この本で解ける疑問は?
- そもそも、リーダーの行動って?
- 「背中で語れ」って言われるけど、さっぱり。どういうこと?
- 明日から課長に昇格。最初に読むべき本は?
『負けてたまるか! リーダーのための仕事論』って?
「リーダーシップについて、抽象的すぎない、でも具体的すぎない、そんな都合の良い本はないか?」
これが、本書に辿り着くに至った問いです。
先日ご紹介した『27歳からのMBA グロービス流リーダー基礎力10』は、非常に丁寧かつ具体的に、リーダーに必要な能力を教えてくれました。
一方、これも紹介済みなのですが『リーダーシップの本質』は、「そもそもリーダーはなぜ必要か?」という本質的問いから論を発展させており、こちらも非常に読み応えある内容でした。
こうした「ある種、両極端」な本を読んだからこそ、「両書の間くらいの本があれば、リーダーシップの理解がグンと進みそう」と思うようになりました。
先述の両極端な2冊が無ければ、今回紹介する本とも出会うことはなかったでしょう。
-Why-なぜ書かれたのか?
本書の「まえがき」は、次の強烈な文で締めくくられています。
リーダーなき国は滅びる。今の日本は安易な自己中心的成果主義がはびこり、非正規雇用が三割に達するなど、教育をなおざりにすることで足下から崩れかかっているように見えてなりません。
これからのリーダーは、日本の唯一無二の資産である「人」を教育するということの大切さを肝に銘じて、会社と日本を引っ張っていくんだという自負心を持って進んで欲しい。自負心は、謙虚に学ぶ人のために自分の時間を使う努力を重ねて、はじめて持てるものです。努力なき自負心はただの傲慢です。
次代を担うリーダー諸君に本書から心に刻むいくつかのものを読み取っていただくことができれば、これに勝る喜びはありません。(4ページ)
どうやら、キーワードは「教育」や「学ぶ」という点にあるようです。
つまり「次代を担うリーダーに必要な行動、特に教育と学びの在り方について説くこと」が本書の目的といえます。
-What-なにをすべきか?
本書では、次の章立てで、リーダーの仕事論について述べられています。
第1章:リーダーになったら、まず心すべきこと
第2章:部下を育てながら、結果を出す
第3章:リーダーに求められる「伝える力」
第4章:リーダーは決断力をどう養うか
第5章:リーダーは学び続けよ
第6章:今、日本に求められるリーダーシップ
章立てを読み解くと、次の3点の「気づき」を得ます。
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第1章は「総論」の役割
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第6章は「まとめ」の役割
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リーダーの仕事に必要な要素は、第2章~5章で出てきたキーワード「育てる」「伝える」「決断する」「学ぶ」の4つ
先ほどの気づきと、まえがきに書いてあったことを踏まえると、とりわけ「育てる」「学ぶ」がカギだとわかります。
以上を踏まえながら、本書に散りばめなれたエッセンスを拾い集めて、「ペライチ」に整理してみました。
図1をご覧ください。
-How-どのようにすべきか?
私が本書でいうところのリーダーになるのはまだ先です。
なので、今のうちにできそうなことに焦点を当てます。
それは「立派な上司より反面教師に学ぶ」です。
これについて、非常に共感する文章がございましたので、そのまま引用します。
これは人それぞれですから一概に言えませんが、少なくとも私の場合は、まだ新人だった頃から上司の姿を見て、「けしからん」とか「俺だったら絶対やらないぞ」などを思っていました。
(中略)
もしかしたら、上司は上司で事情があったのかもしれません。しかし部下は、当然ながらそこまで思いが至らない。そこで、他の部署の同僚と飲んでいても、「うちの上司はけしからん」などと不平不満が出てきます。そういう話を見たり聞いたりしていくうちに、「もし自分が課長になったら、同じ轍は踏まないぞ」と考えるようになっていくわけです。
(28ページ)
飲み会でやたら部下をこき使う上司、「どうですか?」と進捗ばかり確認してきて仕事を全くしない上司。
「嫌な上司像を挙げよ」というお題でしたら、いくつでも挙げる自信があります。
だからこそ、「これは、絶対にやらないぞ」「自分なら、絶対こうする」という強い信念が生まれるんだと思います。
子どもの頃から「人にされて嫌なことは、人にするな」という教えを刷り込まれているからこそ、「反面教師」からのほうが学びが多いな、と私も強く共感しました。
…とまあ、このように、1ページの文章だけでも、これだけ人の心を動かし、学びを刻み込む力を持つ、不思議な本です。
さすがは、元伊藤忠商事会長。百戦錬磨で、名だたるエリートを束ねてこられたリーダーです。
学び
本ビジネス書を通して、次の学びを得ました。
『リーダーシップの本質』と本書の関係
今回は『リーダーシップの本質』と『負けてたまるか! リーダーのための仕事論』の間の繋がりをご紹介します。
こういう「著書と著書の間の共通項」は、「ペライチ」に整理しているからこそ、見出せます。
(読んだだけで、共通項に気づける天才もいるでしょうが)
まず『リーダーシップの本質』の「ペライチ」を振り返ります。
図2をご覧ください。
図2の赤枠の部分に注目しながら、本書のペライチと並べて見てみましょう。
図3をご覧ください。
『リーダーシップの本質』で述べられていた「リーダーが果たすべき5つの仕事」の中の「実行」の部分を補足しているのが、まさに本書『負けてたまるか! リーダーのための仕事論』といえます。
「使っている言葉は多少違えど、言っていることはほとんど同じ」という部分が目立ちます。
あくまで推測の域を出ませんが…
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『リーダーシップの本質』は戦略コンサルティングを長年やってきた著者であるため、「目的設定」「現在地の認識」「環境変化の読み」「戦略の策定」といった「思考要素」が強く表れています。
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一方で『負けてたまるか! リーダーのための仕事論』は商社マンが著者であるため、「行動要素」が強く表れています。
…といった違いが確認できます。
「著者は誰なのか?どんなバックグランドを持っているのか?」も、読む本を選ぶ上で重要な判断基準になるということです。
明日から取れるアクション1つ
- 本を選ぶときは、必ず「著者についての紹介文」にも目を通す