。
具体的には、図4の通りです。
いかがでしたでしょうか?
「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の考え方がかなり具体的に書かれているので、理解しやすいかと思います。
他にも、「組織文化の育み方」や「実行段階でのオペレーション」についても、コンカーの事例を交えながら説明されています。
働きがいのある会社ランキング1位の方法論、是非ご覧になってください。
学び
「いい会社かどうか」を、経営者を見て判断する
この本は、転職活動をしていた際に「そもそも、いい会社って何?」という疑問を抱き、購入しました。
以前ご紹介したような『「いい会社」ってどんな会社ですか? 社員の幸せについて語り合おう』も同じ疑問から手に取りました。
この2冊を読んでわかったことは、「会社づくりには、経営者の価値観がかなり反映される」ということです。
特に創業間もない企業や、従業員数が少ない企業ほど、その傾向は顕著です。
なので、就職・転職活動や株式を買う際も、
「いい会社かどうか」の判断材料として「経営者」に着目すると、
面白いでしょう。
経営者のインタビュー記事や著書を読むことで、人となりや価値観の理解も深まります。
明日から取れるアクション1つ
- 気になる会社の経営者のインタビュー記事を読んでみる