この本で解ける疑問は?
- 普段会社で言われている「常識」って本当に正しい?
- 働く上で直視すべき「真実」とは?
『仕事に関する9つの嘘』って?
何とも奇妙なタイトルですよね。
本屋さんで異色のオーラを放っていたのがこの本でした。
そのオーラに引き寄せられて、この本を手に取ってみたのですが、読み進めるうちに度肝を抜かれました。
この本を読んでいくと、これまで何となく"常識"だと思っていた概念が実は間違いであると、次々と暴かれていきます。
最初は「え、これも嘘なの?」とびっくりしますが、徐々に「嘘を暴いていくプロセス」が快感になってきます。
(画像をクリックすると、PDFが開きます)
- 「どの会社」で働くかが大事…これは嘘である。
「どの会社」で働くかは大事ではなく、「どのチーム」で働くかが大事。
ほぼ全ての仕事がチームワークで成り立っている。
「チームリーダーを信頼している」と答えた社員は、それ以外の社員よりエンゲージメントが12倍高い。 - 「最高の計画」があれば勝てる…これは嘘である。
計画が煮詰まってきたころに新しい発見があり、計画を見直し続けることになる。
「最高の計画」があれば勝てるわけではなく、「最高の情報」があれば勝てる。
チェックイン(現状確認)を1on1で毎週行い、情報伝達の速度と鮮度を上げると効果的。 - 最高の企業は「目標」を連鎖させる…は嘘である。
最高の企業は「目標」を落とし込むのではなく、「意味」「目的「使命」を連鎖させている。
唯一役に立つ目標は「自分から自発的に立てた目標」だけである。 - 最高の人材は「オールラウンダー」である…は嘘である。
最高の人材は「オールラウンダー」ではなく、「尖った人材」である。
メンバー一人ひとりの個性を「バグ」ではなく「仕様」と捉える意識が大事。
ただし、個としてオールラウンダーを求めるのは間違いだが、チームトータルではオールラウンダーであるべき。 - 人は「フィードバック」を求めている…は嘘である。
人は「フィードバック」ではなく「注目」を求めている。
称賛と指摘を「3対1」の割合で行うことが大事。 - 人は「他人」を正しく評価できる…は嘘である。
は他人を正しく評価することはできないが、自分自身の経験を正しく評価することはできる。
評価については、客観的に「正確さ」を追求することはできない。
「信頼性」のある主観性のほうがよっぽど的確である。 - 人には「ポテンシャル」がある…は嘘である。
ポテンシャルが存在するという証拠は皆無だが、「モメンタム(運動量)」は確実に存在する。
ポテンシャルを引き出そうとするのではなく、1)自分がどういう人間でどこに向かおうとしているのか、2)これから身につけたい測定可能なスキルと経験は何か、の2点を理解できるよう手助けるほうが何倍も効果的。 - 「ワークライフバランス」が何より大事だ…は嘘である。
仕事の燃え尽きの原因はバランスではなく「愛の欠如」である。
仕事と生活のバランスではなく、大好きなことと大嫌いなことのバランスが大事
「どんな行動で毎日を満たすか自分で選び、それらに対する自分の感情的反応はどうだったか?」に注意を払う。 - 「リーダーシップ」というものがある…は嘘である。
リーダーシップの存在は不確かだが、「フォロワーシップ」は確かに存在する。
われわれは「尖り」についていく。したがって「尖り=特異性」にフォーカスしたほうがいい。
いかがでしたでしょうか。
「え、これも嘘なの?」と、思わず声が漏れてしまいそうですよね。
ここ最近で最も発見が多かった本でした。
462ページありますが、面白くて表現が平易なので、あっという間に読めてしまいます。
一つの読み物としてオススメです。
学び
必ずしも「ワークライフバランス」は人を幸せにはしない
中でも意外と衝撃だったのが、この学びです。
本書を通して、「ワークライフバランス」は表層的なキーワードに過ぎないことがわかりました。
それよりも、最も深層心理として存在するのが「好き嫌い」の概念。
「ワークライフバランス」を重視する人は、「仕事のせいで、プライベートの時間が確保できなくなることが大嫌いな人」なわけです。
仕事自体が「大好き」で満たされている人は、仕事の時間の割合が増えても全く問題ない。
むしろ、仕事に「大好きなこと」を見出している人にとっては、「定時だから早く帰れ」と言われると幸福度はガクッと下がってしまいます。
ですので企業を見る際は、「ワークライフバランスが充実しているか」ではなく、「自分の"好き"が満たされて、"嫌い"が最小限か」という視点を持つ必要があります。
そのためにも、普段から「自分の好き嫌い」を明確に言語化しておくことが非常に重要になってきます。
また「自己理解ブーム」が戻ってきそうです。