この本で解ける疑問は?
- 不効率なミーティングが無くならない原因は?
- どうすればミーティングから「ただの観客」がいなくなる?
https://www.amazon.co.jp/dp/4763137948
『SUPER MTG(スーパー・ミーティング)』って?
「自分の会社の会議は効率的でハイパフォーマンスです」
おそらく、自信を持ってこのように断言できる人は、極めて稀だと思います。
それくらい難しさを孕んでいる「ミーティング」に焦点を当ててみます。
「ミーティング術」については、既にいくつか本が出されていますよね。
しかし「科学的に」ミーティングについて語った本は、実はほとんど存在していません。
まあ、これはミーティングに限らず、ほとんどのビジネス書は「科学的」ではなく「経験則的」に書かれています。
言ってみれば、これは当たり前です。
ビジネスの世界では、現場での実践や経験が「事例」となり、徐々に「科学」されてフレームワーク化されていくからです。
「経験→科学」の順番はありますが、「科学→経験」の順番はほぼあり得ないはず。
しかし、だからといって「科学」を侮ってはなりません。
「具体と抽象の行き来」と同じように、「経験/実践と科学の行き来」を通して、より強いビジネススキルが養われていきます。
そこで今回は、「ミーティングを、体系的に科学した本」として『SUPER MTG(スーパー・ミーティング)』をご紹介します。
(画像をクリックすると、PDFが開きます)
- ミーティングに焦点を当てるべき理由は、そのコストの大きさにある。
- ミーティングは、1つの国で1日「5500万回」行われており、不効率なミーティングによるコストを算出すると年間2500億ドルにのぼるという。
- 一方で、ミーティングにも「メンバー同士の絆を深める」「個人が意見を言える機会を提供する」「問題解決・理解を共有する」役割があるため、ミーティング自体を無くすわけにはいかない。
- 「不効率な悪しきミーティング」にフォーカスして、メスを入れていく必要がある。
- ミーティング改善にあたり「組織の方針」「事前準備」「進め方」「終わり方」の枠組みで、工夫例をピックアップする。
- ミーティングにあたっての「組織の方針」の例
- 「ミーティングが短くて回数が少ないこと」を組織のスタンダードにする
- ミーティングをする曜日/時間帯と、ミーティングを「しない」曜日/時間帯を決めておく
- キリの良い時間(60分や30分)にこだわらず、最小限の時間(25分など)を設定する
- ミーティングの「事前準備」の例
- MTGには「絶対に必要な人」だけ呼ぶ。同時に「MTG出席を断る権限」も与える
- 「どのアジェンダを含めるべきか/含めないべきか」、事前に意見を集めておく
- 目的に合わせて場所/形式を選ぶ(立って行う、歩きながら行うなど)
- ミーティングの「進め方」の例
- 出席者に役割と責任を割り振る。役割は交代制で回す
- 集中の妨げになる「電子機器」の使用を禁止する。ただしMTG時間を短くすることが前提
- 「沈黙」を有効活用する。「一人で考え、紙に書き出す時間」を作る
- ミーティングの「終わり方」の例
- 終了時間を厳守する。アジェンダが全て片付いたら、終了時間前でも終わりにする
- 全員が納得できる形で、ToDoリストまで確実に落とし込む
- ポジティブな雰囲気でMTGを終える
いかがでしたでしょうか。
個人的に凄く参考になったのが「沈黙」の扱い方についてです。
ミーティングの場で、いきなりブレインストーミング(ブレスト)を始めるのではなく、数分間「沈黙=個人で紙に書き出して、アイデアを整理する時間」を挟んだほうが効果的なシーンもあると。
これは目から鱗が落ちました。
「ミーティングだから、何か話さなければならない」という隠れた前提を疑った、非常に効果的な工夫だと感じました。
こうした「目から鱗の工夫」が、科学的根拠と事例と一緒に沢山紹介されています。
どれも「読んだその日から実践できるレベル」で書かれていますので、ミーティングに課題感をお持ちの方は是非読んでみてほしい一冊です。
学び
ミーティングはアジェンダを立てるだけではダメ
これは前職のコンサル時代に、同期に教えてもらった話です。
コンサルになりたての最初の関門は「議事録」です。
議事録を何本も「書いては赤入れ」の繰り返しです。
当然、議事録以外にも膨大なタスクがありますので、議事録だけに時間を取られていたら、いつまで経っても家に帰ることができませn。
議事録を赤入れされればされるほど、終電で帰れる希望が失われていくわけです。
いわば、生きていくため(大袈裟ではありません)にも、議事録を早く正確にまとめあげるスキルは必須のサバイバルツールなのです。
そんな「議事録」をクイックに綺麗にまとめる同期がいました。
秘訣を聞いてみると「ミーティングが始まる前から、7割がた議事録を完成させておくこと」と答えてくれました。
要は、ミーティングのアジェンダごとに、
- Aという意見と、Bという意見が出てくるだろう
- AとBどちらの意見を採用するかを、おそらく○○の基準で比較するだろう
- 結論はA案になるだろう
…と、事前にシミュレーションしておくんですね。
もちろん、シミュレーションが外れることも多々あります。
しかし、事前にこれをやっておくだけで、ミーティングの理解度や議事録の出来が大幅に変わります。
これは別に議事録を書くときだけでなくて、ミーティングをファシリテーションするときにも使えます。
アジェンダを立てるだけでなくて、議論の道筋や仮の答えまで考えないと、「準備万全」とはいえないわけです。
毎度恒例の、自戒の意を込めて。