マインドセット 書評

【要約・書評】『『キングダム』で学ぶ最強のコミュニケーション力』馬場 啓介

この本で解ける疑問は?

  • 「漫画から学べることもある」って本当?
  • キングダムから学べるコミュニケーションの視点とは?


https://www.amazon.co.jp/dp/4797673907

『『キングダム』で学ぶ最強のコミュニケーション力』って?

僕が大好きな漫画の一つ、『キングダム』。

この漫画、味方キャラも敵キャラも惚れるほど魅力的なんですよね。

ただ、「なぜこんなにも1人ひとりのキャラが魅力的なのか?」とずっと不思議に思っていました。

この「不思議な疑問」に答えを出してくれたのが、本書『『キングダム』で学ぶ最強のコミュニケーション力』でした。

言葉を言い切るときと言い切らないときの使い分けが絶秒だったり、相手の意見を否定するときの塩梅が丁度良かったり…コミュニケーションの際どい匙加減を高い解像度で描いてある。

そこが『キングダム』の真の魅力だと思います。

詳しく見ていきましょう。

 

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • 魅力的なコミュニケーションをするためには、「視点の数を増やす」「自己認識力を高める」「敬意の視点を持つ」「意外性と質問力を鍛える」必要がある。
  • 「視点の数を増やす」ためのポイントとして、『キングダム』では次のように描かれている。
    ★キングダムの主人公である信は、自分の身の回りで起きていることだけでなく、自らが大将軍となって秦国を背負って戦う未来の景色まで見通す「長期の視点」を持っている
    ★思ったことをすぐに口にしない
    ★信念には、その考えを持つことで、不快に思う人、傷つく人などがいると、マイナス面も多角的にわかったうえで、「こうだ」と堂々と言える覚悟の思いが込められている
  • 「自己認識力を高める」ためには、次の意識を持つ必要がある。
    ★コミュニケーション力が高い人ほど、自ら人に影響を与えようとせず、自分のための会話を極力しない。ジャッジをせず話を聞くことが大事
    ★相対して目を見つめ合うより、横に並び、同じ景色を観るほうが、人間関係は深まる
    ★謙虚さとは、より大きく世界を観て、より小さく自分が観えるようになること。それが「自己認識力」
  • コミュニケーション力を高めるにあたって、「敬意の視点」もまた非常に重要なファクターである。
    ★部下に敬意を払うとは、部下が「大切にしているもの」を知り、そこに敬意を払うということ
    ★「もう少し」「さらに」を会話に盛り込む。「もしかしたら」「かもしれない」を使い、言い切らない言い方をすることも大事
    ★本物のビジョンとは、頭で考えるものではなく、今まで自分を支えてくれた人たちに敬意を示すなかで、自然と見つかるもの
  • 複数の視点を手に入れることで、「意外性と質問力」を鍛えることができる。
    ★あえて「言い切ること」と「言い切らないこと」をしっかり意識する視点を持つ
    ★「最強の質問」とは、その人が「無意識に守っていること」を気づかせる質問のこと
    ★「過去の反省点」をではなく、「進化した未来」をイメージできるような質問を投げかける

いかがでしたでしょうか。

「具体と抽象」を行き来しながら、『キングダム』という1つの漫画から、コミュニケーションのエッセンスを抽出していく。

まさに、圧倒的な思考力と観察力あっての良書だと思います。

コミュニケーションについての教訓はもちろん、筆者の力量に感服させられた一冊でした。

学び

「長期的な視点」を語れる武将はカッコいい

魅力的だなと思う武将の誰もが持っているものが「長期的な視点」です。

決して目の前のことに盲目的になることなく、目的を見据える佇まいがカッコいいんですよね。

特に私のイチオシの武将が王翦と媧燐です。

王翦の魅力については、以下の記事で語っております。

【1枚でわかる】『キングダム 最強のチームと自分をつくる』伊藤 羊一 - BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで

 

もう1人のイチオシ武将である媧燐もまた、考え方が素晴らしいんです。

函谷関の戦いで、他の武将がみな、秦国の将軍の首を狙っていました。

その中で、媧燐だけが「目的は函谷関を落とすことであり、敵国の将軍の首を取ることはあくまで手段の1つに過ぎない」と大局的に物事を捉えていました。

その媧燐の活躍もあり、秦国の不落の国門である函谷関があと少しで崩壊するところまで追い詰められます。

この目的意識の高さには、目を見張るものがあります。

 


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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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