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【要約・書評】『ズラシ戦略』並木 裕太

この本で解ける疑問は?

  • 新規事業の機会はどうやって見つければよいのか?
  • 新規事業の参入できるかどうか、どうやって判断すればよいのか?
  • 新規事業に参入する際の成功要因は?
  • 新規事業参入のための検討プロセスは?


https://www.amazon.co.jp/dp/4799324748

『ズラシ戦略』って?

「新規事業」

「戦略」

…こんなキーワードを聞いて、ワクワクしない人の方が少ないのではないでしょうか?

僕も例に漏れず、こういったキーワードに憧れを抱く一人でもあります。

ですが一方で、こんな恐怖も持ち合わせいます。

「明日から新規事業やって」と言われたときに、果たして僕は対応できるだろうか?

 

以上の恐怖を払拭すべく、今回は新規事業のセオリーを語った本を発見しましたので、ご紹介します。

本のタイトルは『ズラシ戦略』。

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • ズラシ戦略とは、「スキルなどを含めた自社の本質的なアセット(資産)を見つめ直し、新たにビジネスを展開して、これまで異なる顧客をつかまえること」を意味する。
  • 顧客から見た新規事業の見つけ方には4パターン存在する。
  • 1つ目は「A)既存の課題に対して、既存の解決策で挑むパターン」である。これは、解決する課題も使う解決策も同じだが、他産業に進出するパターンを意味する。例えば、ライザップが英語産業に進出した事例が挙げられる。
    この場合、「自社のスキル・アセットが他産業のそれよりも優れていること」が成功要因となる。
  • 2つ目は「B)既存の課題に対して、新しい解決策で挑むパターン」である。例えば、ミクシィが「既存の課題=暇つぶしをしたい」に対して「新しい解決策=SNS」で対応した事例が挙げられる。
    この場合、「自社がもとから持っているスキル・アセットが差別化要因になり得ること」が成功要因となる。
  • 3つ目は「C)新しい課題に対して、既存の解決策で挑むパターン」である。例えば、TYOが「新しい課題=広告費の確保に苦しむベンチャー企業」に対して「既存の解決策=CM制作スキルを活かして自ら投資」で対応した事例が挙げられる。
    この場合、「とにかくスピードを重視して展開できること」が成功要因となる。
  • 4つ目は「D)新しい課題に対して、新しい解決策で挑むパターン」であるが、現実的にこのパターンはほぼあり得ない
  • 以上の新規事業の機会に対して、企業が参入するためには、①既存のスキル・アセットを使って新規事業領域に進出する方法、②既存の事業領域に新しいスキル・アセットを確保して進出する方法、の2パターンが存在する。
  • いずれの方法を取るにしても、次の4つの検討ステップを踏むとよい。
    1)自社が同業他社と比べて優れているスキルやアセットのリストアップ
    2)リストアップした自社の誇れる強みを活用できる業界を探す
    3)ずらし先の業界で、そのスキルやアセットに優位性があるのかのチェック
    4)実行できる社内の体制を整える

いかがでしたでしょうか。

おそらく、ここまで新規事業についてロジカルにセオリーを導いた書籍は存在しないのではないでしょうか?

世界トップの戦略コンサルティングファーム「マッキンゼー」の日本法人で、最年少役人にまで上り詰めた傑物の底知れぬ思考力が垣間見える良書でした。

学び

キャリア戦略にも「ズラシ」戦略は使える?

この本を読んでいて、ふと気づいたことがあります。

それは、「ズラシ戦略は、キャリアにも使える」ということです。

もう一度、この図を見てみましょう。

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例えば「既存の事業領域のまま、新規のスキル・アセットを獲得しに行く」パターン。

これは、「社内異動」「同業界での転職」などが挙げられますね。

既存の事業領域内で「ズラシ」ているので、万が一新しいスキル・アセットが獲得できなくても、後戻りがしやすいです。

 

次に「既存のスキル・アセットを使って、新規の事業領域に挑戦する」パターン。

これは、「他業界への転職」が挙げられますね。

全く違う業界だけど、使うスキルは一緒だと、転職先でも早期に活躍できる可能性が高まります。

例えば、僕はコンサル業界から教育業界に転職しましたが、使うスキルは「テクノロジーを活用した業務効率化スキル」や「コンテンツ開発スキル」のままでした。

おかげで、業界特有の見識をキャッチアップさせていただきつつも、入社直後からそこそこ動くことができました。(少なくとも、「何をしたらよいか全くわかりません状態」にはなりませんでした)

 

…と、こんな風に、ズラシ戦略を企業戦略からキャリア戦略に「ズラシ」てみました。

やはりこういった思考実験は面白いですね。

もちろん、実践を忘れてはいけませんが。

自戒の意を込めて。

明日から取れるアクション1つ

  • このブログの「ズラシ戦略」を3パターン考えてみる


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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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