この本で解ける疑問は?
- タイムマシン経営の逆張りの経営論とは?
- 昔から一貫して変わらない本質を見極めるためには?
https://www.amazon.co.jp/dp/429610733X
『逆・タイムマシン経営論』って?
久しぶりに出会いました。1枚でわからない!?シリーズ。
いつもは「ペライチ」で本の魅力をお伝えしているのですが、今回は無理でした…
どこをどう要約すればよいかがわからない…それくらい魅力に溢れすぎる本でした。
著者は杉浦 泰氏と、僕が大好きな楠木 建氏です。
楠木 建氏の書籍は、以前『「仕事ができる」とはどういうことか?』をご紹介しましたが、これもまた1回読んだだけじゃ理解しきれないくらい深い本でした。
(この本が気になる方はこちらをご覧ください)
今回の『逆・タイムマシン経営論』も頷きが止まらない良書でした。
論より証拠。詳しく見ていきましょう。
(画像をクリックすると、PDFが開きます)
- 我々がハマりがちな同時代性の罠がある。それは「飛び道具トラップ」「激動期トラップ」「遠近歪曲トラップ」の3つである。この3つの罠にハマってしまうメカニズムを理解したうえで、罠を回避する思考法を会得する必要がある。
- 中でも「飛び道具トラップ」は、「これからはこれだ!」と最先端の技術や知恵に迂闊に飛びついてしまうことを意味している。このトラップに陥るメカニズムは以下の通り。
①同時代の空気の土壌の上で
②人々の耳目を引く事例が生まれ
③それを「飛び道具サプライヤー」が煽る中で
④「同時代のノイズ」が発生し
⑤飛び道具が「過大評価」され
⑥関心を持つ人々が成功事例から「なぜ成功したか=成功した企業固有の戦略ストーリーの文脈」を剥離させ
⑦「文脈無視の強制移植」が行われ
⑧「手段の目的化」と「自社文脈との不整合」によって逆機能が起こる - 以上のメカニズムを回避するためには、以下のステップが必要になる。
- 第一に、自社文脈=戦略ストーリーを理解する。
第二に、飛び道具が埋め込まれている事例文脈を理解する。
第三に、飛び道具を抽象化して本質を掴む。
第四に、抽象化した本質を自社文脈に当てはめる。
いかがでしたでしょうか。
エッセンスだけを一部ご紹介しましたが、この本が本当に面白いのは、「豊富な事例と、事例に対する深い洞察」なんです。
1つひとつの事例に対して、これでもかと深く切り込んでいって、共通して見えてくる本質を抉り取って表現している…まさに具体と抽象を行き来している「思考の境地」ともいえるかもしれません。
飛ばし読みすることなく、1ページずつじっくり読み進めることをオススメします。
学び
DXもAIもIoTもすべて「手段」にすぎない
至極当然のことですが、最近の流行り文句「DX」などは、すべて「手段」にすぎません。
間違っても「目的」にすり替えてはいけない。
…これだけ書くと「当たり前」だと思われるかもしれません。
しかし、我々が思っている以上に、我々は目的を見失いがちです。
例えば、色々な提案書やら検討資料に目を通すと、「目的」のページに以下のような記述を見かけることがあります。
- 業務を標準化・仕組み化・自動化することが目的
- 新しいメルマガ施策を増やすことが目的
- 新システムを導入することが目的
- 役員会議で承認を取ることが目的
…「嘘だ」と思われる方、試しに社内の会議資料を見渡してみてください。
「そんな資料は1枚もありません(キリッ)」と断言できる人は、ほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。
以上のような「手段の目的化」「思考停止」に陥らないためにも、
- なぜ「手段の目的化」「思考停止」に陥るのか?どういうメカニズムで罠に陥るのか?
- その罠をどうすれば自覚でき、かつ回避することができるのか?
…これらの論点を今回の『逆・タイムマシン経営論』を読み返しながら、考え抜きたいと思いました。